MSIのIntel X58 Expressマザー「Eclipse」は、同社のPlatinumシリーズやDiamondシリーズと同じブラック基板が採用されており、CPUソケット裏側には、LGA1366で大型になったソケット周辺を痛めないようにバックプレートが取り付けられている。
3チャネルメモリバスに対応するCore i7向けマザーボードらしく、6本用意されたメモリスロットは青と黒の3本ずつに色分けされている。利用できるメモリは、DDR3の800MHz、1066MHz、1333MHzで、最大で24Gバイトという大容量に対応する。ただし、現在のところDDR3の4Gバイトメモリモジュールがほとんど流通していないので、現実的には12Gバイトが最大容量となるだろう。
サウスブリッジは、インテル 4シリーズと共通のICH10Rが搭載されている。6ポートのSerial ATA(黒)を制御しており、RAID 0、1、0+1、5、AHCIが構築できる。さらに、JMicronのSerial ATAコントローラー「JMB322」を搭載していて、4ポートのSerial ATA(青)を制御する。このSerial ATAもRAID対応で、RAID O、1、JBODが構築可能だ。また、Parallel ATA/Serial ATAコントローラの「JMB362」が制御するeSATAが2ポート用意されていて、こちらもRAID 0、1に対応する。
MSIがEclipseで最も訴求しているのが、第2世代のDrMOSだ。P45 Platinumのレビューでも紹介しているように、DrMOSとはCPUに電源を供給するための回路(PWM)に“ドライバーMOSFET”というLSIを使用したシステムで、高い電力効率を実現する。変換ロスが少ないため発熱も低く、電源回路やシステムが高温にならないというメリットもある。また、最近のハイエンドマザーボードでは、12フェーズや16フェーズといった多段階PWMを訴求するケースが多いが、DrMOSは電力効率が高いため、5〜6フェーズのPWMでも12フェーズや16フェーズと同等の性能を得ることができるとMSIは説明している。
高効率で消費電力が少ないということは、排出される熱も少なくなるということになる。そのため、冷却ファンが消費する電力も少なくできる(または、クーラーユニットを小型にできる)というメリットも生まれる。
Eclipseでは、RENESAS TechnologyのドライバーMOSFET「R2J20602」を組み込んだ6フェーズの電源回路を採用している。さらに、チップセットサイドにもDrMOSチップが4基実装されているなど、チップセット用の電源回路でもDrMOSが利用されている。
電源回路に使用されているコンデンサは、アルミ固体コンデンサよりもさらに高品質なHi-CAPポリマーだ。これまで以上に安定性と耐久性を追求した結果といえる。なお、電源回路以外のコンデンサには、すべてアルミ固体コンデンサが使用されている。
電源回路の省電力コントロールは、フェーズ単位で行われる。それを可能にしているのがIntersilのPWMコントローラ「ISL6336A」だ。動作している回路のフェーズ数は、CPUソケット脇に並んだLEDによって表示される。
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