アイ・オー・データ機器とトッパンフォームズは5月8日、非接触ICカードの国際標準規格 ISO18092に対応するNFCリーダーライターと関連アプリケーションの開発、販売において協業で展開していくと発表、個人向けNFCリーダーライター製品(5月下旬発売予定)、法人向け製品、NFCリーダーライター用SDKなどを発売する。
NFC(Near Field Communication)リーダーライターは、携帯やカード類に備わる非接触ICの情報を読み取り、かつ記録できる機器。既存製品にFeliCa対応のソニー「PaSoRi(パソリ)」が存在し、ソニー製PCを中心にFeliCaリーダーライターを搭載するPCも増加している。非接触ICはクレジットカードや携帯電話を中心に、電子マネー決済(EdyやWAONなど)やチャージ可能な交通機関の決済(Suicaなど)のほか、社員証や学生証、たばこ自販機(taspo)などに採用され、Webサイト上での電子マネー決済やセキュリティ用途としてのログオン認証、画面ロック、勤怠管理、家計簿、交通費精算など、PCやモバイル端末を軸にした利用シーンも今後増加していくと予想される。
アイ・オー・データが発売する個人ユーザー向け製品「ぴタッチ(USB2-NFC)」(5月下旬発売、価格は3100円)は、FeliCaに加えてMIFAREにも対応し、アイ・オーが展開する販売網(大手家電量販店など)による購入のしやすさなどがメリットとして挙げられる。
製品には、Edyの残高照会、取引履歴、チャージ(入金)、Web決済、Edyギフト操作などが行える「EdyViewer」(ビットワレット製)、電子マネーWAONのポイント残高やポイント交換申請、利用履歴などを照会できるWebサイトログイン情報をワンタッチで入力できるようにするブラウザプラグイン「WAON TOOL BAR」(トッパン・フォームズ製)、Suica、PASMO、ICOCA、TOICA、PiTaPaなどの交通決済系情報の利用履歴を閲覧できる「精算快速!Lite」(ドリームメカニズム製)などのソフトが付属。追って、ソリトンシステムズ製PCセキュリティソフト「SmartOn Solo(体験版)」も7月からダウンロード提供する予定(パッケージ同梱は8月中旬を予定)とする。
非接触ICカードリーダー製品は「セキュリティ用途を中心に企業用途では進んできているが、個人ユーザー、特に家庭内での活用においては、カードそのものの普及に対してそれほど進んでいない。また、リーダーライター製品そのものの選択肢も少なかった」とアイ・オー・データ機器の細野昭雄社長。2007年度までに1億8000万枚が流通するFeliCa国内累計は2008年は単年1億枚規模に増加、世界累計で約12億枚が流通するMIFARE(国内では成人認識カード taspoが採用)は、カード単価が数10円(50円以下)と安価なMIFARE UltraLightカードが市場に出回ることで、国内でも大幅な普及が見込まれている。
ぴタッチ(USB2-NFC)の主な仕様 | |
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本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 60×100×10ミリ |
重量 | 約33グラム(ケーブル除く) |
ケーブル長 | 約100センチ(着脱可能。別途、オプションで50センチの短ケーブルを用意するほか、市販のUSB Aオス−USB miniBオスケーブルも使用可能 |
通信方式 | ISO/IEC 18092(192kbps、212kbps、424kbps Passivemode)準拠 |
対応ICカード規格 | FeliCa、MIFARE |
インタフェース | USB2.0(FULL SPEED) |
電源電圧 | DC 5V(USB供給) |
電源 | USBバスパワー |
最大消費電流 | 約200mA |
付属ソフト | EdyViewer、精算快速!Lite、WAON TOOL BAR、NFCポート自己診断 |
対応OS | Windows Vista SP1(32ビット版)、XP SP2 |
付属品 | USBケーブル(約100センチ)、サポートCD-ROM、マニュアル |
価格 | 3100円(税抜き) |
発売 | 2008年5月下旬予定 |
法人向け製品は専用の立て掛け台が付属する「NFC-RW」(6月上旬発売、3700円)とUSBスティック型の「NFC-ST」(6月上旬発売、3700円)の2モデルを投入し、トッパン・フォームズのNFCリーダーライター向けソフトウェア開発キット(SDK)、ソリトンシステムズの非接触ICカードを活用したセキュリティソフトウェア「SmartOn」も含めた3社間のソリューション連携を図る。
トッパン・フォームズのSDKにより、同製品を用いたクライアント向け非接触ICカードのアプリケーションを企業側で開発することも可能。非接触ICカードによるオフィス認証やアクセス制限といった利用シーンのほかに、個人向け需要も含めて、NFC製品の特徴であるBluetoothや無線LANなどの無線通信と連携(無線通信ハンドオーバー)した利用も想定する。
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