最高峰のレッドか、定番のシルバーか――「Let'snote R」08年春モデル検証熟成を重ねたコンパクトモバイル(2/3 ページ)

» 2008年02月07日 11時45分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

小さなボディに過不足なく詰め込んだインタフェース

 インタフェースの種類と構成は前モデルと共通だ。バッテリーを背面側に搭載するレイアウトを採用しており、背面のコネクタはなし。前面にはSDメモリーカードスロット(SDHC対応)とサウンドコネクタを装備。左側面には奥からACアダプタ、アナログRGB出力、ポートリプリケータ(オプション)出力、TypeII×1のPCカードスロット。右側面は奥から1000BASE-Tの有線LAN、FAXモデム、2基のUSB 2.0ポートが用意されている。通信機能は、有線LANのほかにIEEE802.11a/g/b準拠のワイヤレスLANを搭載しており、前面の右側にスイッチを備えている。

 このクラスのモバイルノートPCとしては標準的な装備であり、ACアダプタなど常時ケーブルを接続する種類ものは奥に、必要に応じて抜き差しするようなコネクタは手前側にというセオリーどおりの配置で、不便に感じる部分はない。

店頭販売モデルの前後。液晶ディスプレイはラッチで固定する仕組みで、前面には無線LANスイッチも用意している。冷却ファンがあるのは背面だ

店頭販売モデルの左右。2基のUSB 2.0ポートはいずれも右側面に並ぶ。アナログRGB出力にはケーブル脱落防止用の6角ネジが用意されている

 プロミネントレッドモデルを含めたプレミアムエディションではこれらインタフェースコネクタの細かい部分までほぼブラックで統一。白のプリントが鮮やかに映える仕上がりとなっている。アナログRGBのコネクタ内部にブルー、USBコネクタ内部にホワイトが残っているが、ほかの部分が統一されているためにいいアクセントになっており、不自然さは感じない。

プロミネントレッドモデルの前後。赤と黒のコントラストは店頭販売モデルにはない存在感がある

プロミネントレッドモデルの左右。黒のボディに白のプリントは視認性がよい

スペックも魅力的なプレミアムエディション

 さて、基本スペックを見てみよう。店頭販売モデルのCPUは、2007年の冬モデルの超低電圧版Core 2 Duo U7500(1.03GHz)から、超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz)に強化されている。どちらもTDP(熱設計電力)は10ワットと共通だ。店頭販売向けの春モデルにおけるアップデートはこの1点のみで、バッテリー駆動時間も約7.5時間と変わっていない。

 チップセットはIntel GM965 Expressで、チップセットにグラフィックスコア(Intel GMA X3100)を内蔵している。メモリ容量は標準で1Gバイト(PC2-4200)を備えているほか、底面に空きのMicroDIMMスロットが1基あり、最大2Gバイトまで増設が可能だ。HDDは2.5インチサイズで、容量が80Gバイト、回転数が5400rpmと、このクラスのモバイルノートPCとしては高速な製品が使われている。

店頭販売モデル試作機のデバイスマネージャ画面

 直販サイトのマイレッツ倶楽部で購入できるハイスペックモデルでは、CPUが超低電圧版のCore 2 Duo U7700(1.33GHz)になり、HDD容量が160Gバイトに増量される。Core 2 Duo U7700もTDPは10ワットだが、HDD容量が増えたこともあり、公称のバッテリー駆動時間は7時間と、店頭販売モデルより30分ほど少ない。

プレミアムエディションは「Intel Turbo Memory」を標準装備。ユーティリティでReady BoostとReady Driveの設定ができる

 そして、プレミアムエディションでは、CPUにハイスペックモデルと同じCore 2 Duo U7700(1.33GHz)を採用しつつ、HDDにはさらに大容量の250Gバイトを搭載する。さらに、Intel Turbo Memory(1Gバイト)を搭載しているのも大きなポイントだ。

 Intel Turbo Memoryは、高速なフラッシュメモリをPCI Express経由で接続する技術で、Windows VistaのReady Boost機能およびReady Drive機能とあわせて使うことでWindows Vistaの動作を高速化できる。よく利用するようなデータはこのTurbo Memoryのフラッシュメモリに置かれるためHDDアクセスを減らすことができ、HDDアクセスによる速度ロスをなくすと同時にバッテリー駆動時間を延ばす効果も期待できる。

