第6回 光ディスクの製造工程 その2──ディスク成型からパッケージまで新約・見てわかる パソコン解体新書(2/4 ページ)

» 2007年11月26日 11時11分 公開
[大島篤(文とイラスト),ITmedia]

ディスクの成型工程

 光ディスクの金型の詳細図と、光ディスクの射出成型の動画を示します。まずは動画を見てください。


 成型のステップは次のようになっています。

1.金型を閉じる。

2.金型内に溶融したポリカーボネート樹脂(温度は260度〜 300度)を一定量射出する。

3.移動金型の中心部からカットパンチ(直径15ミリの棒)を突き出して、ディスクのセンターホールを形成する。

4.移動金型に50トン前後もの力をかけて、金型内のポリカーボネートを強く圧縮する。

 (この型締めにより、スタンパー表面のミクロン単位のピットやグルーブの形状が正確にポリカーボネート樹脂に転写される)

5.ポリカーボネート樹脂の熱が金型に奪われ、温度が150度以下に下がって硬化する。

 (金型の内部には冷却水が流されていている)

6.移動金型を開く。

7.硬化したディスクを取り出す。

 上の動画では各工程が短い時間で進んで行くので何が行われているのか分かりにくいかもしれませんが、この動画のスピードは別に誇張したものではありません。

 DVD-ROMの場合、射出成型のサイクル(タクトタイム)は最高2秒という高サイクルなのです。記録可能なDVD-RやDVD-RWの場合はより高い精度が求められるため、サイクルは3.5〜4秒。記録密度が高いHD DVDやBlu-ray Discではもう少し長くなります。

 基本的に、成型サイクルを短くするほど生産効率を上げられますが、短かすぎればディスクの品質が悪くなってしまいます。2つの金型を装備して、一度に2枚ずつディスクを作れる射出成型機もあります。

 下図は、開いた状態の金型から、成型されたディスクを取り出しているところを示しています。成型されたディスクは、金型の表面に張り付いた状態なので、金型との間に圧搾空気を流すなどの方法ではがします。そして、吸盤付きのアームで吸着したうえ、成型機の外に取り出して、次の工程の装置に受け渡します。


 上の図中のスプルというのは、金型の射出口の中で硬化したポリカーボネート樹脂のことです。スプルの左側には、カットパンチによって打ち抜かれたディスクの中心部がくっついています。

 DVDの場合は、0.6ミリ厚のディスクを2枚張り合わせた構造になっていますが、片面ディスクの場合は片方のディスクにのみ記録層があります。記録層を持つディスクをマスター基板、記録層を持たないディスクをダミー基板と呼びます。ダミー基板も射出成型機によって成型されますが、その金型には当然ながらスタンパーは装着されていません。

ディスクの冷却工程

 成型機から取り出されたばかりのディスクの温度は100度以上あり、柔らかい状態です。これをスピンクーラーという装置にセットして、毎秒8000回転以上という高速度で回転させることで、遠心力によりディスクの平面性を高めながら、風を当てて冷却します。ディスクの温度が十分に下がったら、次の工程に進みます。

 なお、DVDは張り合わせる前のディスクが0.6ミリと薄いので、短時間で温度が下がりますが、Blu-ray Discのマスター基板は1.1ミリあるため、冷却時間が長くなります。


記録層の形成工程

 温度が下がって形状的に安定した状態になったディスクに対して、記録層を形成します。記録層の構造や組成、形成方法はDVD-R/RW/RAM で異なります。また、DVD-ROM の場合は記録層の形成は必要なく、次の反射膜の形成工程に進みます。

 ここでは、DVD-Rの有機色素記録層の形成工程を紹介しますが、以下のようにスピンコート法が使われます。

1.ディスクをスピンコーターにセットしてゆっくり回転させる。

2.中心部に、有機色素を溶媒(アルコールなど)に溶かした液体を滴下して輪を作る。

3.ディスクを高速回転させて、遠心力で液体をディスク全体に広げる。

 (余分な液体はディスクのふちから外に飛び出す)

4.回転を止めてディスクを取り出し、次の工程に向けて搬送する。

 この工程はディスクの成型よりも時間がかかるため、1つの製造ラインに複数(たとえば4機)のスピンコーターを並べて並列処理します。


記録層の乾燥工程

 ディスクに塗布された液体に含まれる溶媒はスピンコート中に蒸発しますが、取り出し後も多少残留しています。ディスクを温風が流れる乾燥炉に通すことで完全に乾燥させ、有機色素記録膜を硬化させます。この工程はベーキングとも言います

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