MacBook発表のスペシャルイベントに隠されたテーマとは?Appleスペシャルイベント詳報 中編(1/2 ページ)

» 2008年10月15日 15時46分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

MacBook中心のスペシャルイベント、そのテーマを探る

イベント会場となった本社キャンパス内に位置するオーディトリアム(講堂)のある「4 Infinite Loop」の外観。入り口が受け付けになっている。招待状へのメール返信を忘れていて、筆者の名前が名簿から消えていたのはここだけの秘密だ

 今回のイベント会場となった本社キャンパス内のオーディトリアム。筆者がここを取材で訪れるのは2回目になる。前回は2年半前に行われたMac miniの発表会だった。

 すでに当時のテーマだったPowerPCプロセッサからIntelプロセッサへの移行は完了し、Leopardは発売され、Intel Macの第1弾だったMacBook Proは今回の発表で初の総リニューアルを迎えている。筆者も2年半前と現在の状況を見比べると、手持ちのWindowsマシンがMacBookになり、いろいろな意味で時代の流れを実感させる。そんな思いで望んだのが今回のイベントだ。

開場直後のイベント会場。なぜか右側の席がすでに埋まっているが、そのからくりは後で明らかになる(写真=左)。席も一通り埋まり、プレゼンターであるスティーブ・ジョブズ氏の登場を待っている状態。構内は無線LANが用意されており、リアルタイムで情報交換や記事更新を行っている者もいる。Macユーザーの比率が高いのもこの手のイベントのお約束だ(写真=中央)。会場後方の風景。TV関係者やカメラマン用のスタンドのほか、ステージの照明やプレゼンテーション、スクリプトの制御を行うスタッフが待機している(写真=右)

 実際、Apple自身も1つの山場を越え、次なるステップへと向かいつつあると考えている様子がうかがえる。一時は静かな死を迎えるかと思われたAppleは奇跡の再生を果たし、ラインアップをリニューアル、さらにIntel Macへの移行、そしてシェアの大幅拡大を遂げた。

 旧来のユーザーからは賛否両論だったIntel CPUへの移行だが、結果としてノートPCの需要増にマッチする形でシェア増加に貢献し、Windowsと併用できるなど、互換機ならではのメリットも享受できる。マイクロソフト側では認めていないが、Windows Vistaのローンチが失敗したことでMacへと流れるユーザーも増えていたとみられる。さらに「I'm a PC. I'm a Mac.」のCMでおなじみのマーケティングキャンペーン、そしてリテールストアの成功など、ことMacに関してのAppleの戦略はことごとくヒットに結びついている。リテールストアの重要性は、製品のアピール力に現れる。デルがコンシューマー市場での停滞の原因を店頭での露出不足にあると判断し、一時リテールストアの開拓に力を入れていたことからもそれはうかがえる。

近年の躍進が目立つAppleが、その理由を自己分析。よりよい製品を提供するのはもちろんのこと、Intel CPU採用による互換性、Windows Vistaの失速といった外的要因、CMでおなじみのマーケティングキャンペーン、リテールストアの成功などを挙げている(写真=左)。最近オープンしたばかりの新しいAppleのリテールストア群。オーストラリア(写真=中央)と北京五輪直前に同市内にオープンした中国初の店舗(写真=右)

スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が登場して簡単な挨拶をすませると、すぐに同社COOのティム・クック(Tim Cook)氏にバトンタッチ。クック氏は近年のAppleやPC市場を取り巻く事情について説明する

 米Apple COOのティム・クック氏は、米国内での販売シェアが17%以上の大台に乗ったこと、それがさらに売上ベース換算だとシェアが30%超に増加し、同じ商品でも製品単価の高い製品が売れていることを説明する。調査会社のデータによれば、ノートPCの販売単価の平均が1000ドルを超えているのはAppleだけだとも語る。

 クック氏はさらに教育現場におけるMacのシェアの高さを紹介、大学などの教育機関を中心にMacのシェアが大きく躍進しているとコメントしている。MacBookのリニューアル後も旧モデルを(値段を下げて)存続させたのは、こうした層へのアピールも念頭にあると思われる。次の方向性を模索するAppleの姿がかいま見えるようで面白い。

ここでノートPCの販売シェアを見てみると、教育現場でのMacのシェアは39%と3分の1以上を占め、大学への導入実績も順調に伸びている。結果として、写真のように学生全部の使用マシンがMac……ということも

出荷数の成長率をグラフで分析。一時的に落ち込んでいるのはIntel Macへの移行がウワサされ、買い控えの動きが広がったため。その後は順調にシェアを伸ばしてきた(写真=左)。Macは米国内に限れば17.6%の市場シェアでトップ5にランクされるPCメーカーとなる。また売上ベースで比較するとさらにシェアが伸びるが、これは同じ商品でも販売単価が高いことを意味する(写真=中央)。2008年第3四半期までの販売台数はすでに昨年2007年の台数と並んでいる。世界的不況とはいえ、毎年第4四半期は年末商戦でPC販売が大きく伸びる時期にあたるため、台数実績を大きく伸ばすのは確実だろう(写真=右)

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