 ハイスペックモデルと同じCPUを搭載していながら店頭販売モデルと同じ約7.5時間のバッテリー駆動時間を達成しているのはこの効果だろう。

プロミネントレッドモデル試作機のデバイスマネージャ画面。CPU、HDD、Intel Turbo Memoryといったスペックが店頭販売モデルと異なる

 なお、プロミネントレッドモデルは底面のメモリスロットにあらかじめ1GバイトのMicroDIMMが装着してあり、合計2Gバイトのメモリ容量としている。2GバイトはLet'snote Rでサポートされる最大のメモリ容量だ。その影響で本体の重量は10グラム重く、またバッテリー駆動時間も7時間と少し短くなっている。

底面にある1基のメモリスロット(MicroDIMM)は、ネジ止めされたフタを外すだけですぐにアクセスできる。店頭販売モデルは購入時にメモリスロットが空いた状態だ(写真=左)。プロミネントレッドモデルは1GバイトのMicroDIMMが装着されて合計2Gバイトとなっている(写真=中央)。バッテリーはリチウムイオン式で容量が7.2ボルト 5800mAhだ。ACアダプタはLet'snote R全モデルで共通化されている(写真=右)。ACアダプタのサイズは82(幅)×37(奥行き)×26.3(高さ)ミリ、重量は約205グラム(実測)と小型軽量で携帯しやすい

サイズなりに洗練された入力環境

 ボディの横幅が229ミリしかないだけに、画面やキーボードのサイズには当然制限がある。液晶ディスプレイのサイズは10.4インチのスクエア、画面解像度は1024×768ドットだ。ノングレア(非光沢)タイプの液晶は落ち着いた発色となっている。上下の視野角が狭いが、ビジネス向けのモバイルノートPCとしては実用上問題ない視認性を持つ。

 ワイド画面のほうがWindows Vistaと相性がいいのは事実だが、Windowsサイドバーさえ使わなければワイドである必要性はなく、10インチクラスの画面ではワイドであっても多少のカスタマイズ(アイコンの小型化など)が求められることを考えると、こだわるほどのことでもないといえる。ただ、今後もし同シリーズにワイド液晶モデルが登場するならば、少々古さを感じてしまうことは否めないだろう。

店頭販売モデル(写真=左)とプロミネントレッドモデル(写真=中央)の液晶ディスプレイ。フレームの色は違うが、液晶パネル自体の表示品質は変わらない。Windows Vistaのデスクトップ画面はやや狭い印象ではある(写真=右)

 キーボードは、主要キーの横ピッチを約17ミリ確保しているが、縦ピッチは約14ミリと狭い。左右の端のキーはかなり小さく詰め込まれており、Enterキーも小さくなっている。レイアウトは半角/全角キーが最上段にあること、PrintScreenなどキーの共有が多いことなどが気になるが、カーソルキーを一段下げて配置している点は評価できる。多少強くタイプしてもたわみなどは感じず、タッチは悪くない。小さいなりによくできているが、縦ピッチが狭いことから、スムーズにタイピングするには少々慣れが必要だろう。ちなみに、マイレッツ倶楽部ではかな印字を省いた「ローマ字すっきりキーボード」も選択できる。

 ポインティングデバイスには、Let'snoteのデザインアイデンティティにもなっているおなじみのホイールパッドを採用している。シナプティクスの多機能ドライバにより、ホイールのエッジをなぞることで縦方向/横方向のスクロールが可能で、感度も良好だ。円形のパッドを生かして、ふちをクルクルとなぞって縦方向/横方向にスクロールできるのはおもしろい。ただし、ボディサイズの関係からホイールパッドはボタンが小さめで、慣れないと少し押しにくいかもしれない。

 プレミアムエディションでは、本体のカラーに合わせてブラックのキーボードが使われているほか、電源ボタンやホイールパッドの内側もブラックで統一されている。インジケータのLEDとのコントラストも鮮やかで、形状はまったく同じながら、店頭販売モデルとはまったく違う精悍(せいかん)な印象を受ける。

店頭販売モデル(写真=左)とプロミネントレッドモデル(写真=中央)のキーボード。好みに応じて、BIOSセットアップからキーボード左下にあるFnと左Ctrlキーのキーアサインを入れ替えることができる(写真=右)

ホイールパッドのドライバはシナプティクス製(写真=左)。パナソニック製のユーティリティも用意され、スクロール開始範囲などを設定できる(写真=中央、右)

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