5万円で買える地デジ対応ワイド液晶ディスプレイ――「LCD-DTV191XBR」実力診断リモコンで軽快操作(2/3 ページ)

» 2007年11月29日 11時15分 公開
[前橋豪,ITmedia]

自社開発の地デジモジュールで快適なレスポンスを実現

自社開発の地上デジタル放送受信モジュール。アルプス電気のTVチューナーユニットとSTマイクロエレクトロニクスのHDTVデコーダチップを搭載する

 地上デジタルTVチューナーはCATVパススルー対応で、UHF 13〜62チャンネルとCATV 1〜63チャンネルを受信可能だ。機能の使いやすさや操作のレスポンスを考慮し、地上デジタル放送受信モジュールは自社で開発した。これにより、液晶パネルの高解像度を生かして全12チャンネル約4時間ぶんの番組を一覧表示できるEPGや、番組視聴予約に対応する。

 番組視聴予約の機能は最大11件まで登録可能。視聴予約の時間が迫るとアラートが通知されるため、PC使用中でも見逃すことがないのは便利だ。視聴予約機能は電源オフ時でも有効なので、オンタイマーとしても使える。オフタイマーは30/60/90/120分に設定可能だ。そのほか、機能面では字幕放送に対応するが、データ放送や双方向サービスはサポートしていない。これら機能の非対応も価格を抑えるための選択だろう。

 同社が特に力を入れたというのが、TV操作のレスポンスだ。内部の映像処理を見直したことで、起動時間はAC電源投入後から5秒程度、チャンネル切り替えは2秒程度に抑えたという。実際に試したところ、電源オンからTV映像の視聴が可能になるまでは5秒前後、チャンネル変更は2.5秒前後、入力切り替えは3.5〜4秒だった。EPGに関連した動作はもたつくものの、TV視聴のレスポンスは良好で、昨今の薄型TVと比べても引けを取らない。急いでいるときに、起動やチャンネル切り替えが遅くてイライラすることはないだろう。

リモコンの「週間番組」ボタンを押すと起動するEPGでは、全12チャンネル約4時間ぶんの番組を一覧表示できる(写真=左)。表示する曜日と時間帯はリモコンで手軽に切り替えられる。リモコンの「現在番組」ボタンを押すと、放送中の番組情報を表示する(写真=中央)。番組詳細情報はリモコンの「番組説明」ボタンを押せば表示される(写真=右)

 LCD-DTV191XBRの液晶パネルはアスペクト比が16:10なので、地上デジタル放送の16:9映像では上下に黒帯が入る。黒帯が入るのが気になる場合は、アスペクト比を維持したまま左右をカットして黒帯なしで拡大表示する「フィット表示」が可能だ。

 TV映像の画質に関しては、解像度が1440×900ドットでドットピッチが0.284ミリと通常の液晶TVより細かいこともあり、ハイビジョンの精細さが存分に感じられる。ただし、特別な高画質化技術は実装していないので、液晶TVのように豊かな発色やコントラスト感はなく、黒浮きも少し見られる。また、オーバードライブ回路や黒挿入などの動画ボケ低減技術を備えていないので、サッカー中継や文字のスクロールでは輪郭のブレが目立つこともあった。

 とはいえ、PC用の液晶ディスプレイはリビングに置く大画面TVより視聴距離がかなり近くなるため、TVの画作りをそのまま持ち込んだ場合、映像があまりに明るく鮮やかすぎて目が疲れやすいこともある。その点、LCD-DTV191XBRはハイビジョンの解像感を十分表現しつつ、全体に自然なトーンで映像が見やすいと感じた。映像コンテンツを鑑賞する領域には達していないが、視聴という意味ではまったく問題ないレベルだ。

付属のリモコンで軽快な操作が可能

付属の赤外線リモコンは、入力系統、EPG表示、画質モード、画面サイズなどのボタンが独立しているため使いやすい

 本体の電源オン/オフ、入力切り替え、TVのチャンネル切り替え、音量調整、OSDの設定などは、付属の赤外線リモコンでまとめて操作できる。リモコンで各種設定が行えるのは、一般的な液晶ディスプレイと比べて使いやすいポイントだ。OSDメニューのレスポンスもよく、快適な使い勝手を提供してくれる。

 用途別の画質モードは入力系統にかかわらず、「標準」「映画」「CG」「ナイト」の4種類から選べる。「標準」モードと比べて、「映画」モードはコントラストが少し下がり、「CG」モードは色温度が向上、「ナイト」モードではバックライト輝度がかなり下がる。通常はバランスがよい「標準」モードを使うのがよいだろう。

 画質調整はPC入力とAV入力で異なり、PC入力では赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローの6色独立調整が可能で、AV入力では色合いと色の濃さを調整できる仕組みだ。画質の調整項目は限定されており、色温度の設定項目がないのは物足りなく感じた。

 TVとAV入力はOSD設定が共有化される仕組みで、TV視聴時に画質モードを変更すると、D4入力の画質モードも切り替わってしまうので注意が必要だ。一方、PC入力のOSD設定は影響を受けず、PC入力とAV入力で異なる画質の設定をしても問題ない。

PC入力時のOSDメニュー。バックライト輝度やコントラストの調整はもちろん、6色独立の色調整に対応する(写真=左、中央)。音声出力の設定は、高音、低音、バランスを微調整できる(写真=右)

 1440×900ドットと異なる解像度を入力した際のスケーリング機能は、PC入力とAV入力で少々異なる。リモコンの「画面サイズ」ボタンを押すことで、表示方法を切り替える仕組みだ。PC入力の場合、1440×900ドット未満の解像度はアスペクト比を維持したまま拡大表示するか、アスペクト比を無視して全画面拡大表示するかを選択可能だ。ドットバイドット表示には対応していない。

 D4入力の場合は、Xbox 360に接続して試したところ、D2(480p)、D3(1080i)、D4(720p)、D5(1080p)が入力可能だった。カタログスペックではD4入力対応とのことだが、今回試した限りではD5も問題なく入力できた。D2の場合は、左右に黒帯を入れて4:3のアスペクト比で表示するか、引き伸ばして全画面拡大表示するかを選べる。

 少々困るのが、D3〜D5の場合で、アスペクト比を無視して全画面拡大表示するか、アスペクト比を維持したまま左右をカットして黒帯なしで拡大表示するかの2通りしか選べない。つまり、アスペクト比16:9の映像を上下に黒帯を入れて正確に表示するモードが用意されていないのだ。今回試用した機材は最終版に近い試作機とのことだったが、今後の改良を求めたい。Xbox 360についてはアナログRGBでの接続もサポートしているが、PC入力が1系統しかないのでゲーム用に使っていいか迷うところだ。

PC入力で1024×768ドットの解像度を表示した例。アスペクト比を維持したまま拡大表示(写真=左)するか、アスペクト比を無視して全画面拡大表示(写真=右)するかを選べる

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