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ディスプレイを“正しく”使えば疲労は減る――ナナオの疲れ目対策とは?目にもいいEIZOをアピール(2/2 ページ)

» 2008年07月04日 00時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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ディスプレイの使い方を変えると作業効率までアップ

 同氏が示した調査結果は下のグラフの通りで、長時間のVDT作業後は目の疲労度が高まるものの、ディスプレイを適切な輝度に下げることで目の疲労度が低下し、さらにVDT指導による適切なディスプレイの位置設定や作業姿勢、休止時間などを採り入れることで、目の疲労度はさらに低下するとの傾向が見られたという。

目の疲労度(平均調節近点距離の延長率)の調査結果。前のページで述べた3つの測定条件ごとに、ディスプレイの使用前と使用後に測定した目の平均調節近点距離(30回/1人×11人÷11)を比較し、その「延長率」をグラフに示している。延長率が高いほど調節近点が遠くなるため、目の疲労度が高くなることを表す

 また、被験者に対してVDT作業後に疲労の自覚症状についてアンケートを実施したところ、標準設定時に比べて、適切な輝度やVDT指導を適用した場合のほうが、疲れにくかったとの結果が得られた。さらに、3つの測定条件下で雑誌に書かれた長文の文字列を入力し続けるテストを実施したところ、適切な輝度やVDT指導の条件のほうが文字入力数が104.6〜112.5%多い、つまり作業効率の向上が見られたとまとめた。

左から、被験者に対する疲労感アンケートの結果、VDT作業の作業効率への影響

 こうしたVDT症候群に対するナナオからの提案として、同氏は自動輝度調整機能のBrightRegulatorをはじめ、可動範囲の大きなスタンド、一定時間ごとに休止時間の目安をポップアップ表示するソフト「EyeCare Reminder」、ディスプレイの使用時間を通知するソフト「EyeCare Recoder」を紹介。「EIZOディスプレイは、VDT指導による疲労対策に最適化された機能を搭載している」と自社製品に対する自信を語った。

 また、ナナオは6月30日に同社Webサイト内に特設ページ「今すぐできる!疲れ目対策講座」をオープンするなど、今後も継続的にVDT作業による疲労対策の認知度向上に努めていくという。

液晶ディスプレイに内蔵したセンサが周囲の明るさを検知し、ディスプレイの輝度を適切と思われる輝度(その環境で見た白紙の明るさが目安)に自動調整するBrightRegulator機能(写真=左)。ディスプレイの電源を入れてから一定時間がたつと任意のメッセージがポップアップ表示されるソフト「EyeCare Reminder」は、VDT作業における休止のタイミングを確認するのに役立つ(写真=右)

では、液晶ディスプレイをどう使えば疲れないのか?

液晶ディスプレイに最適な視聴距離をメジャーで測りつつレクチャーする上田氏

 セミナーの第2部は、同社マーケティング部 商品技術課 商品管理係の上田陽一氏が「今すぐできる!疲れ目対策講座」と題して、VDT指導に沿った目が疲れにくい液晶ディスプレイの使い方を実演した。同氏は、VDT作業従事者に対して労働衛生教育を指導できる「VDT作業労働衛生教育インストラクター」でもある。同氏によれば、液晶ディスプレイの使い方を変えることでできる疲れ目対策は、「適切なディスプレイの配置と調整」「正しい姿勢」「定期的なVDT作業の休止」の3つに大別できるという。

 ディスプレイの配置については、「まず、外光が映り込まないように画面の向きを変えたり、画面の上端が目の位置よりやや下になるように高さをセットしたうえで、画面の輝度を外光に応じて紙に近い明るさに調節する。そして、視点移動を抑えるためにディスプレイと目の距離は最低でも40センチ、画面が横に長いワイド液晶では50センチ以上とることが目に負担をかけない使い方だ」と述べた。

 一般的なオフィス環境は照度が500〜1000ルクス程度あり、「ディスプレイの輝度は100〜150カンデラ/平方メートルに設定するのが適切」とのこと。昼間と夜で部屋の明るさが変わるような環境では、ディスプレイの輝度をいちいち再調整するのは面倒だが、「BrightRegulatorを備えたEIZOの液晶ディスプレイであれば、VDT作業で最適な輝度に自動調整してくれる」と同社製品の優位性も語った。

 ユーザーの座る姿勢は、「イスに深く腰をかけて背もたれに十分背をあて、背を伸ばし、座面の先端とヒザの裏にすき間があり、靴底の全体が床に接した状態が基本だ」と説明。ただし、「同じ姿勢を長時間続けると筋肉が緊張して負担がかかるため、ときどき腰や足の位置を変えて無理のない姿勢を保つのがいい」と加えた。

 定期的なVDT作業の休止では、厚生労働省のVDTガイドラインに1時間の連続作業の間に10分程度の休止時間を入れることが明記されている。一般的に人間は長時間に渡って同一姿勢を維持したまま意識を集中して作業し続けることは困難なので、「休止時間は作業効率の向上を図るうえでも効果的」という。

 ただし、実際に仕事をしていると1時間毎に10分間休むのは難しいケースが多いだろう。これに対しては「現実的には1時間に1回程度、PCを使用しないほかの仕事をうまく組み込むなど、目を休めつつ作業効率を高めるような工夫が必要になる」と答えた。

画面にライトを当てながら、日光などが窓から差し込むような環境ではディスプレイの視認性が著しく低下し、疲れ目につながることを解説(写真=左)。ディスプレイの高さは画面の上端が目の位置より少し下になるように調節し、ワイド液晶の場合は視聴距離を50センチ以上あける(写真=中央)。靴底は地面に付けてイスの座面の先端とヒザの裏が当たらないようにする(写真=右)

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