最後に冒頭の話を繰り返すようだが、ほんの2〜3年前までは、アナログTVチューナーを搭載した液晶ディスプレイが多くのメーカーから発売され、1つの製品ジャンルとして市場に定着していた。
しかし、地上アナログ放送の停止を2011年に控え、市場からはアナログTVチューナー搭載の液晶ディスプレイが姿を消しつつある。にもかかわらず、デジタルTVチューナーを備えた液晶ディスプレイが増えてくるというわけでもなく、TV機能付きの液晶ディスプレイという製品ジャンルは衰退の一途をたどっていた(一方で、AV入力対応のワイド液晶ディスプレイというジャンルが台頭した)。
実際、デジタルTVチューナーを標準装備した液晶ディスプレイを作るには、それ相応の映像処理回路やチューナーユニットが必要になるし、国内ならではの決まりごととしてB-CASカードを採用しなければならない。アナログTVチューナーを載せるよりもコストがかかるため、製品化は一筋縄ではいかないのだ。大量生産される大型の液晶TVが急速に値下がりしている中で、家電の薄型TVほど大きな需要が見込めないうえにコスト高になりがちなデジタルTVチューナー付き液晶ディスプレイは、落としどころが難しい製品といえるだろう。
とはいえ、TV機能付きの液晶ディスプレイに一定のニーズがあることは、アナログTVチューナー搭載モデルの実績から明らかだ。アイ・オー・データ機器が今回投入したLCD-DTV191XBRは、これまで難しかった地上デジタル放送対応のワイド液晶ディスプレイを低価格で提供することを試みた実に意欲的な製品に仕上がっている。
残念ながら低価格化のために搭載できなかった機能もあるが、地上デジタル放送の受信モジュールを自社開発することで、操作のレスポンスや使い勝手を高めるなど、同社らしい工夫が好印象だ。PC用のワイド液晶ディスプレイで地上デジタル放送やゲーム機との接続も楽しみたいと考えている人にとって、LCD-DTV191XBRは低予算で要求を満たしてくれるかもしれない貴重な存在といえる。今後はより大画面のモデル、できればフルHD対応で24インチ以上のモデルを投入してくれることを期待したい。
| LCD-DTV191XBRの主なスペック | |
|---|---|
| パネルサイズ | 19インチワイド |
| 表示エリア(H×V) | 408.2×255.2ミリ |
| 画面解像度 | 1440×900ドット |
| 画素ピッチ | 0.284×0.284ミリ |
| 視野角 | 上下/左右とも160度 |
| 輝度 | 300カンデラ/平方メートル |
| コントラスト比 | 1000:1 |
| 応答速度 | 5ms |
| PC入力端子 | D-Sub 15ピン |
| ビデオ入力端子 | D4、S-Video/コンポジットビデオ共用 |
| 音声入力端子 | ステレオミニ、RCAステレオ×2 |
| 音声出力端子 | ヘッドフォン(ステレオミニ) |
| スピーカー | 2.5ワット+2.5ワット |
| TVチューナー | 地上デジタル(UHF 13〜62ch/CATV 1〜63ch) |
| チルト角度 | 上20度/下5度 |
| スイベル角度 | − |
| 高さ調節 | − |
| 縦画面表示 | − |
| VESAアームマウント規格 | 100×100ミリ |
| 電源 | 本体内蔵 |
| 消費電力 | 最大70ワット、待機時5.5ワット |
| 本体サイズ | 460(幅)×191(奥行き)×371(高さ)ミリ |
| 重量 | 約5.9キロ |
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