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» 2007年02月05日 22時04分 公開

PCケースも「デュアル」の時代に

Antecはプロモーションに力を入れるPCケース、電源ユニットベンダーでは稀なる存在だ。そんなAntecが新しいPCケースをこの春に登場させる。

[長浜和也,ITmedia]

 Antecは、2月5日にPCケースや電源ユニット、外付けHDDケースの新製品説明会を日本の報道関係者に向けて行った。新しいPCケースとして紹介されたのは、パワーユーザー向けの「P182」とその上位機種「P190」、AV機器を意識したデザインの「Fusion」の新モデル。電源ユニットとしてはTruePowerシリーズの新シリーズ「TruePower Quattro」の1000ワットモデルと850ワットモデルと青色LEDを組み込んだ新シリーズ「NeoPower 650 Blue」の3製品。ほかに、外付けHDDケース「MX-1」とデジタルプレーヤーを冷却する外付けユニット「A/V Cooler」が2007年の第1四半期に登場する予定だ。

 P190は、Antecが「2006年に最も成功したPCケース」と評価するP180シリーズをベースに機能を拡張させた。最大の特徴は電源ユニットとして650ワットと550ワットの2つを搭載して「合計で1200ワット」との電源容量を実現したことだ。650ワットの電源からはマザーボードと拡張スロットに差したカードに電力を供給し、550ワットの電源はドライブベイやクーラー、ファンに電力を供給する。650ワットと550ワットの電源ユニットは「Neo-Link」と呼ばれるAntec独自のケーブルで接続することでそれぞれ独自に電力を供給しながら同じPCケースで使えるようになっている。そのため、ユーザーが電源ユニットを換装した場合、その電源ユニットは使えるが「デュアル電源ユニットとして使うことはできなくなる」(ワールドワイドセールス・マーケティング担当副社長のスコット・リチャーズ氏)ということになる。

Antecの新しいハイエンドPCケース「P190」はP180シリーズの拡張版でE-ATAフォームファクタに対応する。画像はサイドパネルを外した状態で、マザーボード裏に取り付けたケーブルタップが確認できる
P190の背面。上部左寄りのファンコントローラスイッチ、中部右寄りにある水冷ユニット用チューブ穴、そして下部に2つ並んだ電源ユニットと、P190の特徴がよく分かる

2つの電源ユニットはこのようにぴったりと並んで搭載されている。650ワットユニットはマザーボートと拡張カードに電力を供給する
2つの電源ユニットはこのケーブルで接続することで1つのPCケースで使えるようになる。Antecはデュアル電源ユニットのメリットを「同じ容量を1つのユニットで実現すると価格は高くサイズは大きくなってしまう」と説明する

 このほか、P180に採用された「チェンバー方式」(筐体内部をドライブベイ、電源ユニット、マザーボードの区画に分けて熱がほかの区画に影響しないようにする)を継承したほかに、新機軸として筐体上面に140ミリのファンを2基、サイドパネル(左側面のみ)に200ミリという大口径ファンを搭載している。また、P180ユーザーから「ケースを開けなくてもファンの回転数を制御したい」という要望に応えて、背面パネルに3段階で回転数を設定できるスイッチを設けている。背面パネルには外付け水冷ユニットを取り付けるためのチューブ口も2カ所設けられた。なお、サイドパネルにファンの排気口を開けたおかげで、P180で静音性能を高めるために採用されていた3層パネルが使えなくなった。そのため、パネルの4カ所に防振用のボルトをはめている。このほか、ユニークな機能として、ケース内部を照射するためにフレキシブルアームで支えられた白色LEDライトを搭載した。ケース内部のネジを取り外したりケーブルを抜き差ししたりした経験のあるユーザーには、そのありがたみがよく分かるだろう。

P190の天板に取り付けられた2連ファンとフレキシブルアームに取り付けられた白色LEDライト。P182は従来どおり天面には1つのファンを搭載している
P190のサイドパネルに取り付けられた200ミリの“Big Boy”ファン。エアフィルタが用意されていて筐体内部へホコリが入り込むのを防いでくれる

 P182はP180(その後継のP180B)のアップグレード版で、電源ユニットはP190で紹介したデュアルユニットでないが、チェンバー方式や背面パネルに用意された外付け水冷ユニットのためのチューブ口などの新機能が実装されている(ただし、白色LEDライトはない。また、天面パネルのファンはP180Bと同じ120ミリファンが取り付けられている。上にせり上がったスリット形状も引き継がれた)。

 P190もP182もフラットで全面をガンメタリックブラックで塗られたカバーで覆われる正面パネルはデザインの特徴となっている。また、マザーボードパネルの裏面は従来モデルから10ミリ底上げしてケーブルの取り回しを可能にしてケーブルをまとめるタップが用意された。同様にケーブルの取り回しに関する改善として、電源ユニットを収納するチェンバーからマザーボードを収納するチェンバーを仕切るパネルに電源ケーブルをくぐらせる穴を設けている。

 Fusion Blackの新モデルは現在出荷されている従来モデルのブラックタイプになる。筐体内部の構造や右側面に用意された2つの120ミリファン、フロントパネルに用意されたインタフェースなどは従来モデルと同様だが、カラーリングを変えているため印象はだいぶ異なる。また、正面左寄りに設けられていた蛍光ディスプレイ(Vacuum Fluorescent Display)はLCDに変更されている。

 HDDケースのMX-1の特徴はインタフェースにUSB 2.0とeSATAを備えていることと、ファンを内蔵してHDDを空冷していることの2点だ。空冷の外付けHDDケースはほかにもあるが、MX-1は筐体内部に設けた防振用のシリコンパッドがHDDを固定する以外に空気の通路を形成して、その通路を取り込んだ外気が吹き抜ける構造になっている。Antecの資料によると、ファンの温度を最大で摂氏15度下げる効果を発揮したという。ファンの回転数は1200rpmでノイズレベルは22.0 dBAとなっている。

Fusion Blackは筐体のカラーリングとステータス表示パネルがLCDに変わったことを除けば従来モデルと仕様はほぼ同じだ。画像は試作段階のものでFusionのデザイン的な特徴であった「大きなボリュームツマミ」が見当たらないが製品では従来どおりとなる
MX-1の内部を見る。画像で白く見えるのが防振用のシリコンパッドでHDDを載せると真ん中に空気の通り道ができる。ここを外気が駆け抜けることでHDDの冷却を行うとAntecは説明している

A/V CoolerをFusion Blackに載せる。このクーラーユニットはPC用ではなくAVプレーヤー用に開発されたものだ
A/V Coolerを裏から見る。仕組みは簡単で上がってきて熱気をこのファンで強制的に背面へ排出するというもの。A/V Coolerの上のほかの機器も設置できるという

 今回の説明会で紹介された製品は、すべて2007年の第1四半期の出荷を予定している。Antecの説明では現在中国の工場で生産ラインの構築中で、「課題が解決したら3月には生産を始める予定」となっている。米国市場における価格はP190が500ドル(電源ユニット込み)、P182が180ドル、電源ユニットのTruePower Quattroの1000ワットモデルが299ドルで850ワットモデルが249ドル。NeoPower 650 Blueは169ドルになる。

 また、MV-1が69ドル(ユニットだけの価格)でA/V Coolerは119ドルの予定。日本市場に出荷される場合は変更される可能性があるとAntecでは説明している。

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