時代を築くVAIOが現れた──「VAIO type P」開発者の証言山田祥平の「こんなノートを使ってみたい」(2/3 ページ)

» 2009年01月09日 11時00分 公開
[山田祥平,ITmedia]

Wireless WANが標準でない理由とは

──VAIO type Pだけで完結してインターネットに接続できるWireless WANモデルこそ標準仕様にすべきだと思いますが、そうならなかったのはなぜなのでしょう。

伊藤 Wireless WAN搭載モデルは、コンセプトとして適切だと思います。ただ、現状ではUSB接続の通信アダプタを使うスタイルが広く利用されているので、現時点のモデルではワンセグチューナーを標準構成にしました。可能性としては、オンボードワンセグチューナーということも考えたのですが、日本限定モデルになってしまう上に、本体内の土地(ボディ内部にデバイスを搭載できる場所)がもったいないですからね。

 メディア再生機能に注力したのは、ウェブ上での動画シェアリングがトレンドとなっているからです。そういうところでの動画の楽しみをストレスなく享受していただきたいと考えました。

鈴木 動画に関しては、ウォークマンやPSPなどの「おでかけ転送」が思い浮かぶのですが、PCではすんなりとはできないですね。今やろうとすると、BDレコーダーにメモリースティックを装着して録画したものを持ち出すイメージでしょうか。まあ、オフラインDLNAのようなことができればいいとか、いろいろ絵は描けるんですが、そのあたりは、今後の検討課題です。

 それに、VAIOの2008年春モデル以降では、メモリーカードに録画済みハイビジョン番組を書き出せるので、この機能とVAIO type Pとを組み合わせて使ってもらえればと思います。

伊藤 そう、VAIOがもう1台あれば、もっと楽しくなるような点で、まだ訴求すべきポイントがたくさんあるかもしれません。

VAIO type Pは低価格を狙ったノートPCではない

──小さなノートPCは安いネットブックであるという思い込みがユーザー側にあるようですが、その点はいかがでしょう。

ほぼ同時期にASUSが発表した「Eee PC S121」など、低価格が売りだった台湾ベンダーをはじめとすNetbookも、2009年には高機能高価格の路線に進む兆しを見せている

伊藤 VAIO type Pは、あくまでも持ちだして使うことにフォーカスした製品で、低価格を狙った製品ではありません。低価格を目指した商品と、持ちだすことを目指して作られた商品は別のものだと思いますね。

鈴木 ただ、売り場などでは隣に並べられてしまうでしょうからちょっと心配ではあります。でも、バッテリー駆動時間などのスタミナなどを比べてもらえれば、その違いは分かってもらえると思います。

伊藤 もし、低価格を目指したのなら、バッテリーもディスプレイもこれほど高性能なものは採用しません。これだけの作り込みを見てもらえれば、むしろ、コストパフォーマンスは高いと思いますね。

 VAIO type PはPCなんです。そして、PCにもいろいろあるわけです。いろいろあるけれど、VAIO type Pは持ちだすことにフォーカスしたPCであるということを分かってほしいですね。

鈴木 これで動画編集ができるはずがないじゃないですか。それよりも、出先で何をするか、何が必要かを考え、そのバランス感を理解していただいて、外に持ちだしてほしいです。

 生活の中で使ってもらい、どこに楽しみや便利さを得てもらえるかが重要です。使う側のアイディア次第でしょう。専用機ではありませんから、自由度は相当高いはずです。

伊藤 基本的にはセカンドPCとして想定しています。環境としてはほかにデータを保存できるような何かが必要でしょう。あるいは、家の中でのモバイルも多いのではないかと考えています。テレビを見ながらブログを書いたり、ベッドに入ってから何かしたりといった使い方です。

鈴木 そう、屋外とは限らないですね。気軽に家の中でも持って歩けるカジュアルな感じです。

伊藤 パフォーマンス的にメインPCにはならないでしょうけれど、日常的な作業には十分かもしれないですよ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー