拡張カードの装着と、各パーツのケーブル接続が終わったら、HDDマウントを戻して引っ越し完了。……と思ったのだが、ここにも落とし穴が用意されていた。着脱が容易な下段のマウントにHDDを装着したところ、上段のHDDがグラフィックスカードと干渉してしまった。下段のマウントはHDD底部のねじ穴でレーンと固定する仕様で、位置の微調整は難しい。また、ズラせたとしてもコネクタ部の干渉を避けるのは物理的に不可能だ。仕方なく、HDDを上段のマウントに移して作業終了となった。
Mini P180は、P180を小型化しながらも拡張性を最大限に確保したことで、内部パーツが干渉するシチュエーションは増えているように思える。また、拡張カードを差したあとはマザーボードのコネクタ類のメンテナンスがほぼ不可能になるなど、扱いやすいとは言いづらい。
ただし、拡張性が高いからこそ、干渉しても別のベイやマウントに移したり、マザーボード裏のケーブル配線を変更するといったさまざまな対処が可能なのだ。初めて自作に挑む人には少しだけハードルは高いかもしれないが、工夫を凝らすほどに美しく組み立てられる奥深さがある。作業の中盤からはパズルを組み立てていくような感覚だった。
さて、移行完了後のMini P180はいたって快適だ。側面パネルを開けっ放しで使っていた旧ケースは、内部の騒音が筒抜けで、エアコンの音よりもはるかにうるさかった。それと比べるのはMini P180に対してあまりに失礼かもしれないが、最初に起動したときはその静かさに感動した。背面と上面ファンの回転数を最大にしても、低音がかすかに響くだけでほとんど耳につかない。
左開きのフロントドアは270度回転する仕様のため、机の右脇に置いても作業をじゃましないし、当然ながら見栄えもグンと上がり、仕事中にPCが視界に入っても“カオス”を感じなくなったのがうれしい。
Mini P180はコンパクトな本体と拡張性を両立し、さらに見た目も美しい。しかし、そのメリットを享受するのと引き替えに、ユーザーの自作スキルを試してくる。まさに自作そのものを楽しみたい人向けのケースだ。
Mini P180のベースとなった「P180」は、自作ユーザーからの高い人気を誇るミドルタワーケースだ。ATXマザーボードに対応する大柄なケースだけあって、上記のような拡張性とメンテナンス性のトレードオフはほとんどなく、本体のサイズを気にしない環境ならこちらもオススメだ。こちらの実売価格は1万8000円前後(→+D Shoppingで各ショップの価格を見る)。
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