RadeonはGeForceを追い越せたのか──「Radeon HD 4870 X2」を「GeForce GTX 280」にぶつけてみるイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2008年08月12日 13時01分 公開
[長浜和也,ITmedia]

「8週間後に登場」したAMDのハイエンドGPU

 AMD(ATI Technologies)が8月12日に発表した「Radeon HD 4870 X2」は、Radeon HD 4800シリーズを発表した2008年6月末に彼らが「8週間後に登場する」と予告していた、同社の最上位モデルとなるGPUだ。ただし、Radeon HD 4870 X2はGPUを2つ搭載した「デュアルGPUグラフィックスカード」という形態を採用している。単体のGPUに注目した場合、その内容はRadeon HD 4870にほぼ相当する。Radeon HD 4870 X2は、Radeon HD 4870を1枚の基板に2つ載せて、その中でCrossFireを構築して高い性能を発揮する。同じカテゴリーのGPUとしては、Radeon HD 3870 X2やNVIDIAのGeForce 9800 GX2が挙げられるだろう。

 GPUが共通しているので、Radeon HD 4870 X2に導入されている機能や主要なスペックはRadeon HD 4870と同じだ。DirectX 10.1に対応してShaderModel 4.1をサポート。Avivo HDでは、H.264/VC-1/MPEG-2のハードウェアデコードとDual stream playbackに対応して、HDコンテンツの再生でもピクチャーインピクチャー表示を実現する「UVD2」(第2世代Unified Video Decoder)を実装する。

 55ナノメートルプロセスルールを採用してコアクロックは750MHz、メモリクロックは900MHzと、主要なスペックもRadeon HD 4870 X2とRadeon HD 4870は同じで、グラフィックスメモリもGDDR5をサポートする。AMDの資料では、搭載する統合型シェーダユニットの数が1600個、対応するグラフィックスカードの容量が2Gバイト、テクスチャユニットの数は80個、レンダーバックエンドの数が32個であったりするが、これらは、Radeon HD 4870 X2に搭載されている2つのGPUの「合計」であって、1つのGPUが扱える数はそれぞれRadeon HD 4870と同じになる。

今回の評価作業で試用したASUSのRadeon HD 4870 X2搭載グラフィックスカード「EAH4870X2」(EAH4870X2/HTDI/2G/A)は、グラフィックスメモリとしてGDDR5を2Gバイト(1つのGPUあたり1Gバイト)を搭載する
背面のレイアウトをRadeon HD 4870 X2(画像上)とRadeon HD 3870 X2(画像下)とで比べる。コンデンサなどの細かい部材の配置や数は異なるが、横に2つ並べたGPUの位置関係は変わらない

グラフィックスカードの長さや2スロット分を要するクーラーユニットのフードなど、その形状はRadeon HD 3870 X2とほとんど同じだ
Radeon HD 3870 X2と同じように、Radeon HD 4870 X2でも8ピンと6ピンの外部電源を必要とする

 NVIDIAは、2008年に登場させた新世代のGPUラインアップとして「GeForce GTX 280」と「GeForce GTX 260」を用意している(そのほかにも従来世代GPUの派生モデルを投入して価格競争力を確保しようと試みている)。AMDとしても、NVIDIAの新世代GPUは競争相手として意識しなければならないが、単体GPUの最上位モデルとなるRadeon HD 4870はエントリークラスハイエンドモデルであって、その競合はGeForce GTX 260であることはAMDも認めている。ミドルレンジクラスのRadeon HD 4850とともに、優れたコストパフォーマンスで多くのユーザーに受け入れられているが、絶対的な性能を重視するユーザーからすれば「やっぱりGeForce GTX 280」と評価されることになる。

 AMDも、GeForce GTX 280を相手にするのは、Radeon HD 4850の8週間後に登場する“R700”(Radeon HD 4870 X2の開発コード名)と予告していた。その予告どおりに登場したRadeon HD 4870 X2は、GeForce GTX 280を「絶対性能」で上回ることができるのだろうか。

シングルGPUと従来タイプデュアルGPUを撃破できるか

 今回の評価作業では、Radeon HD 4870 X2のパフォーマンスを、GeForce GTX 280と比べるとともに、同じ「デュアルGPU」である「GeForce 9800 GX2」と、AMDのデュアルGPUの従来モデルである「Radeon HD 3870 X2」とも比較してみることにした。評価用のシステムは、先日掲載した「北京直前!GPUトップアスリートで競う“ベンチマークオリンピック”」で使用した構成(CPUはCore 2 Extreme QX6700、メモリはDDR2-800/2Gバイト、OSはWindows Vista Ultimate 32ビット 日本語版 Service Pack 1)だが、マザーボードだけは、前回の「MAXIMUS II FORMULA」から、同じIntel P45 Expressを搭載するMSIの「P45 PLATINUM」に変更した。「P45 PLATINUM」についても、詳しいレビューは別記事で紹介する予定だ。

 なお、グラフィックスドライバだが、GeForce GTX 280とGeForce 9800 GX2は、最新の公式版ではなく、NVIDIAの公式ファンサイト「NZONE」で配布している「ForceWare 177.79」を適用している。一方、Radeon HD 3870 X2には、AMDの最新の公式版となる「Catalyst 8.7」を適用したが、Radeon HD 4870 X2に関しては、AMDがレビュー用として提供したバージョンを適用した。

  GeFroce GTX 280 GeFroce 9800 GX2 Radeon HD 4870 X2 Radeon HD 3870 X2
開発コードネーム GT200 G92 R700 R680
チップ数 1 2 2 2
プロセッサ数 240 128×2 800×2 320×2
コアクロック 602MHz 600MHz 750MHz 825MHz
シェーダクロック 1296MHz 1500MHz
シェーダクロック GDDR3 GDDR3 GDDR5 GDDR3
メモリバス幅 512ビット 256ビット 256ビット 256ビット
メモリクロック 1107MHz 1000MHz 900MHz 900MHz
メモリ容量 1GB 512MB×2 1GB×2 512MB×2
PCI Express Gen2 Gen2 Gen2 Gen1
電源ピン 8ピン+6ピン 6ピン×2 8ピン+6ピン 8ピン+6ピン
ビデオプロセッサ PureVideo HD VP2 PureVideo HD VP2 AVIVO HD UVD2 AVIVO HD UVD

GPU-Z 0.2.6で表示したGeForce GTX 280のスペック
GPU-Z 0.2.6で表示したGeForce 9800 GX2のスペック

GPU-Z 0.2.6で表示したRadeon HD 4870 X2のスペック
GPU-Z 0.2.6で表示したRadeon HD 3870 X2のスペック

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