VAIO type Gはソニーが仕立てた「白いワイシャツ」山田祥平の「こんなノートを使ってみたい」(2/2 ページ)

» 2008年02月14日 13時00分 公開
[山田祥平,ITmedia]
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意味のある堅牢性を「フルフラット」に持たせる

──所有感を満たすスタイルを保持したままで追加された堅牢性には、どのような工夫が施されていますか。

大塚氏 例えば、コネクタ類はマザーボードに直付けしないようにしてあります。外部からの衝撃がマザーボードに直接伝わらないようにするためです。こうした見えにくいところの品質に注意しています。

林氏 動作時は72センチ、これは机の高さで、非動作時は90センチ、こちらは小脇に抱えた状態で持ち運んでいるときを想定していますが、それぞれの高さから落下した状態で動作検証試験を行っています。数値にも意味があるんです。(手が当たる部分のグリップ感を増すなどの)落下させない工夫も大事ですが、やはり最優先すべきは落下したときに安全であることです。

大塚氏 本当は、両方に対応できれば一番いいですよね。でも、優先すべきは落ちたときでしょう。実は、VAIO type Tを黒く塗って、キャビネットだけ作ればそれでいいのではないかという乱暴な意見もあったんです。でも、それではだめなんですよね。最初からしっかりと考えたコンセプトに基づき、まったくイチからフルスクラッチビルドしたのがVAIO type Gなのです。

──VAIO type Gの使われ方として、どのような場面が考えられるでしょうか。

第2世代から導入された防滴性能では、キーボード面にこぼれた液体が内部に侵入しないようにシールドが設けられている

林氏 VAIO type G(で求められていた要素)は、1に堅牢性、2に軽量性、3にスタミナ(バッテリー駆動時間)、4に薄さです。この順番で優先順位を持たせて開発に取り組みました。利用場面としてまず想定したのは、ビジネスバッグの中に入れて持ち運ばれることです。書類がたくさん入っていますね。おそらく重量的にはノートPCとほぼ同じ、あるいは書類が重いかもしれない。ACアダプタを持っている可能性もありますが、Lバッテリーで11時間持ちますから、1日の通常業務ならACアダプタを持ち歩かないでしょう。

大塚氏 ごく通常のかばんという想定をすると、本体に凹凸があると使いにくいじゃないですか。それに、局所的にかかってしまう荷重のことも考えなければなりません。そこで、フルフラットにすることで、局所的なストレスを全面のストレスに変えたんです。

林氏 インナーケースに入れて持ち運ぶユーザーが多いことは分かっていますが、インナーケースを使っても本体に加わる圧力は変わらないんです。手持ちのデータによると、インナーケースに入れて持ち運んでいても液晶パネルが壊れるモバイルノートPCもあるようです。

大塚氏 いずれにしても、(本体だけでなく)ユーザーのストレスも減らしてあげたいというのがソニーの考えです。今までの標準的なモバイルノートPCよりも丈夫になっているはずですよ。その上で、側面を斜めにすることでコネクタを見やすくしたり、見栄えを良くしようとしています。いってみれば、身だしなみにも気をつかうという感じでしょうか。客先で対面して使うことを考えて背面をきれいに作ってあるというのもありますね。相手に見える背面をおろそかにしないという気遣いです。

長期にわたる利用を想定して、キーボードの文字はレーザー刻印を導入して「かすれ」が起きないようにしている

林氏 あとは、パームレストの部分などは、塗装がはげないように特に気遣っています。キーボードのプリントが消えるのは最も悲しいので、レーザー刻印です。摩耗に強いはずですよ。

大塚氏 タッチパッドに対しても摩耗の基準を高く設定しています。パームレストの強度も上げています。こういう工夫によって継続して使えるシャーシになりました。長く使ってもらえるようになったおかげで、ユーザーが使ったときに感じた改善点もフィードバックしています。第1世代のVAIO type Gから第2世代のVAIO type Gへ代替わりしたときにも、細かいところでいろいろと手を入れています。

