かつて、「ひざの上で使える」という意味から「ラップトップ」と呼ばれたそれは「ラップクラッシャー」と呼ばれるようなサイズと重量のPCだった。月日が過ぎ、ラップトップは本当の意味でラップトップになり、さらに小型軽量化されてカバンに入れて持ち歩けるモバイルPCとなった──。
「これらノートPCに加え、2006年の春にはウルトラモバイルPC(UMPC)というカテゴリが出現した」と述べるIntelのモビリティ部門ゼネラルマネージャ兼シニアバイスプレジデントのダビ・ペリマター氏によれば、UMPCは、サーバ、デスクトップPC、ノートPCに次ぐ、第4のフォームファクタであるという。
UMPCの出現とともに、25周年を迎えたノートPCに1つの転機が訪れようとしている。同氏の基調講演で示された米ガートナーの資料によれば、もともとノートPCの普及率の高い日本を除き、世界的にノートPCの需要が高まっていることが分かる。デスクトップPCを含めたPC市場全体でのシェアを見た場合、2008年には西ヨーロッパと米国でノートPCのシェアは50%に達し、この先デスクトップPCを上回る、PC市場のメインストリームへと成長していく。欧州や北米におけるPC売り上げの多くは買い替え需要が中心である。Core Duo/Core 2 Duoのリリースされた2006年は、同時に2007年にWindows Vistaの出荷が控えている年であるにも関わらずPCの売り上げが好調であることから考えると、新アーキテクチャへの移行が買い替え需要を喚起している可能性は高いといえる。
業界的には2007年1月のWindows Vista登場が1つのターニングポイントになると思われるが、それは同時に試練の到来でもある。Windows Vistaではグラフィックス機能を中心に高いシステム性能を求める仕様になっている。こうした機能強化はサイズや消費電力の面で制約のあるノートPCにとってハードルが高い。とくに普及価格帯の製品や小型軽量タイプの製品に高性能なグラフィックスチップを載せると、本体価格の上昇や消費電力増大の要因となってしまう。2007年前半に登場するSanta Rosaでは、これらの問題を解決して普及価格帯の標準ノートPCでWindows Vistaを快適に利用できる環境を提供することを目指している。
Santa Rosa(開発コード名)は、CPUとチップセット、無線LANモジュールの3つをあわせたノートPC向けプラットフォームの総称だ。Intelは、ノートPC向けに「Centrino」というブランドを展開しているが、Santa Rosaは「次期Centrino」と考えていい。このSanta Rosaの特徴を列挙すると下記のようになる。
FSBの高速化とスリープモードなどによる省電力機能サポートなど、パフォーマンスと低消費電力を両立しているCrestlineだが、内蔵されるグラフィックスコアの機能強化にも注目しておきたい。3Dデスクトップ表示「AERO」が標準機能として実装されるWindows Vistaにおいて3D描画機能が大幅に強化されたグラフィックスコアは多大な効果を発揮すると期待される。
フラッシュメモリモジュールは「Robson」と呼ばれる技術で、Santa RosaマシンにPCI Express経由で接続することでHDDのキャッシュとして動作し、ディスクアクセスの高速化や省電力化を実現する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.