NVIDIAが、2月21日に発表したミドルレンジGPUの新モデル「GeForce 9600 GT」は、65ナノメートルプロセスルールを採用し、構成トランジスタ数は5億500万個。統合型シェーダユニットは64個を搭載する。リファレンスとしてNVIDIAから提示されているデータシートでは、コアクロック650MHz、メモリクロック900MHz(DDRデータ転送レートで1.8Gbps相当)、シェーダユニットクロック1625MHzとされている。
HDCPに対応するほか、出力インタフェースではこれまでのHDMIに加えてDisplay Portもサポートする。NVIDIAが公開しているリファレンスカードの画像では、載せているクーラーユニットは1スロット厚の薄型タイプで、外部電源として6ピンコネクタを1つ備えているのが確認できる。データシートに記されているグラフィックスカードの最大消費電力は95ワットだ。
GeForce 9600 GTに実装されるPureVideo HDは、ForceWare 174.xxを適用することで「Dynamic Contrast Enhancement and Dynamic Blue、Green、and Skin Tone Enhancements」という新しい機能が使えるようになる。それぞれ、高画質を実現する機能で、コントラストの強調や、色の発色を鮮やかにし、人肌の表現が自然になるように色味を調整する。なお、この機能は、GeForce 9600 GTに限らず、G92世代のGeForce 8800 GT、GeForce 8800 GTS 512Mでも、ForceWare 174.xxを適用することで利用可能になるとNVIDIAの資料では説明している。
GeForce 9600 GTは、型番が9000番台になった初めてのラインアップなので、新世代GPUの到来という印象をユーザーに与えるが、先に説明したように、その内容はG90コア世代のミドルレンジGPUであって、すでに登場しているGeForce 8800GT、GeForce 8800 GTS 512Mのシュリンクバージョンと考えてもいい。
とはいえ、搭載する統合型シェーダユニットの数こそ64個と少ないものの、コアクロックにメモリクロック、シェーダユニットクロックと、パフォーマンスに影響するスペックをほかの「G90」世代のGPUと並べると、GeForce 8800 GTを上回り、オーバークロック設定の「PV-T94P-YDD」は、GeForce 8800 GTSをも上回る。メモリバス幅も256ビットと遜色ない。
GPU主要スペック | GeForce 9600 GT(G94) | GeForce 8800 GTS(G92) | GeForce 8800 GT | Radeon HD 3850 |
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コアクロック | 650MHz | 650MHz | 600MHz | 670MHz |
メモリクロック | 900MHz | 970MHz | 800MHz | 880MHz |
メモリバス幅 | 256ビット | 256ビット | 256ビット | 256ビット |
シェーダユニット | 64 | 128 | 112 | 320 |
グラフィックスメモリ | 512Mバイト | 512Mバイト | 512Mバイト | 256Mバイト |
PureVideo | 第2世代 | 第2世代 | 第2世代 | − |
プロセスルール | 65ナノメートル | 65ナノメートル | 65ナノメートル | 55ナノメートル |
速い動作クロックと少ない統合型シェーダユニットがパフォーマンスにどれだけ影響するだろうか。GeForce 8600 GTは、その前の世代のミドルレンジGPUだったGeForce 7600 GTに対して、それほど大きな差をつけることができなかったが、GeForce 9600 GTは果たしてどうか。
今回の評価作業では、GeForce 9600 GT搭載グラフィックスカードはXFXの「PV-T94P-YDD」を用いた。これは、XFX得意のオーバークロックバージョンで、コアクロックが700MHz、メモリクロックが1000MHzに設定されている。
XFXのグラフィックスカードは、NVIDIAのリファレンスデザインをそのまま利用することが多い。GeForce 9600 GTを搭載した製品でも、基板レイアウトや載せているクーラーユニットの形状はNVIDIAが公開しているリファレンスと同じだ。クーラーユニットは1スロットタイプの薄いタイプで、基板全体を覆っている。その雰囲気はGeForce 8800 GTのリファレンスカードに近い。
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