「Nehalem? もちろんウェルカムだ」――IDF目前にAMDが優位性をアピール(1/2 ページ)

» 2008年08月20日 00時00分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

ATI買収から2年。AMDが目指す方向とは

 「AMDは2年前に非常に大きな賭けをした」――とはAMDワールドワイドマーケティンググループ アドバンストマーケティング担当上級副社長のパトリック・ムーアヘッド(Patrick Moorhead)氏のコメントだ。これはもちろんAMDによるATIの買収を指すが、あれから2年、AMDはATIを買収した費用やBarcelonaの遅れなどの苦難に直面し、株価は買収を発表した2006年7月ごろの4分の1以下にまで落ち込んでいる。ATIの買収効果について何度も疑問を呈されながらも、これがAMDにとって最善の道だったというのが彼らの意見だ。

 「ハイエンドのグラフィックス技術をメインストリームの市場に手ごろな価格で」とムーアヘッド氏は述べている。「例えば5年前、Lucas Filmといった最先端の映画スタジオが使っていた技術が、いまではメインストリームのGPUに組み込まれた形で出荷されている」と彼がいうように、PCのグラフィックス技術の進化は日進月歩だ。つい先日にはTFLOPS級の演算能力を持つRadeon HD 4800シリーズが発表されている。Intelも「Larrabee」(開発コード名)でGPU市場への再参入をうかがうなど、いま最も注目される市場かもしれない。AMDがこの業界でのリーダーになるための条件がATIの買収だったとすれば、将来に向けて、いま苦難の道を歩んでいるというのも納得がいく。

 こうした先端技術がユーザーにもたらす新しい体験を表す言葉として、AMDでは「Eye-Def」という表現を使っている。近年のBlu-rayやHDTVなどにみられるように、映像の精細さを示すときに「High-Def」(-inition、HD)という表現がよく使われるが、眼球(Eye-Balls)を自然に表現できるほどに大量のポリゴンを用いることで、より自然に近いリアリティのある映像を実現したのが「Eye-Def」というわけだ。“HD”が最終出力の映像の解像度を示すのに対し、“Eye-Def”では3D映像そのもののリアリティを追求する。前述のTFLOPS GPUもまた、このEye-Defを実現するためのコンポーネントの1つになるというのだ。AMDの目標は、こうしたリッチなグラフィックスの表現をハイエンド市場だけでなく、最終的により多くのユーザー(が入手できるメインストリーム市場)に届けることにある。

 こうした「手ごろな価格でハイエンドな映像表現を」の1つの例を、ムーアヘッド氏はデモを交えて紹介している。例えば、IntelのCore 2 Duoとグラフィックス統合型チップセットのIntel G45 Expressを組み合わせたシステムと、Phenom X3とAMD 780Gを組み合わせたシステムとで比較した場合、Intel G45 Express側でコマ落ちするような処理が、Phenom X3とAMD 780Gのシステムでは問題なく処理できるという。「同一価格帯のシステムであれば、AMDのほうがコストパフォーマンスで優れている。またIntel G45 Expressには明らかにパフォーマンス上の問題がある」とムーアヘッド氏は指摘する。

 今後は、GPGPUなどにみられるような「処理の並列性」がより求められるようになる。そこでいかに効率を高め、開発環境の整備を行っていくかが、これからのGPUベンダーに求められる。AMD ストリームコンピューティング担当ディレクターのパトリシア・ハレーリ氏は、AMDがストリームコンピューティング市場への取り組みを強めており、そのためのツールや開発言語の整備、また開発者らへの情報提供といった取り込みを早い段階で行っていると説明する。現在、ストリームコンピューティングの分野ではAMD、Intel、NVIDIAが各社各様の取り組みを行っており、それぞれが独自のプラットフォームを構築している。このような状況で競争を優位に進めていくには、いかに開発者を取り込んでいくかが重要だ。また、同時にハレーリ氏は業界標準の確立の必要性も示唆している。

AMDワールドワイドマーケティンググループ アドバンストマーケティング担当上級副社長のパトリック・ムーアヘッド氏
限りなく100%に近い映像のリアリティを実現する「Hi-Def」ならぬ「Eye-Def」

AMDストリームコンピューティング担当ディレクターのパトリシア・ハレーリ氏
IntelプラットフォームとAMDプラットフォームで同じHD映像を流したところ。画像左寄りのCore 2 DuoとIntel G45 Expressのシステムでは処理落ちが発生するのに対し、画像右寄りのPhenom X3とAMD 780GのシステムではCPU負荷率にまだ余裕がある

DirectX 9に対応したゲーム「Iron Man」をIntelとAMDのそれぞれのプラットフォームを採用したノートPCで起動したところ。IntelプラットフォームのノートPCではポリゴンが描画されきっていない部分がある。ムーアヘッド氏は「同一条件の場合、Intel G45 Expressは処理が追いつかないケースがある」と説明する

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