エプソンダイレクトの「Endeavor Pro4500」は、タワー型ケースを採用したデスクトップPCだ。「Endeavor Pro4300」の後継モデルであり、同社の新たなフラッグシップに位置付けられる。約半年という短い間隔でのモデルチェンジだが、その進化は決して小さくない。
まず、基本コンポーネントがPro4300から一新されている。チップセットはIntel P35 ExpressからIntel X48 Expressに変更され、FSBは最高で1600MHzをサポートする。拡張スロットの構成は、CrossFireをサポートするPCI-Express x16を2基、PCI-Express x1を2基、PCIを3基と、前機種を引き継いでいるものの、メモリは満を持してDDR3に変更された。
また、メモリはインテルが提唱するXMP(Extreme Memory Profile)をサポート。XMPでは、PCメモリの標準化団体「JEDEC」(Joint Electron Device Engineering Council)のDDR3規格の上限を超える速度での動作を保障するため、メモリのSPDにXMP対応の情報を記録し、マザーボードはこの情報を元にメモリの動作速度を決定する。現時点ではJEDECでのDDR3メモリの高速化が遅れているため、インテルとメモリベンダーでより高速なメモリ動作を保障しようとするのがXMPだ。本機はこのXMPに対応し、XMP対応メモリをBTOメニューに用意することで、「DDR3-1600」に相当する高速なメモリ動作を可能にしている。
CPUはクアッドコアが中心となり、Core 2 Extreme QX9770(3.2GHz)、Core 2 Quad Q9550(2.83GHz)/Q9450(2.66GHz)、Core 2 Duo E8400(3GHz)がラインアップされている。メモリはDDR3-1333で2Gバイト(1Gバイト×2)、4Gバイト(2Gバイト×2)をサポートするほか、FSBが1600MHzのCore 2 Extreme QX9770のパフォーマンスをフルに発揮できるように、前述のXMPをサポートするXMP1600(DDR3-1600相当)の2Gバイト構成(1Gバイト×2)も用意された。
グラフィックスカードは、AMDの製品をRadeon HD3450からHD3650、HD3850、HD3870と広くカバーし、HD3870でのCorssFireにも対応。nVIDIAの製品は、GeForce 9800GTXが新たに追加され、Pro4300から世代交代した形になった。OpenGL対応カードは従来通りATI FireGL V3350とnVIDIA Quadro FX1700の2つが用意されている(なお、発表時に告知されていたGeForce 9800GX2は、供給の都合上、BTOでの取り扱いが中止されている)。
HDDは従来通り80Gバイトから1Tバイトまでの製品を豊富にサポート。もちろん、RAIDキットもあり、RAID 0/1/10をサポートする。4台のHDDを組み合わせて耐障害性とパフォーマンスを両立するRAID 10を選択できるあたりも本機の特徴の1つだ。
CPUがPro4300よりもハイスペックなものに絞り込まれているが、これはPro4300が当面併売という事情もあるだろう。値下がりが進んでいるとはいえ、DDR3メモリはまだDDR2メモリより割高であり、ハイスペックCPUを組み合わせない限り大きなメリットは見出しにくい。この点を除けばBTOは非常に柔軟で、パフォーマンス重視から拡張性重視まで、用途と予算に合わせて好きな構成を選択できる。
本体のデザインは、フロントマスクのアクセントカラーをシャイニーブラックに変更し、より精悍な印象に変わった。一方、Pro4x00シリーズで定評のあるケースは引き続き採用され、4台の3.5インチHDDにフロントベイからのアクセスして容易に換装できる。また、サイドカバーの着脱から拡張カード、5インチベイドライブの着脱まで一切ドライバが不要な構造も健在。3.5インチHDDドライブはレールこそネジ止めだが、レール毎の着脱にはやはりドライバは必要ない。ここまで徹底しているケースはちょっとないだろう。
ちなみに、Pro4300ではCPUクーラーの形状が変更され、前面から背面へストレートに空気が流れるようにエアフローが改善された。この点は本機でも同じだが、BTOで最高性能のCore 2 Extreme QX9770を選ぶと、12センチファンを搭載する新型の専用CPUクーラーが自動的に選ばれるようになった。これをきちんとケース内に収め、CPUの冷却性能をさらに高めている。
今回評価したマシンも、Core 2 Extreme QX9770を中心とするハイスペックな構成だったが、負荷の大きなベンチマークソフトを実行していても、CPUの温度は56〜58度に抑えられており、システム温度も43度とアイドル時の41度からわずか2度の上昇にとどまった。
CPUファンの回転速度は1950rpm前後、背面ファンの回転速度は1750rpm前後で一定しており、ベンチマーク実行中でも動作音の変化はほとんど感じられなかった。アイドル時でも動作音はそこそこ感じるレベルではあるものの、決してうるさいわけではない。高い負荷をかけた際でも騒音レベルがほとんど変わらないのは、基本的な冷却性能が高いことを示すものだろう。
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