TDP下がって使い勝手向上──TDP95ワットの「Phenom II X4 945」イマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2009年06月02日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

TDP=95ワット版はPhenom IIがこなれたおかげ?

TDP95ワット版のPhenom II X4 945のOPNは「HDX945WFK4DGI」で、TDP125ワット版のOPNは「HDX945FBK4DGI」または「HDX945FBGIBOX」と異なる。PCパーツショップの店頭で95ワット版と125ワット版が同時に販売される場合、OPNを確認する必要があるだろう

 AMDから“新しい”Phenom II X4 945が発表された。Phenom II X4 945という名前のCPUはすでに発表されているが、今回登場した“945”はTDPが95ワットに変更されたバージョンだ。先行のTDP125ワット版と比べて消費電力が抑えらただけでなく、TDP125ワットのCPUに対応できないバリュークラスのマザーボードでもPhenom IIが利用できるようになる。それでいて、動作クロックは3GHzと、Phenom II X4シリーズのなかでも高く設定されている。以下にPhenom II X4シリーズのスペックを比べてみる。

モデルナンバー Phenom II X4 955 Black Edition Phenom II X4 945(TDP125W) Phenom II X4 945(TDP95W) Phenom II X4 940 Black Edition
動作クロック 3.2GHz 3.0GHz 3.0GHz 3.0GHz
CPUソケット AM3 AM3 AM3 AM2
対応メモリ up to DDR3 1333MHz/DDR2 1066MHz up to DDR3 1333MHz/DDR2 1066MHz up to DDR3 1333MHz/DDR2 1066MHz up to DDR2 1066MHz
1次キャッシュ (命令64K+データ64K)/コア (命令64K+データ64K)/コア (命令64K+データ64K)/コア (命令64K+データ64K)/コア
2次キャッシュ 512KB/コア(計2MB) 512KB/コア(計2MB) 512KB/コア(計2MB) 512KB/コア(計2MB)
3次キャッシュ 6MB(共有) 6MB(共有) 6MB(共有) 6MB(共有)
HT Link クロック 4.0GHz 4.0GHz 4.0GHz 3.6GHz
製造プロセス 45ナノメートル DSL SOI 45ナノメートル DSL SOI 45ナノメートル DSL SOI 45ナノメートル DSL SOI
トランジスタ数 7億5800万個 7億5800万個 7億5800万個 7億5800万個
コア電圧 0.875〜1.5ボルト 0.875〜1.5ボルト 0.875〜1.5ボルト 0.875〜1.5ボルト
消費電力 125ワット 125ワット 95ワット 125ワット
価格 約2万7000円 約2万1000円 約2万3000円 約2万2000円

 執筆時点で入手した資料によれば、125ワット版と95ワット版のPhenom II X4 945はステッピングもリビジョンも同じだ。消費電力に影響しそうなコア電圧などもスペック上では同一になっている。なお、スペック上では同じはずのPhenom II X4 955と95ワット版Phenom II X4 945のコア電圧(0.875〜1.5V)だが、CPU-Z(Ver.1.51)で取得した情報を確認してみると、Phenom II X4 945のほうが低くなっていた。低電圧で3GHz駆動するコアが95ワット版のPhenom II X4 945として選別されている可能性がありそうだ。

 選別品とはいえ、製品として出荷するなら十分な生産量が得られなければならない。95ワット版のPhenom II X4 945が出荷された背景には、45ナノメートルプロセスルールの生産技術がこなれて、優れたコアが十分に確保できるようになった経緯があるのかもしれない。

CPU-Z(ver.1.51)で確認した95ワット版Phenom II X4 945(写真=左)、Phenom II X4 955(写真=中央)、Phenom II X4 940(写真=右)の動作情報。AMDが示したスペックシートでは同一だったコア電圧の値が95ワット版Phenom II X4 945でほかのモデルより低くなっている

クロックに見合うパフォーマンスとPhenom II X4としては最小の消費電力

 Phenom II X4 945(95ワット版)の性能評価では、すでにPC USERに掲載しているPhenom II X4 955のレビュー記事で紹介した測定結果に、Phenom II X4 945(95ワット版)で測定した値を追加して比較する。そのため、今回の測定で用いた機材は、Phenom II X4 955の性能評価で使った構成と同等としている。すなわち、メモリはDDR3 1333MHz動作サポートのCorsair CM3Z2G1600C9DHXを4Gバイト、マザーボードはASUSのM4A79T Deluxe(AMD 790FX+SB750)、グラフィックスカードはMSIのN280GTX-T2D1G(GeForce GTX 280搭載)を組み合わせている。念のため、マザーボードおよびグラフィックスカードのドライバも前回のバージョンに統一した。

CPU Phenom II X4 955 BE(3.2GHz) Phenom II X4 940 BE(3GHz) Core i7 920(2.66GHz) Phenom II X4 945(3GHz)
マザーボード ASUS M4A79T Deluxe GIGABYTE GA-MA790GP-DS4H MSI X58 Pro ASUS M4A79T Deluxe
チップセット AMD 790FX+SB750 AMD 790GX+SB750 Intel X58 Express AMD 790FX+SB750
メモリ DDR3-1333 4GB(Corsair CM3Z2G1600C9DHX) DDR2-800 4GB(Patriot PDC24G6400LLK) DDR3-1066 3GB(GeIL GV33GB1333C9TC) DDR3-1333 4GB(Corsair CM3Z2G1600C9DHX)
グラフィックスカード MSI N280GTX-T2D1G
HDD WD3200AAJS-B4A(320GB/7200rpm/8MB)
OS Windows Vista Ultimete SP1 32ビット版

CPUが対応するパッケージがすべて異なるため、マザーボードも3枚用意した。Phenom II X4 955 BEとPhenom II X4 945では、AMD 790FXを搭載するASUSの「M4A79T Deluxe」(写真=左)を、Phenom II X4 940 BEではAMD 790GXを搭載するGIGABYTEの「GA-MA790GP-DS4H」(写真=中央)を、Core i7 920ではIntel X58 Expressを搭載するMSIの「X58 Pro」(写真=右)をそれぞれ用いている

Phenom II X4 955 BEとPhenom II X4 945のシステムで使用したCorsairのDDR3デュアルチャネルキット「CM3Z2G1600C9DHX」(写真=左)。Phenom II X4 940 BEのメモリにはPatriotのDDR2デュアルチャネルキット「PDC24G6400LLK」を使用した(写真=中央)。Core i7 920ではGeILのDDR3トリプルチャネルキット「GV33GB1333C9TC」を組み込んでいる(写真=右)

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