ロジクールから左手専用PCゲームコントローラ「ロジクール G13アドバンスゲームボード」(以下、G-13)が発売された。FPSゲームのように左手でキーボードを扱うゲームの操作性向上を図る左手専用のゲームコントローラは、すでにほかのメーカーからも販売されている。ここではG-13の基本的な機能や性能に加えて、ロジクールならではの工夫がどのように盛り込まれているかを検証していく。
G-13のメインキーはG1からG22までの22キーで構成される。配列は上から7列、7列、5列、3列のキーが左右対称に配置された4段構成。すべての段が奇数個のキーなので、各段ともセンターに位置するキーが存在する。G-13はエルゴノミクスデザインとなっており、掌底を置くパームレストからなだらかに盛り上がり、最下段のキートップを頂点として下降する。ちょうど、左手を自然な形で軽く置いたときにすっぽり収まるようなフォルムだ。最下底は1段目キーと2段目キーの間であり、1段目キーは折り返すように再び隆起する。手の大きさやポジションによって個人差はあるが、だいたい1段目と2段目の間あたりに指先がくるサイズになっている。1段目が持ち上がっているのはホームポジションの指からの距離を短くした結果だろう。
ゲームキーにはキーボードのようにホームポジションを示すポッチはないが、前後左右の移動キーが想定されるG4、G10〜G12にくぼみが設けられている。各キーのサイズは微妙に変化がつけられており、特に左右端にあたるキーは横幅が広くなっているが、それを除けばキーは縦の列もそろえられている。一般のキーボードのように各段ごとに1/4〜1/3キー分ずらした配置にはなっておらず、前進キーの真下に後退キーを配すことができる。また、上3段まではキートップが凹面だが、最下段のみ凸面になっている。デフォルトで最下段の3キーはCtrl、Alt、スペースに割り当てられているが、これらのキーは通常のキーボードでも凸面になっていることが多く、違和感を感じることはない。
ただし、G-13では通常キーを親指で操作することは不自然で、一般には人差し指から小指までの4本を用いることになる。そのために中央キーに中指を配すると、右側を人差し指1本で、左側を薬指と小指の2本で操作することになる。実際には右側よりも左側のキー操作で薬指と小指がバッティングするような状態になりがちだった。全体のフォルムはエルゴノミクスデザインでも、キー自体は左右方向には整然と並んでおり、指の可動範囲とはやや不整合を感じる部分だ。とはいえ、見方を変えれば「あって困るものじゃない」というところに追加のキーがあるとも言える。このあたりは個人個人がセッティングを詰めていくべき部分だろう。
通常キーの右下、親指がくるあたりにはボタンを二つ備えたミニジョイスティックが配置されている。このミニジョイスティックは上下左右および押下を受け付けるデジタルスティックで、それぞれの方向に各キーを割り当てて使用する。そのため、親指で最大7種類のキーを操作することができる。ただし、親指一本で操作するため、ボタンを押す場合にはミニジョイスティックから指を離して押すことになる。同時押しが必要なキーを割り当てることは現実的ではない。ただし、ミニジョイスティックを右上など斜め方向に入れた場合は右と上の同時押しとして扱われる。
キーボードとマウスを併用するユーザーの場合、一般キーボードでは親指以外の利用頻度が高いと思われるが、ミニジョイスティックにA/W/S/Dキーやカーソルキーなどを割り当てれば移動は親指で、それ以外の操作を残りの4本指で、という使い方ができる。この役割分担により、移動のために3本の指を待機させておく必要がなくなり、そのほかの機能へのアクセス速度の向上につながる。
また、ボタンの少なさ、片手操作時の不安定さなどから対応できるゲームが限られていたゲームパッドユーザーにとっても強力なサポートとなるだろう。ただ、FPSでミニジョイスティックがどれくらい使えるかというと、「これはちょっと難しいかな」というのが正直な印象だ。スティックを割と大きく動かす必要があるため、ミニジョイスティック(移動)に意識が向かうと、そのほかのキーへの注意が薄れてしまう。そこまでシビアな操作を必要としないMMORPGなどの場合は優雅なオペレーションが可能だ。
これら29種のキーカスタマイズは通常キーの上にあるM1〜M3ボタンで切り替えることができるため、合計で最大87種類のキー設定が1つのプロファイルで管理できる。そのほか、M3キーの右隣にクイックマクロ記録用のMRキー、G-13上部のLCD、ゲームパネルの下には表示プログラムを変更するプログラム切り替えキー、4つの機能キー、それにバックライトのオン・オフキーが用意されている。
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