これ本当にキーボードなの?――「diNovo Mini」を試す:親指でプチプチ(1/3 ページ)

» 2008年04月10日 12時15分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

 ロジクールの小型ワイヤレスキーボード「diNovo Mini」がいよいよ日本でも発売される。国内向けのdiNovoキーボードはこれが3機種目。同社初のモバイルキーボードであるdiNovo Miniは、黒とシルバーのツートーンカラーと、オレンジ色のバックライトから「diNovo Edge」を想起させるが、カバーを閉じたたたずまいは“空中マウス”こと「MX Air」を思わせる。どちらにしても高級機種であることに変わりはなく、事実、diNovo Miniもかなり高額な部類だ。

 はたしてdiNovo Miniはその価格に見合う満足感を与えてくれる製品なのか。また、その満足感というのは何に対するものなのか。実際にdiNovo Miniを使って確認していこう。なお、今回のレビューはWindows Media Centerを搭載したWindows Vista Ultimateを使用している。Windows XP Media Center Editionでは細かい動作が異なるかもしれないので注意してほしい。

本体前面/背面/左側面。カバーを閉じたときの本体サイズは、152(幅)×90(奥行き)×27.5(高さ)ミリで、側面から見ると「MX Air」のデザインに似ている

「小型化されたキーボード」ではないdiNovo Mini

 diNovo Miniを紹介するにあたって、最初に断っておきたいことがある。それはdiNovo Miniの属するカテゴリについてだ。diNovo Miniはロジクールのサイトでは「ワイヤレスミニキーボード」となっているが(そしてもちろん、これは決して間違いではないが)、通常のキーボードを小型化したもの、という認識で購入するとがっかりすることになる。

 通常のキーボードというのは文字入力のしやすさが大前提であり、キーボードを見ずに打つタッチタイピングが可能であることが最低限の評価基準になる。もちろん、小型のキーボードでは省スペースを図るために特殊なキー配列になっていることもあるが、その場合にも一般的なキーボードに慣れている人がどれくらいで使いこなせるようになるか、という点は重要だ。

 一方、diNovo Miniの場合、基本は親指でのタイピングであり、タッチタイピングはまず無理と考えたほうがいい。携帯電話用であればまだ分かるが、diNovo MiniはPC用だ(PLAYSTATION 3にも利用可能だが)。デスクトップPCはいわずもがな、サブノートPCでもほとんどの場合はdiNovo Miniよりも使い勝手がいいキーボードが搭載されているはずだ。

黒と銀のツートーンで配色したクラムシェル型のボディだ。天面側は光沢感のある黒く透明なカバーになっている

 それでは、diNovo Miniはいったい何のためのキーボードなのか。実は「キーボードを搭載したリモコン」という解釈が最もしっくりくる製品なのだ。

大胆なキーボードレイアウト

ファンクションキーは存在せず、最上段にはメディアコントロールキーが並ぶ。FNキーとの併用によって省かれたキーも多い

 往年のPC「MZ-80」シリーズのように、diNovo Miniの完全にマトリクス状に並んだキーボードは、押し下げ時のストロークが非常に浅く、タイプすると携帯電話のボタンに似た感触だ。キーはすべて中央が盛り上がっており、「F」「J」キーのホームポジションを示す突起もない。右上のクリックパッド、右下のWindowsキー、左上のOKボタンのために周辺のキーが円形にえぐられているのも特徴的だ。diNovo Miniに関しては文字入力のキーはカーソルキーやWindows Media Center起動ボタンよりも優先度が低いということが見て取れる。

 キーボードは6段配列ではあるが、本来のファンクションキーの列には音量調整や再生、早送りなどのメディアコントロールキーが並び、ファンクションキーはない。カタカナ変換や半角変換などができないので、日本語入力にはやや困るシーンもありそうだ。

 英数字キーの並ぶ2列目以降も右端部分を中心に削られているキーが目立つ。101英語キーボードと比較すると、2列目では「`(~)」「-(_)」「=(+)」(括弧内はシフトキー押下時)、3列目では「[({)」「](})」「\(|)」、4列目で「'(")」が省略されている。ほとんどはFNキーとの併用で入力可能だが、UNIX系シェルで頻繁に使用される「`」(バッククォート)、「~」(チルダ)、「|」(パイプ)の3文字はキートップ上には見当たらない(ただし、マニュアルの記載はないが、実はそれぞれ「FN+Q」、「FN+W」、「FN+X」と、左よりのキーとFNキーで入力できる)。また、このような事情のため英字キーボードでは通常「ALT+~」に割り当てられている日本語入力モードの切り替えが「FN+E」という変則的な操作になっている。

 機能キーもかなり変則的だ。CTRLとALTは1キーずつに省略されているが、特にALTはWindows Media Center起動ボタンにえぐられ、最も小さなキーとなっている。ESC、DELにいたってはそれぞれFNキーとTAB、0の同時押しとなる。DELが1キーで入力できないとWindowsで最もよく使用される3キー同時押しの組み合わせ、CTRL+ALT+DELの入力が大変だと思われるかもしれないが、これはFN+ENTERで入力可能だ。もちろん、CTRL+ALT+FN+0でもOKだが、指を4本同時に使用しなくてはならない。

 個数やキートップが削られているキーばかりではない。左端には一般キーの3つ分ほどの面積を占める巨大なPAGE UP/PAGE DOWNがある。このキーはチャンネル切り替えも兼ねており、FNとの併用ではズームイン/アウト機能が割り当てられている。

 そのほかに目につくのは、キー2つ分の面積を使って左右2カ所に配置されたFNキーだ。FNキーによる機能は青字で印刷されているが、レイアウトを見ると左右に振り分けられていることが分かる。これはdiNovo Miniを両手で持ち、片方の親指でFNキー、他方の親指でもう1つのキーを押しやすいように考慮した配置だろう。ノートPCのキーボードなどを見てもファンクションキー列にはバックライトの明るさ調整やボリュームコントロール、ディスプレイ出力の選択など、FNキー併用の機能がずらりと並んでいるのが普通だが、diNovo Miniではせいぜい端から4キー程度にしか割り当てられていない。

 そのほか、バックスペースも唯一、メディアコントロールキー列にある機能キーで、キー2つ分の面積を持つ。Windows Media Centerで「戻る」機能に割り当てられているためだろう。

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