8月8日という、末広がりの“八”が重なる日に、Antecのショールームが秋葉原は営団地下鉄銀座線末広町駅のすぐ近く、末広町交差点を望むビルの1階にオープンした。オープン初日には関係者向けの披露会が開かれ、米国から駆けつけたAntecワールドワイドセールス・マーケティング担当副社長のスコット・リチャーズ氏や、ショールーム運営に協力する日本総代理店のリンクスインターナショナル石塚大治氏が挨拶を述べた。
リンクスインターナショナルの石塚氏は、同社とAntecとの関係について紹介し、「リンクスインターナショナルがAntecの代理店となったことで、Antec製品のロジスティック拠点が日本にできた。そのことで、日本で製品を順調に供給できるようになり、Antec製品の売り上げが伸びることになった」と同社との代理店契約がAntecの日本市場における成長要因の1つとなったことをアピールした。
Antecのショールームは、銀座線末広町駅4番出口のすぐ先にある秋葉原MFビルの1Fにある。ガラス張りの店内は外からも内部がよく見えるオープンなつくりで、フローリングを敷いた明るい内部は、通路も広く取られ、フェニックスの鉢植えやサーフボードをディスプレイするなど、アキバのPCパーツ関連ショップというよりは、湘南のマリンショップという雰囲気を演出している。ショールームの運営はリンクスインターナショナルが全面的に協力することになっており、同社のスタッフが2〜3人常駐して来場者に対応するという。
JR秋葉原駅周辺の大規模ビルに注目が集まる最近の秋葉原であるが、PCパーツを買い求めるユーザーにとって地下鉄末広町駅は、アキバ巡回コースの起点としてまだまだ重要な存在だ。その目の前の1Fという、絶好の場所にありながら、Antecのショールームには物販機能は持たせないと石塚氏は述べる。その代わりに、「具体的なスケジュールは何も決まっていない」としながらも、自作PC教室のような来場者参加型のイベントを行ったりAntec製PCケースに組み込んだ最新のPCパーツを展示したりすることで、自作PCユーザー向けの最新情報を発信する場所にしていきたい、と構想を語ってくれた。
「PCパーツのすべてに関わるのがPCケースと電源ユニット。AntecのPCケースに組み込んだ形で展示することで、PCパーツに関する情報がこのショールームを訪れるだけで分かる場所になれるようにしていきたい」(石塚氏)
その1つの試みが、ショールームに設けられた、主要ショップブランドPCの展示コーナーだ。この種のPCはそれぞれの販売店舗だけで展示されるため横並びで比較することができない。しかし、Antecのショールームでは、(PCケースはAntec製品のみという制約はあるものの)主要なショップブランドPCが1カ所に集まっているという、アキバでも稀有な展示スペースが実現している。競合製品に負けないように、各ショップは最新のPCパーツを組み込んだ製品を展示すると思われるため、最新PCパーツを組み込んだ最強スペックPCがここに集結する可能性も高い。以下に、オープン当日に展示されていたショップブランドPCを紹介しよう。
また、「イベント的な展示企画」の試みとしてオープン当日に用意されたのが、自作PCブームを十数年に渡って引っぱってきたライター高橋敏也氏が、AntecのP182をベースに「改造」を加えた強烈水冷PCだ。2連ラジエータを使った水冷ユニットをデュアルで搭載して、マザーボードの裏面とCPUソケット、そしてグラフィックスカードのGPUを冷却している。CPUソケットの周りはアクリルラッカーでコーティングして結露が起こっても問題が起こらないようにしているという。その効率は予想以上で、「CPUがマイナス18度ぐらいで動いている」というこのシステムでは、Core 2 Duo E6700を3.2GHzにオーバークロックして動作していた。高橋氏は「4GHzは無理としても、それに近いオーバークロックは可能」と述べ、展示しているPCのセッティングは随時更新していく予定であると述べた。
高橋氏は関係者向けのオープニングセレモニーでスピーチを行い、「日本ユーザーの嗜好にあったデザイン、静音性能の重視、アルミにとらわれないスチールの採用が、P180やNINE HUNDRED、Soloなどで自作PCユーザーから広く支持された」とAntecの成長要因を説明した。「自作ユーザーとしてはSoloが一番いい。サイズ、ゴムバンドを使った防振防音ステーと通常のドライブトレーといった先進性と堅実性の両立。生活ノイズより目立たない動作音。そういう優位性を維持すれば、Antecの牙城は揺るぎない。しかし、2007年の春には新しい製品を投入していただきたい」(高橋氏)
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