最初に述べておくが、GeForce 9600 GTのパフォーマンスは従来のミドルレンジGPUである「GeForce 8600 GT」「GeForce 8600 GTS」を圧倒する。表示が煩雑になるのを避けるため、グラフには加えていないが、比べるまでもないほどの違いだ。そこで、ここでは、GeForce 8800 GTの定格動作と、GeForce 9600 GTオーバークロック版「PV-T94P-YDD」、そのコアクロックとメモリクロックを定格に設定した状態、そして、AMD(ATI Technologies)のハイエンドミドルレンジGPU「Radeon HD 3850」搭載リファレンスカードのそれぞれで測定したベンチマークテストの結果を比較した。
なお、Radeon HD 3850のデータは、以前掲載したレビュー記事から流用しているが、そのときの評価用システムの構成で、Intel X38 Expressチップセットを搭載するMSIの「X38 DIAMOND」を組み込んでいたため、今回の評価システムで利用しているnForce 680i SLI搭載マザーと環境が異なる。CPUや、HDD、導入しているOSなど、そのほかの条件はそろえているのでほとんど違いは出ないと思われるが、完全に同一でないので参考データとして扱っていただきたい。
また、GeForce 8800 GTのデータは、XFXの定格動作版「PV-T88P-YDFP」を使って新たに測定したが、導入した「ForceWare」は、NVIDIAがGeForce 9600 GTの評価用として配布した「174.12」が、GeForce 8800 GTで認識できなかったため、こちらは、NVIDIAのWebサイトで入手できる最新の「169.25」を適用している。
3DMark06にしても、市販のゲームを利用したベンチマークテストにしても、その傾向はきれいにそろっている。グラフにあるように、GeForce 8800 GTには、かなわないものの、その結果は限りなく近い。
ゲームを使ったベンチマークテストでは、「F.E.A.R.」でオーバークロック設定のGeForce 9600 GTがGeForce 8800 GTを上回り、同じDirectX 9ベースの「Enemy Territory-QUAKE Wars Demo」の重負荷条件では、オーバークロック設定のGeForce 9600 GTはGeForce 8800 GTに迫っている。
また、「Company of Heroes 2.130.0」と「Crysis Single Play Demo GPU_Benchmark」では、DirectX 9設定でつけられていた差が、DirectX 10設定で縮まる傾向も見られる。
+D Shoppingで実売価格を調べると、GeForce 8800 GTが3万円を少し超える程度、GeForce 9600 GT(この記事を書いている時点では予告価格だが)は2万円台後半に分布している。その価格差は少ない。ベンチマークで示された結果は、この価格差をきれいになぞっているといえるが、実際購入するとなると、GeForce 9600 GTを選ぶか迷うところでもある。ミドルレンジクラスのGPUを選ぶユーザーにとって重要度が増している「PureVideo HD」にしても、ドライバを最新にすれば同じ機能が使えるようになるとNVIDIAは説明しているので、こちらも決め手にはならない。
仮に、先日いきなり登場して初期出荷ロットだけで終息するといわれている「GeForce 8800 GS」の実売価格である2万5000円を切るあたりまでGeForce 9600 GT搭載グラフィックスカードの実売価格が下がってくると、GeForce 8800 GTとGeForce 9600 GTの違いがはっきりしてくるだろうが、現時点では、もうちょっとだけ予算を上乗せしてGeForce 8800 GTを購入したい。
ちなみに、ベンチマークで比較したRadeon HD 3850搭載グラフィックスカードの実売価格を調べてみると、こちらは2万円代半ばから後半と、GeForce 9600 GTとほぼ同じ価格帯に並んでいる。しかし、(参考データながら)ベンチマークテストの結果は、参考データながらRadeon HD 3850はGeForce 9600 GTに完全に離されてしまった。2万円台半ばの価格帯というグラフィックスカードに対しても3D性能を重視するユーザーにとって、Radeon HD 3850を選択する理由を見いだすのは難しいだろう。
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