4分が40秒に!──ペガシス、CUDA対応TMPGEncを披露

» 2008年09月11日 11時30分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

コンシューマーユーザーに分かりやすい「CUDAのメリット」

ペガシス代表取締役CEOの海老根崇氏

 ペガシスの代表取締役CEOを務める海老根崇氏と同社グローバル営業部部長の斎藤要氏によって紹介されたCUDA対応版「TMPGEnc 4.0 XPress」は、NVIDIAがいま力をいれて訴求している「GPUの汎用コンピューティングへの応用」を最も分かりやすく、かつ、コンシューマーユーザーが享受できる利用法として注目されている。

 CUDAは、NVIDIAのGPUを非グラフィックス分野の演算処理に利用するための開発環境で、ペガシスでは同社の動画のエンコーダーソフト「TMPGEnc 4.0 XPress」のCUDA対応版を開発し、これをNVISION 08で公開している。ペガシスでは、NVISION 08で公開した段階を「フェーズ1」としているが、フェーズ1において、ノイズリダクションやシャープネスなどのフィルタリング処理を行う「プリプロセッシング」までがGPUで処理される。現時点で実用化されているすべてのフィルタ、およびデコード処理がCUDAに対応しているという。今後の開発予定としては、フェーズ2と呼ばれる次の段階でエンコーディングのCUDA対応を進めるというプランがペガシスから示された。

 CUDAについて海老根氏は、「(ディスクリートグラフィックスのほか、マザーボードGPUなどでも利用されているNVIDIAのGPUを利用するので)ユーザーにとってより近い位置にCUDAが来るのではないか。状況によって、TMPGEnc 4.0 XPressの基幹部分であるエンコーダそのものもCUDA対応にしていけたらいいと思う」という期待を述べている。エンコーダ部分の対応時期については、「調査段階であって決定事項ではない」との前置きをしたうえで、「2009年」という目標が示された。

現時点のフェーズ1に続いて登場するのは、エンコードもCUDAに対応させたフェーズ2となる
TMPGEncのインタフェース。CUDAの有効と無効のオプションはシステムのCUDA対応を自動で判断する。また、各フィルタに対して手動でCUDA、あるいはCPU処理を選択できる

“職人”にありがたい大幅な時間短縮が実現

 NVISION 08で紹介されたデモにおいて、処理を行うフィルタの種類によっては、CUDAよりもCPUが早くなることもあるという説明をされていたが、この点についても、ペガシスは処理の過程からその原因を解説した。それによると、映像ソースをシステムメモリ上に展開した後、CUDAを利用する場合には、展開したデータをGPUに転送する処理が入るが、ここで帯域によるボトルネックが生じてしまう。フィルタリング処理が重い場合、このボトルネックを吸収してなお速度的メリットがあるが、逆に、CPUで処理するのとあまり処理時間が変わらないかあるいはCPU処理のほうが早いほど処理が軽い場合は、ボトルネックが表面化してしまうとのことだ。もちろん、これに加えてCPU性能とGPU性能のバランスなども影響する。しかし「基本的にはほとんどの場合、GPU処理が数値としては勝っている」とのことだ。

 GPUよりCPUの処理が早いフィルタリング、または、GPU処理が早い場合フィルタリングの切り替えに関して、ペガシスでは「ユーザーに提供するバージョンでは、(CPU処理とGPU処理の切り替え)自動で行う」ことを検討している。その手法としては、「エンコードを開始した瞬間に、内部でCUDA側とCPU側に同じ処理を投げてベンチマークをとることでCUDAを使う使わないを自動判断する機能を実装しようと考えている」(海老根氏)と説明した。CUDAを利用する場合には、環境設定のGPUオプションから「CUDAの使用」を設定するが、現段階ではTMPGEnc 4.0 XPressがGPUのCUDAへの対応を判断し、同オプション項目の表示と非表示を切り替えている。

 国内で初めて披露された実際のCUDA対応版TMPGEncを使ったデモでは、CPUのみのエンコードとCUDAを用いたエンコードとの比較がCore 2 Duo Q6700(2.66GHz)にGeForce GTX 280を組み合わせたシステムを用いて行われた。使用した映像ソースは1440×1080ドット、15秒のHD映像で、720×480ドットのDVD SD映像へ変換して出力している。計測値は、CPUのみのエンコードが3分58秒なのに対してCUDAでのエンコードが41秒と、GPUによる処理が圧倒的に速くなることを紹介した。

CPUによるエンコードは所要時間3分58秒
CUDAによるエンコードは41秒。6分の1に短縮された

 なお、ほかのソフトウェアベンダーでもCUDAに対応したエンコーダが開発されており、ペガシスが開発を進めている製品よりもCUDA利用時におけるパフォーマンスが高いとの報告があるが、それに対して海老根氏は、インテルのマルチコアCPUにも「カリカリにチューン」しているためと説明している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年05月13日 更新
  1. 「MacBook Neo」は「イラスト制作」に使えるか? Appleが仕掛ける“価格の暴力”を考える (2026年05月12日)
  2. 高騰続くパーツ市場、値札に衝撃を受ける人からDDR4使い回しでしのぐ自作erまで――連休中のアキバ動向 (2026年05月11日)
  3. NVIDIA“一強”を突き崩すか AMDのAIソフトウェア「ROCm」と次世代GPU「Instinct MI400」がもたらす新たな選択肢 (2026年05月12日)
  4. 待望のカラー版も選べて大型化! Amazonが「Kindle Scribe」2026年モデルを発表 Google Drive連携など機能も強化 (2026年05月12日)
  5. Googleが「Googlebook」をチラ見せ AndroidとChromeOSを“融合”した全く新しいノートPC 詳細は2026年後半に紹介 (2026年05月13日)
  6. 画面を持たない約12gの超軽量ウェルネストラッカー「Google Fitbit Air」 1万6800円で5月26日に発売 (2026年05月07日)
  7. ノートPCを4画面に拡張できる“変態”モバイルディスプレイ「ROADOM 14型 モバイルマルチディスプレイ X90M」が6万1560円に (2026年05月12日)
  8. オンプレミスAIを高速化する「AMD Instinct MI350P PCIe GPU」登場 グラボ形態で既存システムに容易に組み込める (2026年05月11日)
  9. USB Type-Cの映像出力をワイヤレスでHDMI入力できる「エレコム ワイヤレス HDMI 送受信機セット DH-CW4K110EBK」がセールで1万2580円に (2026年05月08日)
  10. 過去最高の受注急増と苦渋の全モデル受注停止――マウスコンピューター 軣社長が挑む“脱・メーカーのエゴ”と激動の2026年 (2026年05月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年