新世代Radeonのミドルレンジ上位モデルとして登場するのが「Radeon HD 4670」だ。55ナノメートルプロセスルールで製造されており、ダイサイズは146平方ミリとRadeon HD 4800シリーズで導入された「高効率を目指した新しい設計思想」を取り入れた小さいサイズになっている。AMDの資料では、構成トランジスタ数が5億1400万とされており、Radeon HD 4800シリーズと比べると、ダイの面積もトランジスタ数も半分強ということになる。前世代のミドルレンジだったRadeon HD 3600シリーズとの比較では、ダイサイズが約1.4倍になったが、それ以上にトランジスタ数が2.7倍に増えている。
Radeon HD 4670に実装されたテクスチャユニットの数は32、統合型シェーダユニットは320と、いずれも前世代のハイエンドモデルであるRadeon HD 3870より増加している。コアクロックはRadeon HD 4870と同じ750MHzで、メモリクロックはRadeon HD 4850と同じ1GHzと、同世代のラインアップと比べてもハイエンドクラスに迫るスペックを有する。
Radeon HD 4670がサポートするグラフィックスメモリはGDDR3とDDR3で、GDDR4とGDDR5には対応しない。ただ、製品によっては同じRadeon HD 4670であっても、GDDR3を512Mバイト搭載するモデルと、DDR3を1Gバイト搭載するモデルが存在する。
AMDがいうところの「メインストリーム」になるRadeon HD 4600シリーズには、コアクロックを600MHzに落とし、搭載メモリをDDR2にした「Radeon HD 4650」も用意される。消費電力はRadeon HD 4670からさらに抑えられ、価格も低く設定される。
AMDは、Radeon HD 4600が目指すラインとして「現在のメジャーな3Dゲームを、高解像度でも30FPS以上で快適にプレイできるだけのパフォーマンスを発揮すること」と述べている。「Call of Duty 4」や「Crysis」、「LOST PLANET」などのゲームを挙げ、それぞれ1920×1200ドット、1600×1200ドット、1280×1024ドットの解像度において30FPS以上でプレイ可能なことが示された。
Radeon HD 4600シリーズのライバルとしてAMDが想定しているのが、GeForce 9500 GTクラスだ。AMDの資料では、パフォーマンスの面でも対応しているプラットフォームの面でも、Radeon HD 4600シリーズがはるか先をいっていることが訴求されている。その1つの例として示されるのは、(以前から繰り返しいわれている)GeForce 9500 GTはDirectX 10対応で、Radeon HD シリーズはDirectX 10.1対応であることだ。
現在、GeForce 9500 GTを搭載するグラフィックスカードの実売価格は、9000〜1万3000円程度で、Radeon HD 4600シリーズもこのあたりの価格で販売される可能性が高い。実際、各ベンダーがAMDの発表にあわせて出したリリースでも「Radeon HD 4670で1万円プラスα」と、ちょうど競合する価格帯となっている。
AMDの資料からパフォーマンスを比較するデータを見てみると、Radeon HD 4670は、GeForce 9500 GTの2倍近いパフォーマンスを発揮することになっている。この情報は正しければ、相当にお買い得なグラフィックスカードが登場することになる。
AMDが強調するRadeon HD 4600シリーズの特徴として、パフォーマンスとともに低消費電力であることと消費電力あたりのパフォーマンスが優れることが挙げられる。Radeon HD 4670の消費電力は、最大で75ワット以下とされており、Radeon HD 4870の110ワットやRadeon HD 3870の105ワットと比べて大幅に抑えられている。
この75ワットというのは、PCI Expressスロットから直接供給できる電力の限界で、AMDのリファレンスカードは外部電源コネクタを接続せずに、PCI Expressスロットからの電源供給だけで動作する。このことは、ミドルレンジのGPUとして非常に重要で、6ピンのグラフィックスカード用電源コネクタを持たない電源ユニットを搭載するシステムでも、そのまま利用できるからだ。
また、消費電力あたりの演算能力が8.14GFLOPS/ワットで、従来製品や競合するモデルと比べて、非常に効率が高いことも重要なポイントとしてAMDは紹介している。
そのほか、Blu-ray Discなどに収録されたハイビジョンコンテンツの再生支援機能には、Radeon HD 4800シリーズと同様、「UVD2」に対応している。MPEG-2、H.264、VC-1でハードウェアによる再生支援を行い、CPU負荷を低減させてくれるだけでなく、ピクチャーインピクチャーの機能やダイナミックコントラスト、DVDアップスケールなどの機能も実装して、ハイビジョンコンテンツの再生を強力にサポートする。
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