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» 2008年09月12日 11時15分 公開

秋のA3ノビプリンタ特集:第1回 画質も迫力も圧倒的なA3ノビプリンタを選ぶ (4/4)

[榊信康,ITmedia]
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HP Photosmart Pro B9180 Printer(日本HP) 顔料系8色インク

日本HPの「HP Photosmart Pro B9180 Printer」。実売価格は7万円前後

 日本ヒューレット・パッカードの「HP Photosmart Pro B9180 Printer」は、2006年10月に国内で発売された顔料系のA3ノビ対応インクジェットプリンタだ。2005年に発売された「HP Photosmart 8753」の販売が終了した現在では、HPがラインアップする唯一のフォト専用A3ノビ機となる。

 インクセットはフォトブラック、マットブラック、ライトグレー、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエローの計8色だ。インクタンクは他機種と同じように各色独立式だが、その搭載場所はキャリッジではなく、本体の前面に固定し、インクをチューブでキャリッジに搬送する方式を採用している。

 恐らくこれは、インクタンクを大容量にするためだろう。A3ノビ機はインクの消費量が大きいため、タンクの容量が求められる。しかし、8個もの大容量タンクをキャリッジに乗せれば、ベルトやキャリッジに大きな負担がかかり、速度や保全性、静粛性、安定性など、さまざまな部分で対策が必要になる。また、キャリッジパスに割くスペースも馬鹿にならない。このため、前面にインクを格納するスペースを確保し、わざわざチューブでインクをヘッドに搬送しているわけである。

 この成果もあって、B9180の速度や安定性、静粛性は、後発の製品と比べても遜色(そんしょく)ないほどに高い。また、大容量タンクだけあって、インクの持ちがよいのも好印象だ。とりわけて今回は、インクの消費がべらぼうに早い製品が居並ぶため、余計に際立って見える。いざインクを交換するとなると、そのカートリッジの単価の高さで好感度は減少するが、使用時に快適さが残るだけでも、もうけものだろう。

各色独立色のインクタンクは前面からアクセスできるので、交換は容易だ

 インクのノズル数は各色1056ノズルと多い。印刷最高解像度は4800×1200dpi、インクドロップはフォトブラック、ライトグレー、ライトシアン、ライトマゼンタが4ピコリットル、マットブラック、シアン、マゼンタ、イエローが6ピコリットルだ。

 印刷品質については、カラーはかなり色濃く印刷される印象を受ける。データによっては、階調がつぶれて見えることもあり、全体的にのっぺりとした描写になってしまう。メリハリでなく階調を重視する場合には、ICCプロファイルを用いるか、プリンタドライバのsRGB/Adobe RGBモードを使用するとよいだろう。

 モノクロ印刷については、ライトグレーインクを搭載しているだけあって転びがなく、ニュートラルグレーに近い色で描けている。ただ、シャドーの粘りがいまひとつ物足りない。割とあっさり黒くつぶれてしまうので、思い描いた通りの作品を作るにはそれなりの調整時間が必要だろう。

給排紙機構は前面に集中している

 ボディはこれも直線的なデザインで、今回集めた機種では最も大型で重い。上面の向かって左側にはインフォメーション用の液晶モニタを装備しており、各種のトラブルやプリント状況、ガイダンスなどが表示される。

 給紙機構は、HPおなじみの前面給排紙に対応。ロワートレイと特殊用紙トレイの2種類を装備している。ロワートレイは大抵の用紙サイズに対応しているが、U字パスになるので、紙粉の出やすいアート紙や厚手の紙は特殊用紙トレイを使用したほうがよい。特殊用紙トレイは、前面のトレイを手前に倒して使用する。他機種と異なり、CD/DVDレーベル印刷機能は持たない。

 インタフェースはPC接続用にUSB 2.0と有線LANを装備する。標準でネットワークに対応するのがポイントだ。ただし、PictBridge用のUSBポートは備えていない。

 また、補助機能として、クローズド・ループ・キャリブレーションや新静電式ドロップ検出システム「NEDD」(New Electrostatic Drop Detector)などの機能も搭載している。前者は印刷したカラーパターンを、本体の4色LEDセンサで計測して、プリンタの状態を診断・補正するシステムだ。これにより、長年使っても購入時と同等の印刷品位が確保できる。後者は静電式のドロップ検出機能であり、ノズルの詰まりを検出すると、自動で代替ノズルへと切り替えてくれる。

給紙機構は、ロワートレイと特殊用紙トレイを前面の上下に配置(写真=左)。背面にPC接続用のUSB 2.0ポートと有線LANを装備(写真=中央)。状況表示用の液晶モニタも用意している(写真=右)

本体サイズは676(幅)×429(奥行き)×234(高さ)ミリ、重量は約17.1キロと大きい。ただし、給排紙機構が前面にあるため、利用時に後方へトレイが伸びないのは好印象だ


 以上、現在国内で販売されている主要な写真印刷向けA3ノビ対応インクジェットプリンタ5機種をチェックした。次回は、高性能なプリンタの能力を引き出すためのドライバとソフトウェア環境について比較していく予定だ。

 第2回はこちら

本特集で取り上げるA3ノビ対応インクジェットプリンタの仕様(1)
製品名 メーカー 実売価格 印刷方式 インク種別 インク数 最小インク滴 最大解像度
PX-5600 エプソン 8万8000円前後 ピエゾインクジェット 顔料系 9個 3ピコリットル 5760×1440dpi
PX-G5300 エプソン 5万8000円前後 ピエゾインクジェット 顔料系 8個 1.5ピコリットル 5760×1440dpi
PIXUS Pro9500 キヤノン 7万8000円前後 バブルインクジェット 顔料系 10個 3ピコリットル 4800×2400dpi
PIXUS Pro9000 キヤノン 5万4000円前後 バブルインクジェット 染料系 8個 2ピコリットル 4800×2400dpi
HP Photosmart Pro B9180 Printer 日本ヒューレット・パッカード 7万円前後 サーマルインクジェット 顔料系 8個 4ピコ/6ピコリットル 4800×1200dpi
本特集で取り上げるA3ノビ対応インクジェットプリンタの仕様(2)
製品名 最大用紙サイズ PC接続 デジカメ接続 給排紙機構 CD/DVD印刷 本体サイズ 重量
PX-5600 A3ノビ USB 2.0×2 USB 2.0×1 前面、背面 616×322×214ミリ 約12.2キロ
PX-G5300 A3ノビ USB 2.0×2 USB 2.0×1 前面、背面 616×322×214ミリ 約12.2キロ
PIXUS Pro9500 A3ノビ、半切 USB 2.0×1 USB 2.0×1 前面、背面 660×354×191ミリ 約15.4キロ
PIXUS Pro9000 A3ノビ、半切 USB 2.0×1 USB 2.0×1 前面、背面 660×354×191ミリ 約14キロ
HP Photosmart Pro B9180 Printer A3ノビ USB 2.0×1、有線LAN 前面 676×429×234ミリ 約17.1キロ

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