XPS? それとも、Alienware?──デルのゲーミングPC戦略をCTOに聞く

» 2008年01月17日 16時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 家電の祭典であるInternational CESにおいて、“PC”を強く打ち出したブースとして印象強かったのが、DELLとHPだ。HPが、大規模なブースを半分にして、片方のエリアでHP本来の「デジタルホーム」を訴求する一方で、もう片方のエリアでは、買収した「Voodoo」の製品を大量に投入してゲーミングPCをアピールしていた。

 対するDELLは、それほど広くないブースを2つに分けて、片方はソファーやカウンターバーを設けたラウンジに、そして残りのエリアにXPSシリーズを中心に新製品や未発表製品を展示していた。ゲーミングPCとしては唯一、やはりDELLに買収されたAlienwareの製品が1台だけ展示されているに過ぎなかった。しかし、プレイベントのDigital Experienceで注目を集めた超ワイド液晶ディスプレイと(スタッフが言うところの)Skulltrailの組み合わせという、見た目にもド派手な組み合わせは、多くの来場者をひきつけ、常にその周りは黒山の人だかりという状況だった。

 このように、CESでは「DELLとHPのゲーミングPCが激突」という雰囲気が色濃く出ていたようにも思えるが、この状況をXPSシリーズによって先行していたDELLはどのように考えているのだろうか。DELLにしても、買収したAlienwareとXPSのすみ分けをどうするのか気になるところだ。このあたりの疑問を、多忙なるCESの期間中に日本からきた報道陣のグループインタビューに対応してくれた、同社CTOのケビン・ケトラー氏に確認してみた。

インタビューに先立って「日本でXPS Oneの人気はどうですか?」と聞いてきたケトラー氏(写真=左)。日本市場におけるXPS One(写真=右)の評判がとにかく気になるらしい

HPの参入はウエルカム。先を行くのはDELLだからね

 まず、デルが先行して築き上げてきた「ハイエンドゲーミングPC」市場に、CESでHPが大掛かりなプロモーションを仕掛けてきたことに対して、ケトラー氏は「HPの参入を大いに歓迎したい」と懐の深さを見せてくれた。

 「DELLがAlienwareを買収したあとで、HPはVoodooを買収するなど、ゲーミングPCにおいてHPはDELLの後を追いかけてきている。ゲーミングPCというカテゴリーをHPが認めつつあるという状況は、DELLにとって歓迎すべきことだ」(ケトラー氏)

 Alienwareの買収にあたっては、ケトラー氏自身が彼らの本社があるマイアミに足を運んで交渉などを行ったそうだが、ケトラー氏はAlienwareの製品開発における創造性と開発スピードの速さを高く評価したという。「DELLの環境にあっていて、Alienwareと仕事をするのは楽しい」(ケトラー氏)

 ただし、DELLもゲーミングPCとしてXPSのラインアップを進化させており、デスクトップPCのカテゴリーでもDELL自身がオーバークロックを施している究極のゲーミングPC「XPS 720 H2C Edition」をリリースしただけでなく、ゲームだけでない、エンターテイメントユーザーをターゲットにしたXPS 420や、現在未発表ながら、XPS 720を小型にしたXPS 630をCESで展示するなど、ハイエンドからエントリーまで幅広いラインアップを展開している。こうしたデルのラインアップにおいて、Alienwareを必要とするユーザー層はあるのだろうか。

 この問いにケトラー氏は「Alienwareはハイエンドゲーマー向けに、XPSはよりボリュームゾーンとなるユーザーに向けて、それぞれが製品を提供していく」と答えてくれた。 「Alrenwareは、XPSと競うのではなく、“ウルトラハイエンド”ゲーマー向けに出していく。ボリュームはそれほど大きくないが、新しいテクノロジーを採用したり奇抜なデザインの筐体を採用したりということでマーケットを作っていく。Alienwareで採用した技術はXPSにも移行していくようになる。ボリューム的にはXPSのほうが大きくなるだろう」(ケトラー氏)

 「Alienwareで採用された技術がXPSに移行された実例」としてケトラー氏は、買収前に両者で競合していた冷却機構ユニットで、Alienwareが開発したユニットをXPS 720 H2C Editionに搭載したケースを紹介している。

CESでHPが展開していたVoodooブランドの「BLACKBIRD002」(写真=左)とDELLが展示していた超ワイドディスプレイと組み合わせたAlienwareのゲーミングPC(写真=右)

SkulltrailとSpider、決めるのはユーザーのニーズ

 自ら、パフォーマンスPCのブランドとしてXPSを立ち上げ、Alienwareの本社にも足を運ぶなど、ゲーミングPCに並々ならぬ熱意で取り組んでいるというケトラー氏は、「最初、AlienwareとDELLを併記したブランド名にしようと思ったが、それぞれのブランドを尊重してそれぞれのユーザーを混乱させないように、今までのどおりでいくことにした」と語っている。無理に自社ブランドに取り込んでしまうのではなく、それぞれの“個性”を生かして、異なるステージでマーケットを展開していこうというのが、デルが考えるAlienwareとXPSのすみ分けということなのだろうか。

 Alienwareでは新技術を積極的に取り入れていくとケトラー氏はいった。となると、現在、インテルが開発を進めているゲームユーザー向けプラットフォーム「Skulltrail」(開発コード名)や、AMDが発表したばかりの「Spider」プラットフォーム、そして、NVIDIAやAMD(ATI Technologies)が提供しようとしているハイエンドマルチGPU技術「3-way NVIDIA SLI」「CrossFireX」などは、まず、Alienwareで導入されることになるのだろうか。

 「DELLがインテルとAMDを評価する場合、まずは、彼らの技術的なアドバンテージを見る。それから、われわれのラインアップにあわせてどのようなCPUやGPU、チップセットを採用するか判断する。SkulltrailもSpiderもユーザーの需要にマッチするかどうかを判断して決めることになる。どちらを導入するかについては、現時点では分からない」(ケトラー氏)

HPの「BLACKBIRD002」(写真=左)がSpiderプラットフォームで構成されていたのに対して、DELLのAlienwareマシンはSkulltrail(写真=右)で構成されていたのも興味深いところだ

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