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普通紙でもカラー印刷が美麗な複合機――「PIXUS MX7600」を試すキヤノンの新機軸(2/4 ページ)

» 2008年08月04日 17時15分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

MX7600の基本は4in1のビジネス向け複合機

前面にはPictBrigde用のUSBポートと、コンパクトフラッシュ、SDメモリーカード(SDHC対応)/メモリースティックPRO対応スロットを用意

 PgRテクノロジーがかなりのインパクトを持つために影が薄くなってしまうが、MX7600は基本的にプリント/コピー/スキャナ/FAX機能を搭載する4in1のビジネス向け複合機だ。標準で自動両面印刷や、PictBrigdeを使ったデジタルカメラからのダイレクト印刷、メモリーカードスロット経由のダイレクト印刷もサポートする。

 出力可能な最大解像度は4800×1200dpiで、インクの最小ドロップサイズは2ピコリットル、インクのノズル数はシアンとマゼンタが各1024ノズル、イエローとマットブラック、フォトブラックが各512ノズルの計3584ノズルとなっており、プリントエンジン自体のスペックはPIXUSオールインワンの中では中庸といえる。そのため、写真用紙へのカラー印刷は特に高品位というわけではなく、あくまで普通紙カラー印刷が得意なモデルという位置付けだ。

 スキャナ部の撮像素子は密着光学系のCISで、読み取り時の光学解像度は主走査×副走査が4800×9600dpi、ソフトウェア補間により最大19200×19200dpiで読み取れる。階調入力/出力はカラー時には48ビット入力/24ビット出力(RGB各色16ビット/8ビット)、グレースケールでは16ビット入力/8ビット出力となる。

 また、自動両面読み取りのADFを標準装備しており、ADF利用時の光学解像度は600×600dpiを確保。ADFにはA4普通紙で35枚、リーガルサイズで30枚がセット可能だ。スキャナのカバー部分は、雑誌や本など厚みのある原稿でもしっかり読み取れるように、3センチ弱程度浮き上がるようになっている。

スキャナのカバーはヒンジ部が浮き上がるため、厚みのある原稿も挟みやすい(写真=左)。自動両面読み取り対応のADFも装備する(写真=右)

 コピーについては、最大99枚の連続コピーや両面コピー(A4とレターのみ)、用紙サイズを変更してコピーする定形変倍、4in1や2in1、フチなしコピー、枠消しコピー、繰り返しコピー、絵はがき風コピーなど、さまざまな用途に役立つ豊富な機能を搭載する。ADF利用時は電子ソート機能も利用できるので、複数枚で1部といった原稿を複数部まとめてコピーしたいときに便利だろう。

 FAX機能はスーパーG3に対応。Windows PCからFAXドライバを指定してMX7600経由でFAXを送るPC FAX機能(送信は1件ごと)に対応するほか、本体を使えば、最大109件までの同報送信、FAX/電話切り替え(擬似CI搭載)、リモート受信、ECM送信(自動誤り訂正送信)などの機能が利用できる。カラーFAXや最大でA4約250ページまでのメモリ送信と、最大30件までのメモリ受信も可能だ。ワンタッチダイヤルは8件、短縮ダイヤルは100件、最大107件のグループダイヤルなど、SOHOユースであれば十分間に合うだろう。

 ただし、ナンバーディスプレイに非対応であることと、PCからFAXできるのは1つの宛先へのモノクロ送信のみで、PC側ではFAXを受信できない点には注意が必要だ。

コピー機能は、複数部をコピーする場合にページ順に並べて1枚ずつ出力することが可能だ(写真=左)。厚みのある原稿をコピーする際、外光が入って黒い枠が出ることでインクが無駄にならないように、枠を省いてコピーする「枠消しコピー」にも対応する(写真=中央)。スーパーG3対応のFAX機能も持つ(写真=右)

側面の後方にPC接続用のUSB 2.0と100BASE-TXの有線LANを装備

 PC接続のインタフェースは、USB 2.0に加えて100BASE-TXの有線LANを標準で搭載しているので、ネットワーク運用も可能である。スキャナドライバはTWAINとWIAの2種類が用意されるが、ドライバはネットワークスキャンに対応しているので、複数のマシンからネットワーク経由でスキャナ機能を使うこともできる。

 いずれのインタフェースを用いる場合も対応OSはWindows 2000/XP/Vista(64ビット含む)とMac OS X(10.3.9以降)となっているが、いくつか注意点がある。

 すでにMX7600のドライバ類を組み込んであるWindows VistaにSP1を適用すると、本体のボタンを使ったネットワーク経由のスキャンができなくなるため、ドライバの再セットアップが必要になったり、Mac利用時はPC FAX機能が利用できず、ネットワーク経由でMX7600内蔵のカードリーダーにアクセスした場合は読み込みのみが可能といった点だ。

