米Hewlett-Packardが6月に開催した「Connecting Your World Berlin 2008」でお披露目された新シリーズが「HP EliteBook」だ。これはHPのビジネス向けPCの新ブランドで、米国では7月末から市場に投入される予定であり、それ以降に世界各国で発売となる。なお、従来ブランドの「HP Compaq xxxx Business Notebook PC」とは共存する形を取り、型番の末尾に付く「w」がWorkstation、「p」がProfessional、「b」がBusiness、「s」がStandardという命名ルールも変更はない。ただし、日本では夏から秋にかけて、上位のwとpシリーズからEliteBookに置き換わっていく予定だという。
EliteBookシリーズの特徴は、航空機からヒントを得たというデザインと堅牢性にある。昨今ではビジネス向けPCもデザイン性が重視され、コンシューマー向けPCのデザイン要素が取り入れられつつある。このEliteBookも、音量調整や無線LANの電源スイッチ、プレゼンテーションボタンなどは、同社のコンシューマー向けモデル「HP Pavilion Notebook PC」シリーズと同じ静電容量式のタッチセンサを導入したほか、外装では航空機にインスパイアされた「DuraCase」を採用している。これはハニカム状に穴を開けたマグネシウム合金を0.5ミリ厚のアルミニウム合金で挟み込むことにより、たわみ耐性を従来機の8割もアップしつつ、ヘアライン加工を施すことで高い質感を実現している。実際、液晶ディスプレイ天面やパームレスト部分の金属的質感はかなりのものだ。
パームレストやタッチパッドには「DuraFinish」と呼ばれる特殊コーティングを行うことで、キズが付きにくくキーボード面も印字のかすれを防ぐ(DuraKeys)。この工夫によって従来機以上の強靱(きょうじん)なボディを獲得した。HPによると、EliteBookは米国防省が定める工業製品の環境耐性評価試験に関する規格(ENVIRONMENTAL ENGINEERING CONSIDERATIONS AND LABORATORY TESTS)をまとめた「MIL-STD 810F」に準拠(振動、ホコリ、湿度、高温など)したという。
発表会では、ゼロスピンドルの「Mobile Thin Client」を含めた複数のモデルがリリースされたが、実機が展示されていたのは「HP EliteBook 6930p Business Notebook PC」と「HP 2533t Mobile Thin Client」のみだった。
前者のHP EliteBook 6930p Business Notebook PCは、プロフェッショナルシリーズに属する14.1インチワイド液晶ディスプレイ搭載モデルだ。カタログによるとCPUやチップセットに具体的な製品名がないことから、リリースが遅れたCentrino 2プラットフォームに準拠すると思われる。メモリは4〜1Gバイト(最大8Gバイト/DDR2-800対応)、HDDは160G/120Gバイト(7200rpm)と250G/160G/120Gバイト(5400rpm)、光学ドライブベイには書き込み対応Blu-ray DiscドライブやDVDスーパーマルチドライブ、コンボドライブからセカンドHDD(RAID 0および1に対応)などを搭載可能だ。
GPUはATI Mobility Radeon HD 3450(グラフィックスメモリは256Mバイトか128Mバイト)のほか、Intel G45のチップセット内蔵グラフィックス相当となる。無線ネットワークはIEEE802.11a/b/g/nや同b/g、Bluetoothのほか、オプションでEV-DO/HSDPAなどをサポートする。なお、画面解像度は1440×900ドットまたは1280×800ドットからの選択となり、後者はLEDバックライトも選べる。入力環境は、ポイントスティックとタッチパッドのデュアルポインティングデバイスとなっている。また、OSを起動せずにメールやスケジューラなどにアクセスできる「HP QuickLook2」も備えている。
本体サイズは331(幅)×243(奥行き)×31.3(厚さ/最薄部)ミリ、重量は約2.1キロだ。バッテリーは95/55/37ワットアワーの3種類があり、最大で約15時間の駆動に対応する予定という。
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