林氏 例えば、防滴性能を導入しました。水が確実に排水できるようにしてあります。さらに、キーボードまわりでは、キータッチのフィーリングを強化しました。ハードコーティングの液晶パネルも使うようにもなりました。使っているうちにディスプレイの表面が傷つくという意見があったので、表面の硬度をあげる必要が出てきたのです。現在のVAIO type Gの液晶パネルは、5Hの鉛筆でひっかいても大丈夫です。こうして、細かい要求を満たしていきます。

すべてを満たすのはVAIO type Gのほかにない

──企業ニーズ特有の(ノートPCの)要件などはありますか。

VAIO type GではCTOでワンスピンドル仕様も選択できるが、その場合でも筐体は同じものが使われる。ビジネス市場ではユーザーがそれ以上を望まないというのがソニーの意見だ

大塚氏 企業ニーズでは、ワンスピンドルモデルが欲しいというユーザーもいるのですが、それ専用のボディが欲しいというユーザーはいません。ただ、法人によってはメモリカードスロットを外したいという要望もあるので、これはCTOで対応できるようにしてあります。いずれにしても、薄すぎて拡張性が犠牲になっては意味がないんじゃないでしょうか。そういう“とんがった”モデルを求めているユーザーはビジネス市場のターゲットではいないということです。

 もし、VAIO type Gをコンシューマーユーザーが買ったら、VAIO type Tとずいぶん違うことに驚かれると思います。実際、SOHOユーザーなどが量販店でVAIO type Gを買われるケースも多いようです。個人ユーザーが訪れる量販店であっても、実際に購入しているのはコンシューマーユーザーとしてではなく、ビジネスユーザーとして買われている傾向があります。

 ソニーがモバイルノートPCとして蓄積した技術とノウハウをまとめたら、VAIO type Gになったわけで、ある日思いついても、いきなり作れるものではありません。VAIO type Gは、ソニーが培った技術の集大成でもあります。

さらにVAIO type GではSSDを搭載した「ゼロスピンドル」モデルも選択できる。競合するLet'snoteでは、まだSSDモデルが用意されていないのと対照的だ

林氏 移動中の使用などに関しても、設計と工場部門は長野にあるんですが、特急「あずさ」のように揺れの大きな車両での移動でも問題なく使えることを実証しました(編注:ソニーのスタッフによると、揺れが激しい車両で「加速度センサー」を利用するHDDプロテクション機能をもったノートPCを使うと、揺れを検出してHDDが頻繁に停止してしまうという)。実際に「あずさ」に乗ってHDDの加速度センサーをチューニングしているときもあります。

大塚氏 揺れからHDDが守られても、使いものにならないのはよくないじゃないですか。VAIOノートに搭載された加速度センサーは落下の予兆が検知できるようにチューニングしていますから、実際に使う場面で使いにくいということはないと思います。ただ、実際に落下させてしまったら、念のため、サービスセンターで検査してもらってほしいですね。そのときはなんともなくても、時間が経過したら不具合が露見するかもしれません。持って行ったら何ともなかったという確率が高いですから、安心の材料のようなものと考えてほしいところです。

──ユーザーがVAIOノートを選ぶ理由はどこにあると考えていますか

大塚氏 薄くてバッテリーも長持ちするのに軽い、そして本体は使いやすいフルフラットになっている。SSDのような最新デバイスにも対応し、デザインは所有感を満足させる。さらに、具体的な数値を明らかにして堅牢性を検証している。これらの点をすべて満たしているモバイルノートPCは、VAIO type Gのほかにはないと考えています。


 白いワイシャツとコットンのボタンダウンシャツ。どちらも「服」としての機能は同じだ。襟があって袖があって身ごろがあるなど“構造”も同じだ。でも、身にまとうシーンは明らかに違う。開発コンセプトを聞いて、スーツの下に着る白いワイシャツを想像してしまった。VAIO type Gは、「ソニーが作ればビジネスモバイルはこうなる」がうまく形に現れたノートPCなのだ。

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