プリンタ部以外の基本仕様はMX850に準じるが大きな違いも

 こうして各機能を見て行くと、MX7600の基本仕様のほとんどは先に登場した下位のMX850に準じていることに気が付く。MX850との違いは、PgRと5色顔料インク+クリアインクのプリンタ部分、利用可能な用紙と給紙容量、CD/DVDレーベル印刷に非対応なこと、本体に搭載される液晶ディスプレイのサイズが1.8型と一回り小さいこと、オプションのBluetoothアダプタが利用できないことなどが挙げられる。

 特に、利用可能な用紙の種類と給紙可能な最大用紙枚数が少ないことは、使い勝手に影響を与えそうだ。MX850では同社の純正を含めた18種類の用紙(これにプリンタブルCD/DVDメディア)が使用可能であるのに対し、顔料5色印刷のMX7600で使えるのは普通紙、キヤノン写真用紙・光沢ゴールド、キヤノン写真用紙・絹目調、マットフォトペーパー、郵便はがき、インクジェット郵便はがき、ハイグレードコートはがき、両面マット名刺用紙の8種類となる。

前面の給紙カセットは普通紙のみに対応する

 また、本体底面の給紙カセットには最大150枚のA4普通紙がセットできるが、紙質の異なる光沢紙などの用紙は背面トレイにしかセットできない。反対に、背面トレイは普通紙に非対応のため、A4普通紙で最大150枚という少々心もとない給紙量となっている(はがきなら背面トレイに最大40枚セットできる)。

 機構的にはMX850のように給紙カセットと背面トレイで150枚+150枚の300枚の給紙が可能なはずだが、PgRが機能するのは給紙カセット利用時のみと思われるため、給紙場所の制限を設けているのだろう。背面トレイ利用時でもPgRが使えるようになれば、ここに普通紙をセットできて給紙容量に余裕が出てくるので、次のモデルに期待したい。

 利用可能な用紙サイズは、A4からA5、レター、リーガル、洋形封筒4号/6号、長形封筒53号/4号、はがき(郵便はがき、インクジェット郵便はがき、純正はがき)、往復はがき(郵便往復はがき)とL判、2L判、六切、KGサイズ、専用名刺だ。また、両面印刷が可能なサイズは、普通紙でA4からA5、レターサイズまでとなる。

背面トレイは物理的にはA4までの用紙をセットできるが、プリンタドライバで用紙の種類に「普通紙」を選択すると、給紙方法は「カセット」しか選べなくなる(写真=左)。用紙の種類で普通紙以外を選択すると、今度は「給紙カセットから背面トレイに設定を変更する」というメッセージが表示される(写真=右)

基本的な使い勝手はMX850と同等

 MX7600の本体サイズは500(幅)×535(奥行き)×257(高さ)ミリと奥行きが少し長くなっている以外は、MX850とほぼ同じサイズだ。ただし、重さはMX850の約13.9キロに対し、MX7600は約16.6キロと約2.7キロの差がある。MX850に対する奥行きと重さの差は、PgRテクノロジーの機構部分と考えられる。

シルバーとブラックで塗り分けられたボディの基本的なデザインはMX850を踏襲している。多機能な複合機の割に背が低く、圧迫感が少ない外観だが、奥行きは長めだ

背面の自動両面印刷ユニットはメンテナンス時に取り外せる

 カラーリングはMX850のシルバーとブラックの配色を一部入れ替えた感じだが、本体のデザインが似ているので、遠目には違いが分かりにくい。カラーリングの違いと液晶ディスプレイのサイズに注目しない限り、MX850と見間違いそうなほどだ。本体背面には右側に電源ケーブルのコネクタと中央部に取り外し可能な両面印刷ユニット、左側にインタフェース類をまとめており、変更が必要と思える部分はない。

 本体前面の中央に設置された操作パネルに関しても、FAX機能を持つ複合機に見られる、機能ごとにボタン類がまとめられた配置であり、MX850と同様にホイール型インタフェース「Easy-Scroll Wheel」は搭載されていないものの、メニュー操作が煩雑ということもなく、こうした部分はさすがにキヤノンと思わせる使い勝手のよさを提供している。

 MX850とプリンタ部分が異なる以外、共通の仕様が多く、いわばMX850の兄貴分といったモデルなので、本体前面の操作パネルのボタン類の操作性、液晶ディスプレイを使ったメニュー操作の使い勝手やスキャナ機能などは、MX850のレビュー記事を参考にしてほしい。

チルト式の1.8型液晶ディスプレイを備えた操作パネルは、FAX搭載機だけあってボタン数が多いが、機能別に整理されたレイアウトになっており、ビジネス向け複合機として使い勝手に不満はない

 メンテナンス性に関しては、インクジェット複合機として総じて悪くない印象だ。しかし、クリアインクのセット方法がプリントヘッドへの独立式顔料インクの装着方法と異なっている点と、顔料インクのプリントヘッドが開口部の奥にあることに加えて、本体上部の開閉角度が浅いため、手が届きにくいのは気になった。あと少しだけ開閉角度を広げてくれるだけで、大きく改善されるだろう。なお、各色の顔料インクカートリッジの装着は、同社の製品らしくワンタッチで装着可能である。

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