携帯ゲーム機っぽいUMPC――Wibrain「B1」を試す親指入力にボディを最適化(1/3 ページ)

» 2008年03月21日 17時45分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

独創的なデザインを採用した“ハーフA5サイズ”のUMPC

Wibrain「B1」

 韓国Wibrain(ウィブレイン)の「B1」は、個性的な外観が目を引くUMPCの新モデルだ。日本ではブルレーが販売を手がけている。横長の携帯ゲーム機を思わせるそのデザインは、今時であれば一回り大きなPSPという例えが似合うだろうか? 筆者は、1980年代に圧倒的なハイスペックで世間を驚かせた携帯ゲーム機(と言うには大きかったが)の「Atari Lynx」を思い起こしてしまった。

 それでは、ミニPCを語るうえで重要な本体サイズから確認していこう。幅は192ミリ、奥行きは82ミリ、厚さは28ミリで、A5ノートPCの奥行きを半分にしたようなハーフA5サイズとも言えるフットプリントだ。フットプリントが小さく、奥行きが短いため、全体のバランスとしては結構厚く見えるが、28ミリという厚さはノートPCとして見れば標準クラスだろう。

 重量は526グラムで、ノートPCとしては超軽量、UMPCとしてはまずまずと言ったところ。片手で持ってしまうと重量感があり、上着のポケットなどへ収容するには無理を感じるが、小さめのカバンに入れて気軽に持ち運べるコンパクトサイズだ。ただし、バッテリーの動作時間は、公称値で約3時間とやや短い。

背面には7.4ボルト 4000mAhの4セルバッテリーとファンを装備している(写真=左、中央)。動作時間は公称値で約3時間とやや短めだ。付属のACアダプタはミニPCとしては少し大きく、突起部を除くサイズは53(幅)×110(奥行き)×37(高さ)ミリ、重量は実測で316グラムだった(写真=右)

本体を持ち運ぶのに便利なソフトケースも付属

 主要コンポーネントは、VIAのUMPCプラットホームを採用。CPUは超低電圧版C7-M 772(1.2GHz)で、グラフィックコアのUniChrome Proを内蔵したシングルパッケージチップセットのVX700を搭載している。今回入手した評価機は、メインメモリがDDR2で容量1Gバイト、HDDが1.8インチタイプで容量60Gバイトの上位モデル(B1H)だ。メモリ容量512Mバイト、HDD容量30Gバイトの下位モデル(B1E)も用意されている。いずれのモデルもメモリの増設には対応していない。

 なお、評価機のプリインストールOSは英語版のWindows XP Professionalだったが、実際の製品は日本語版のWindows XP Home Editionとなっている。そこで今回は、Windows XPの日本語版をインストールし、必要なドライバを組み込んだ状態で試用した(Windows XP日本語版のHome Editionは手元になかったので、Professionalを利用)。

CPUは国内で採用例の少ないVIA C7-Mを採用(写真=左)。メインメモリは1Gバイトだが、グラフィックスチップがメインメモリ共有タイプで64Mバイトぶんを消費している。なお、製品版ではWindows XP Home Editionがプリインストールにされる。チップセット、無線LANチップもVIA製だが、HDDにはSamsung製の60Gバイトドライブが搭載されていた(写真=中央)。BluetoothのスタックはBlueSoleil製だ(写真=右)。手持ちのBluetoothヘッドフォン、Bluetoothキーボードなどは問題なく接続して利用できた

慣れは必要だが、モバイルでは価値のある分割キーボード

 B1における最大の特徴は、入力デバイスの独創的なレイアウトにある。横長のボディ中央には、タッチパネル機能を備えた4.8インチワイド液晶ディスプレイ(1024×800ドット表示)を装備。その左右の上半分にQWERTYキーボードを2分割して配置し、左の下側には方向キーやマウスボタン、右の下側にはタッチパッドを備えている。いわゆる“両手親指打ち”を明白に意識したレイアウトだ。

 左右に均等分割されたキーボードは5段配列で、数字キーも設けている。ただし、その数はギリギリまで削られており、記号の一部やファンクションキーもFnキーと同時押しで入力する仕組みだ。とはいえ、両手の親指で入力することをしっかりと意識した設計がなされ、ほかのキーとの併用が前提になるFn、Ctrl、Alt、Shiftの各キーは左右の両方に装備しており、片手の指で2つのキーを操作する必要を極力減らしている。

 3つのボタンを押すことになるShift+ファンクションキーの操作などはやっかいだが、そうそう頻度の高い動作ではないだろう。キーサイズやキーピッチは均等でメリハリがないものの、両手の親指で入力する限りでは、この点に不満を感じることはなく、プチプチと押していく文字入力はなかなか快適だ。

2分割されたキーボードがB1のキモだ(写真=左)。キーボードにはバックライトが搭載されており、暗所では各ボタンが光る(写真=右)

 もちろん、17〜19ミリ程度のキーピッチを確保した一般的なモバイルノートPCのキーボードと比較して快適かと言われれば、当然そうではないし、B1のキーボードを使いこなすには相当な慣れも求められる。しかし、画面上のソフトキーを利用したり、手書き入力に頼るよりはグッと使いやすいと感じる人は多いだろう。方向キーやPgUp/PgDnキーは左側の下部に独立して装備しており、カーソルの移動やページのスクロールといった操作は手間いらずだ。

 ただし、日本語入力では2つの点が気になった。1つはEscキーがFnキーと同時押しになっている点だ。タイプミスした場合にEscキーで頻繁に入力をキャンセルする人は、ちょっと困ってしまうかもしれない。もう1つは、「~」がFnキーと同時押しになる点だ。B1の英語配列キーボードでIMEのオン/オフを切り替えるにはAlt+「~」の操作が基本だが、これが実に面倒になるのだ。筆者はフリーソフトの「AltIME」を利用して、右AltキーにIMEのオン/オフを割り当ててしまったが、この方法だとAlt+アルファベットキーのショートカット操作を多用する人だと不便に感じる可能性もある。

感圧式タッチパネルの液晶ディスプレイにより、指やスタイラスペンによる入力も可能だ

 ポインティングデバイスの操作は、右手でタッチパッド、左手でマウスボタンを扱うことになる。このスタイルでは細かい操作が難しいが、Webブラウズや、アイコン、ウインドウ、ボタンなどを選択して動かす程度ならば、大きな不満を感じない。

 細かいマウス操作が必要なときは、スタイラスペンを使ってタッチパネルの液晶ディスプレイに触れて操作するほうが便利だ。タッチパネルの機能は感圧式なので、専用のスタイラスペンが必要なわけではなく、指で押しても操作できる。左手で本体を保持して、右手でスタイラスペンを操作する場合も特に不便は感じない。

タッチパッドはSynaptics製の多機能ドライバが導入されており、スクロール操作などもサポートする(写真=左)。タッチパネルは、TECHDINE製の「TOUCHWARE」と呼ばれる多機能ドライバにより、かなり細かく動作を設定できる(写真=中央)。長押しがマウスの右ボタンのクリックに相当するなど、初期状態での操作はごく一般的なものだ(写真=右)

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