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» 2007年08月10日 19時12分 公開

「Penrynは単なるシュリンクではない」──インテル定例記者会見

MeromコアCPUの発表から1年が経った今回の定例記者会見では、「自作PC中興のCPU」を振り返りながら、次世代「Penryn」に期待するインテル「ニッポン」の姿が印象的だった。

[長浜和也,ITmedia]

 インテルは、8月10日に定例の記者会見を開き、発表から1年が経つデスクトップPC向けコアマイクロアーキテクチャCPUの実績を振り返りながら、これから登場する45ナノメートルプロセスルール採用の「Penryn」、そして2008年に新世代アーキテクチャを実装して登場する「Nehalem」の概要を紹介した。

インテル技術本部技術部長の土岐英秋氏

 土岐英秋氏(インテル技術本部技術部長)は、Meromコアで実装された特徴的な5つの機能「ワイド・ダイナミック・エグゼキューション」「アドバンスド・スマート・キャッシュ」「スマート・メモリ・アクセス」「アドバンスド・デジタルメディア・ブースト」「インテリジェント・パワー機能」を“おさらい”したうえで、それぞれの機能がPenrynでどのように拡張されるのかを説明した。

 インテルがCPUの開発でとっている「プロセスルールの進化」「サーキットの進化」を交互に進めていく“Tick-Tock”に従えば、2007年に登場するPenrynは、プロセスルールを45ナノに縮小した「Meromの派生モデル」となるが、土岐氏は「Meromは開発時間の兼ね合いで最適化の余地が残っていた。Penrynには、Meromで実現できなかったサーキットのイノベーションも盛り込む」と述べ、単なるプロセスルールの縮小にとどまらないことをアピールした。「プロセルルールが縮小するPenrynには同じ面積で2倍のサーキットを詰め込める。だから、Meromからの拡張が可能になる」(土岐氏)

Meromコアで導入された「5つの特徴的な機能」がPenrynコアでどのように拡張されるのかを説明することで、インテルは、Penrynが単なるシュリンクバージョンでないことを訴求した
45ナノプロセスで新しいアーキテクチャを導入するNehalemの特徴も紹介された。すでにIDFなどで明らかにされているように「スケーラブルでコンフィギュラブル」というあたりが、Nehalemの重要なポイントとなる

 Penrynでは「動作周波数あたりの性能向上」「動作周波数の高速化」「電力効率の向上」といった、従来のMeromコアCPUの開発でも掲げられてきた“設計目標”に加えて、リーク電流を抑え込んで45ナノプロセスを実現するために「High-K絶縁膜」「メタルゲート」などの新しい技術が採用される。土岐氏は、デスクトップPC向けのコアマイクロアーキテクチャCPUとして登場したMeromコアに導入されたそれぞれの機能が、Penrynでどのように拡張されるかを具体的な例を挙げながら説明している。

 ワイド・ダイナミック・エグゼキューションでは、コアに実装される“除算器”の変更が紹介された。従来、割り算の処理を2ビット分(2の2乗=4が基数になる)のシフトで対応していたが、Penrynでは4ビット分(2の4乗=16が基数になる)のシフトに対応することで、除算処理速度が高速化して「例えばVM(仮想マシン)の実行速度が大幅に改善される」(土岐氏)ことが期待できるとしている。また、コアあたりのL2キャッシュ容量がそれまでの4Mバイトから6Mバイトに増えた理由についても、「L2キャッシュの容量はFSBの速度とメモリコントローラのバランスで最も効果のいい容量に決めている。Meromのときは4Mバイトだったが、PenrynではFSBが速くなりメモリコントローラ技術も進化しているので6Mバイトに増やせた」と解説する。

 Penrynの進化で、インテルの日本スタッフから最も期待されているのが、新たに実装されるSSE4命令セットとスーパー・シャッフル・エンジンだ。SSE4命令が格納される128ビットレジスタのデータを並び替えて、効率的に命令を実行させるハードウェアエンジンを導入することで、「Videoエンコードが非常に強力になる。1コアごとにこの効果がでるので、クアッドコアではさらに強力になる。Video処理に有効であるので日本のインテルとしてはみんな期待している」と、日本のPCユーザー(とPCメーカー)が重視するPCのAV利用環境において、Penrynが大きく貢献することを示唆した。

 2008年に登場する予定の第2世代45ナノプロセスCPU「Nehalem」についても土岐氏は言及した。「きょうはここまでしかお話できないが」と、具体的なスペックは明らかにせず、「コアとスレッドとキャッシュを動的に管理」「Simultaneous Multi threading」「複数レベルの共有キャッシュ」「スケーラブルでコンフィギュラブルなキャッシュ、インターコネクト、メモリコントローラ」「クライアント向けにグラフィックスを内蔵」「スケーラブルな性能:1〜16+スレッド&1〜8コア」といった、これまでも紹介されてきた「Nehalemのヒント」を述べるにとどまった。

 定例記者会見の冒頭に登場した吉田和正氏(インテル代表取締役共同社長)も、45ナノプロセスCPUについて「ものすごいブレイクスルーの技術」と紹介し、「生産技術と信頼性の高い製品を出していくのは厳しいが、いま、いい状態で動いている。その特徴を企業や一般ユーザーに伝えていくのが大事だと考えている」と語った。さらに、Nehalemについても、「2008年には、次世代の新しいアーキテクチャを45ナノプロセスで展開していく」と述べた。「長いPentiumの苦労から次に移行していく、どんどんいいものに変えていくということでは、この1年は非常に大きな成果があるように考えます」(吉田氏)

インテル代表取締役共同社長の吉田和正氏
記者会見では、Penryn世代のデュアルコア「Wolfdale」(2.66GHz動作)とクアッドコア「Yorkfield」(3GHz動作)を組み込んだシステムで登場したばかりの「Cinebench 10」によるベンチマークテストが行われた。「Celeronでは止まってしまうのでは」と思うほどに重いベンチで、Wolfdaleをもってしても「じっくり」と処理が進んでいった

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