UMPCとモバイルWiMAXで「新しいモバイル」がやってくるIDF Fall 2006(2/3 ページ)

» 2006年09月29日 00時01分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

WiMAXで大きく変化するモバイルネットワーク環境

 Santa Rosa世代のノートPCでは、通信モジュールとフラッシュメモリモジュールの2つがオプションとして仕様に加えられる。通信モジュールはWiMAXや3G携帯電話などの無線LAN以外の通信機能を提供するもので、当初はモバイルWiMAX(IEEE 802.16e)での利用を想定している。

 2006年後半には、家庭に設置するような従来の固定アンテナタイプだけでなく、ノートPCのような移動体デバイスからアクセスできるモバイルWiMAX対応チップが出荷を開始して一部のノートPCに搭載される予定だ。さらに2008年には「Ofer-R」と呼ばれるモバイルWiMAXと無線LANの統合チップが登場する。このタイミングでWiMAXモジュールがノートPCの標準仕様に格上げされる可能性が高い。

 一方で、全米第3位の携帯電話キャリア「Sprint」がIntelと共同でWiMAXインフラの整備を行うことを発表している。Sprint以外にも、Intelが2006年7月に約6億ドルの出資を発表したベンチャー企業「ClearWire」が、やはりWiMAXインフラの整備を進めるなど、今後数年で全米規模のWiMAXネットワーク網が構築される予定になっている。

 かつてCentrinoが無線LANをノートPCに標準実装したことでホットスポットの急速な拡大をうながしたように、ノートPCに対応モジュールが搭載され、かつ、全米規模のサービスキャリアが登場など、立ち上がりまでやや時間がかかっている印象のあるWiMAXでもようやく普及のための下準備が整いつつある。2008年以降に予定されているノートPCへのWiMAX標準搭載によって、WiMAXがモバイルインターネットの主役に躍り出る日は、そう遠くないのかもしれない。

現状のWiMAXは固定アンテナとの通信のみが可能な規格だが、2006年以降はノートPCによる出先からの通信が可能なモバイルWiMAXへと移行し、2008年にはモバイルWiMAXと無線LANが1つのモジュールに統合される。最終的には802.21などのローミング規格を用いて異なるネットワークをまたいでインターネットに接続することが可能になる
Santa Rosaで標準となる無線LANモジュール「Kedron」。802.11nをサポートし100Mbpsオーバーの無線通信が実現できる

2006年後半に登場する「Rosedale 2」では、固定無線WiMAXとモバイルWiMAXのデュアルモード通信を実現する。将来的には「Ofer-R」と呼ばれるWiMAX+無線LANの統合型チップが登場することになる
全米第3位の携帯電話キャリア「Sprint」は、インテルらと共同で全米規模のWiMAXネットワーク構築を発表。同様のWiMAXキャリアとして米ClearWireが挙げられ、この2社で今後数年内に全米をカバーするブロードバンドネットワーク網を構築することになる

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