ライバルは「8800 GT」──「GeForce 9600 GT」で新世代ミドルレンジの実力を知るイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2008年02月22日 00時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

NVIDIA初の9000番台GPUだが、それはそれとして

 NVIDIAが、2月21日に発表したミドルレンジGPUの新モデル「GeForce 9600 GT」は、65ナノメートルプロセスルールを採用し、構成トランジスタ数は5億500万個。統合型シェーダユニットは64個を搭載する。リファレンスとしてNVIDIAから提示されているデータシートでは、コアクロック650MHz、メモリクロック900MHz(DDRデータ転送レートで1.8Gbps相当)、シェーダユニットクロック1625MHzとされている。

 HDCPに対応するほか、出力インタフェースではこれまでのHDMIに加えてDisplay Portもサポートする。NVIDIAが公開しているリファレンスカードの画像では、載せているクーラーユニットは1スロット厚の薄型タイプで、外部電源として6ピンコネクタを1つ備えているのが確認できる。データシートに記されているグラフィックスカードの最大消費電力は95ワットだ。

従来のミドルレンジモデル「GeForce 8600 GT」からすると、フットプリントは大きくなり、全体を覆うクーラーユニットのせいか、そのイメージはGeForce 8800 GTに近い
グラフィックスメモリはGDR3を512Mバイト搭載する。メモリバス幅は256ビット。NVIDIA SLIコネクタは1つで、3-way NVIDIA SLIには対応しない

機能が拡張されたPureVideo HD

 GeForce 9600 GTに実装されるPureVideo HDは、ForceWare 174.xxを適用することで「Dynamic Contrast Enhancement and Dynamic Blue、Green、and Skin Tone Enhancements」という新しい機能が使えるようになる。それぞれ、高画質を実現する機能で、コントラストの強調や、色の発色を鮮やかにし、人肌の表現が自然になるように色味を調整する。なお、この機能は、GeForce 9600 GTに限らず、G92世代のGeForce 8800 GT、GeForce 8800 GTS 512Mでも、ForceWare 174.xxを適用することで利用可能になるとNVIDIAの資料では説明している。

 GeForce 9600 GTは、型番が9000番台になった初めてのラインアップなので、新世代GPUの到来という印象をユーザーに与えるが、先に説明したように、その内容はG90コア世代のミドルレンジGPUであって、すでに登場しているGeForce 8800GT、GeForce 8800 GTS 512Mのシュリンクバージョンと考えてもいい。

 とはいえ、搭載する統合型シェーダユニットの数こそ64個と少ないものの、コアクロックにメモリクロック、シェーダユニットクロックと、パフォーマンスに影響するスペックをほかの「G90」世代のGPUと並べると、GeForce 8800 GTを上回り、オーバークロック設定の「PV-T94P-YDD」は、GeForce 8800 GTSをも上回る。メモリバス幅も256ビットと遜色ない。

GPU主要スペック GeForce 9600 GT(G94) GeForce 8800 GTS(G92) GeForce 8800 GT Radeon HD 3850
コアクロック 650MHz 650MHz 600MHz 670MHz
メモリクロック 900MHz 970MHz 800MHz 880MHz
メモリバス幅 256ビット 256ビット 256ビット 256ビット
シェーダユニット 64 128 112 320
グラフィックスメモリ 512Mバイト 512Mバイト 512Mバイト 256Mバイト
PureVideo 第2世代 第2世代 第2世代
プロセスルール 65ナノメートル 65ナノメートル 65ナノメートル 55ナノメートル

 速い動作クロックと少ない統合型シェーダユニットがパフォーマンスにどれだけ影響するだろうか。GeForce 8600 GTは、その前の世代のミドルレンジGPUだったGeForce 7600 GTに対して、それほど大きな差をつけることができなかったが、GeForce 9600 GTは果たしてどうか。

 今回の評価作業では、GeForce 9600 GT搭載グラフィックスカードはXFXの「PV-T94P-YDD」を用いた。これは、XFX得意のオーバークロックバージョンで、コアクロックが700MHz、メモリクロックが1000MHzに設定されている。

 XFXのグラフィックスカードは、NVIDIAのリファレンスデザインをそのまま利用することが多い。GeForce 9600 GTを搭載した製品でも、基板レイアウトや載せているクーラーユニットの形状はNVIDIAが公開しているリファレンスと同じだ。クーラーユニットは1スロットタイプの薄いタイプで、基板全体を覆っている。その雰囲気はGeForce 8800 GTのリファレンスカードに近い。

ミドルレンジGPUであるが、6ピンの外部電源コネクタを持つのも、GeForce 8800 GTと共通だ。
今回評価に使ったのは、XFXのオーバークロックバージョン「PV-T94P-YDD」だ。実売価格は2万8500円前後の予定。XFXでは定格設定の「PV-T94P-YDF」も用意しており、こちらの実売価格は2万6500円前後の予定だ

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