「世界を大きく変える」と予測してはや29年──シーゲイトの歴史を振り返る (1/2 ページ)

» 2008年06月09日 17時00分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

Celebrating One Billion Hard Drives!

 まず、同社の小林剛代表取締役社長が29年間の会社の歴史を解説した。それによると「シュガートテクノロジー」として5名で起業したのが1979年で、それぞれが1万ドルを出資し、1980年に5Mバイトの容量を持つHDD「ST506」を発売したのがすべての始まりだそうだ。現在、同社の最高性能となる「Cheetah 15K.6」の容量はST506の10万倍近くあるが、価格は半分、容量あたりの価格では20万分の1になった。

冒頭に挨拶した日本シーゲイトの代表取締役社長の小林剛氏
「DISC Drive」は米Seagate Technology本社のある住所
シーゲイトは最初「シューガートテクノロジー」として創立された。創業者リストに名を連ねたコナー氏は「コナーペリフェラルズ」としてその後独立している

HDDは1956年のIBM RAMACからスタートしたが、シーゲイトはPC向けの5.25インチドライブから取り扱いを始めている
かつてHDDにかかわったメーカーは100社以上あった……が
現在は市場のほとんどをたった6社で占められている(シェア1%未満の会社があと1社ある)

 10億台を出荷まで29年かかったが、近年の家庭で扱う情報量はハイビジョンコンテンツの普及とユーザーが作成するコンテンツで大容量となっており、2003年には家庭で扱うデータ量はオフィスで使われるプロフェッショナルユースを抜いて、現在も差を広げつつあるという。

 現在の市場は純粋なHDDだけでなく、ハイブリッドHDDやSSD(シーゲイトも2008年末までに発表する予定)が出現している。シーゲイトは、市場のあらゆる用途に応えるメーカーとして、次の10億台は5年で達成する、とシーゲイトは自信を見せている。

シーゲイトの歴史でHDDの進化をたどる

 続いて、日本シーゲイトのフィールドアプリケーションエンジニアリング部シニアマネージャーの佐藤之彦氏がこの29年間で登場したシーゲイト製品を紹介し、さらにキーとなる技術について解説を行った。

創立した翌年の1980年に5.25インチの「ST506」を発売
1981年には早くも容量が2倍となるST412を出荷。HDDの急速な容量拡大はこのころからすでに始まっていた
1984年には、ハーフハイトHDDの「ST225」を発売した。ST412と同じ20Mバイトだが、ボディの厚さが半分になっている

1987年から3.5インチHDDを発売した。容量のラインアップは20/40/60Mバイト。また、このころまでステッピングモーターヘッドを使っていたことが写真から分かる(右は現在主流のボイスコイルで、左と中はステッピングモーター)
1991年にシーゲイトは2.5インチHDDに参入する(が、その後一時撤退)。容量は40Mバイトだった
1992年には世界初の7200rpmドライブ「Barracuda」を発表(容量2.1Gバイト)する。当時はSCSIインタフェースに対応したエンタープライズ向けのブランドだった

1996年には1万rpmを実現した「Cheetah 10K」を発表した。なお、この年にはConner Peripheralsを買収している
1997年にデスクトップPC向けの7200rpm製品「Medalist Pro」を発表した(当時は、デスクトップPC向けのラインアップに5400rpmの“Medalist”があった)。このモデルからシーゲイトもFDBを採用している。この年にはサーバ向けHDDで新インタフェースのファイバーチャネルを採用したBarracuda 4も発表された
2000年に世界で初めて1万5000rpmを実現したCheetah X15が発表された。このクラスになるとプラッタは秒速20〜30メートル/秒の速さになっており、内部は暴風雨圏のようなものとシーゲイトは説明する。この中でヘッドが乱れないようなエアフローが重要になるという

2002年にはCE市場への参入とBarracuda ATA Vを発表している。Barracuda ATA Vは、Seagate初のSerial ATAドライブであるのに加えて、BarracudaブランドがコンシューマーPC用となった、意義深いモデルだ
2003年には一時撤退していた2.5インチ HDD市場にMomentusブランドで再参入した
2004年、1インチHDD市場に参入してコンシューマー向けの持ち運び用外付けHDDを発売する。さらに2.5インチのエンタープライズ向けHDDの「Savvio 10K」を発表している

2005年には内部のデータをすべて暗号化する「FDE機能」を搭載したMomentus FDEを発表。この製品は3DESで暗号化しているが現行製品はAESを導入している
2006年にMaxtorを買収し、HDD業界ナンバーワンの地位を確立にしただけでなく、シーゲイトが弱いとされていたコンシューマー市場のビジネス体勢を強化した
2007年には、2種類の外付けモデルを発表したが日本市場には投入されなかった。そのほか、2.5インチで初の1万5000rpmモデルとなる「Savvio 15K」、そしてハイブリッドHDD「Momentus PSD」が登場した
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