今回のイベント会場となった本社キャンパス内のオーディトリアム。筆者がここを取材で訪れるのは2回目になる。前回は2年半前に行われたMac miniの発表会だった。
すでに当時のテーマだったPowerPCプロセッサからIntelプロセッサへの移行は完了し、Leopardは発売され、Intel Macの第1弾だったMacBook Proは今回の発表で初の総リニューアルを迎えている。筆者も2年半前と現在の状況を見比べると、手持ちのWindowsマシンがMacBookになり、いろいろな意味で時代の流れを実感させる。そんな思いで望んだのが今回のイベントだ。
実際、Apple自身も1つの山場を越え、次なるステップへと向かいつつあると考えている様子がうかがえる。一時は静かな死を迎えるかと思われたAppleは奇跡の再生を果たし、ラインアップをリニューアル、さらにIntel Macへの移行、そしてシェアの大幅拡大を遂げた。
旧来のユーザーからは賛否両論だったIntel CPUへの移行だが、結果としてノートPCの需要増にマッチする形でシェア増加に貢献し、Windowsと併用できるなど、互換機ならではのメリットも享受できる。マイクロソフト側では認めていないが、Windows Vistaのローンチが失敗したことでMacへと流れるユーザーも増えていたとみられる。さらに「I'm a PC. I'm a Mac.」のCMでおなじみのマーケティングキャンペーン、そしてリテールストアの成功など、ことMacに関してのAppleの戦略はことごとくヒットに結びついている。リテールストアの重要性は、製品のアピール力に現れる。デルがコンシューマー市場での停滞の原因を店頭での露出不足にあると判断し、一時リテールストアの開拓に力を入れていたことからもそれはうかがえる。
米Apple COOのティム・クック氏は、米国内での販売シェアが17%以上の大台に乗ったこと、それがさらに売上ベース換算だとシェアが30%超に増加し、同じ商品でも製品単価の高い製品が売れていることを説明する。調査会社のデータによれば、ノートPCの販売単価の平均が1000ドルを超えているのはAppleだけだとも語る。
クック氏はさらに教育現場におけるMacのシェアの高さを紹介、大学などの教育機関を中心にMacのシェアが大きく躍進しているとコメントしている。MacBookのリニューアル後も旧モデルを(値段を下げて)存続させたのは、こうした層へのアピールも念頭にあると思われる。次の方向性を模索するAppleの姿がかいま見えるようで面白い。
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