これら、中国の家電量販店のフロア構成はどうなっているだろうか。入口近くでは携帯電話やデジカメ、電子辞書、MP3プレーヤーといったガジェット系が販売されており、店の奥、ないし2階、3階が、TVや白物家電のフロアになっている。PCはガジェット系を扱っているフロアで販売している店舗もあるが、中国の電脳街と比べて(また、日本の電器量販店と比べても)積極的とは言いがたい。中国のPC事情を家電量販店で判断するのは止めておいたほうがいい。地方の電器店になるとTVやDVDプレーヤーなどAV家電が目立つ場所に、その奥に白物家電が置かれて、PCやデジタルガジェットは置いていない店が多い。
店内は、デジカメ、携帯電話、TV、冷蔵庫、洗濯機などジャンルごとにコーナーが設けられ、さらにジャンル内では、メーカーごとにスペースが区切られている。例えば、冷蔵庫なら、Panasonicと、エレクトロラックスと、シーメンスと、ハイアールとに売り場に分かれているわけだ。そこでは、それぞれのメーカー関係者が接客する。日本の家電量販店のように冷蔵庫売り場全般を担当する店員はいない。販売しているメーカーの数だけ店員(その正体はメーカーの関係者)がいるので、閑散期の店内は客より店員が多くなる。実は、家電量販店で購入せず、正体がメーカー関係者である“店員”を介してメーカーから直接購入すると、店頭価格よりさらに安く購入できるケースがあるという。これが事実とすれば、場所を提供する家電量販店に対するメーカーの背信行為が日常的に発生していることになる。
大型家電量販店の系列店は、同じ都市であれば各店舗とも設定している価格は同じなので、少しでも安い商品を求めて複数の店舗を巡回する必要はない。都市が違えば値段も若干変わってくるが、それ以上に都市によって異なってくるのが、店舗ごとの品ぞろえだ。同じ系列なのに販売しているものが異なるのだ。典型的なのがTVの品ぞろえだろう。地方都市にある国美や蘇寧ではブラウン管が主体で、液晶TVやプラズマTVがあっても価格が安い中国メーカーの製品であるのに対して、上海や北京では、シャープやソニーやサムスンといった中国以外のメーカーが中心となっている。
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