“Nehalem”と“組み込み”で一気に攻勢をかけるIntel Developer Forum 2008(2/3 ページ)

» 2008年08月21日 16時30分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

Nehalem第一弾は、ハイエンドデスクトップとDPサーバに

プロセスルールの変更とアーキテクチャの刷新を交互に行うことで毎年安定した技術革新を起こす「Tick-Tock」開発モデル。2008年はアーキテクチャを刷新するTickにあたり、Core Architectureを刷新した「Nehalem」が登場する

 Intelは現在、アーキテクチャの刷新とプロセスルールの変更を年単位で交互に行う「Tick-Tock」モデルを採用しているが、2008年はアーキテクチャの刷新を行う年にあたる。2008年末に登場するNehalemは、現行のCore Architectureをベースにした新しいアーキテクチャということだ。いくつか特徴があるが、その中でも特筆すべきはIntel初のネイティブなクアッドコア(あるいはヘクタコア)であること、そしてメモリコントローラを内蔵したことだ。

 しかし、単純にコアを増やすことは消費電力の増加につながり、特にノートPCなどのフォームファクタで問題となる。また、メインストリームのPCでは8コア、あるいは4コアそのものが必要ないというケースもあるだろう(例えば、使用するメインのソフトウェアがマルチスレッドに対応していなければ、動かすコアは1でいいことになる)。

 そのため、Nehalemでは、コアの数、さらには、グラフィックス機能の統合も含めた複数のコンフィギュレーションが用意される。従来の動作クロックや2次キャッシュの容量による区分けだけではなくなるので、同じコア数であっても、ラインアップの構成はより細分化されるだろう。このあたりの詳細は、Nehalem(先日発表されたように、正式名称は「Core i7」となった)の正式発表を待ちたい。

 Nehalemのラインアップで、現在明らかにされているのは、サーバ向けが「Nehalem EP」(2ソケット)と「Nehalem EX」(4ソケット以上)の2種類、ハイエンド・デスクトップPC向けが「Core i7」の1種類、メインストリームのデスクトップPC向けが「Lynnfield」と「Havendale」の2種類、ノートPC向けが「Clarksfield」と「Auburndale」2種類、合計で計7種類とされている(Core i7以外は開発コード名)。

 2008年末のNehalemローンチで最初に登場するのは、Nehalem EPとハイエンド向けのCore i7の2種類で、残りは2009年に入ってから順次投入されるとみられている。自作PCユーザーとしては、メモリコントローラがこれまでのチップセット(ノースブリッジ)からCPUに内蔵したことで、システム構成が大きく変更することにも注意しなければならないだろう。メモリのDDR3移行も含めて、自作PCユーザーにとってNehalemの登場は構成見直しのタイミングを意味するかもしれない。

ゲルシンガー氏は、次世代ハイエンドCPU「Tukwila」(開発コード名)にも言及した。クアッドコアのItaniumラインアップとなる
サーバ向けx86系CPUのラインアップには、Xeon 7300の後継となるソケット互換のXeon 7400(開発コード名、Dunnington)が9月にも登場する。45ナノプロセス High-kを採用し、6コアのアーキテクチャとなる。MPシステムでパフォーマンス向上を目指した製品だ

Nehalemのラインアップは、サーバ/ワークステーション向けが2種類(DP/MP)、ハイエンドデスクトップPC向けが1種類、メインストリームデスクトップPC向けが2種類、ノートPC向けが2種類となる。デスクトップPCとノートPC向けでそれぞれ2種類用意されているのは、用途に応じて複数のコンフィギュレーション(主にコア数)が提供されるためだ
これまでに公開されているNehalemの基本情報。2/4/8個のコアを実装するコンフィギュレーション、チップ間接続を行うQuickPath Interconnect(QPI)、ハイパースレッディング、SSE 4.2をサポートする

 Nehalemでは、このほかにも新機能が追加されている。その1つがTurbo Modeの採用だ。Power Gatesによってアイドル状態のコアで“消費電力ゼロ”を実現するとともに、特定コアのパフォーマンスを通常より引き上げるこの機能は、アプリケーション動作に大きな柔軟性をもたらすことになる。この機能についてはIDFリポートの第1弾を参照してほしい。

IDF 2008で紹介されたNehalem関連の情報は、電力制御機能の強化とTurbo Modeの追加、第2世代VT採用、3チャネルのメモリインタフェースなどだ。特に電力制御機能とTurbo Modeが今回初めて明らかにされた機能として注目される

Nehalemで最初に登場するのは、2ソケット(DP)サーバ向けのNehalem EPとハイエンドデスクトップ向けのCore i7で、その時期は2008年末あたりとなる見込みだ。そのほかのラインアップは2009年から順次市場へ投入されることになる
Nehalem EPでは、DDR3などの採用によるメモリ帯域の増加と各種機能の最適化によって、パフォーマンスの大幅な向上が見込めるという

近年のサーバ市場で注目を集めているバーチャライゼーション(仮想化)では、I/O周辺の機能改善により、大幅なパフォーマンス向上が見込めるという。具体的には、ハイパーバイザを介してバーチャルマシン(VM)から直接I/Oにアクセスが可能になっている。VMwareとの共同開発で実現した。ほかにも、マイクロソフトなどの仮想化ソリューションを持つ企業との連携も発表している

メモリコントローラがCPU側に移動したことで、システムの構成も変化する。ノースブリッジ(最初に登場するNehalem対応チップセットは“Intel X58 Express”となるとみられてる)とCPUはQPIで接続され、主にPCI Expressへのインタフェースやサウスブリッジとの仲介を担当する

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