AMDが8月13日に発表した「Phenom II X4 965 Black Edition」(以下、965 BE)は、Phenom II X4 955 Black Exition(以下、955 BE)の動作クロックを200MHz上回る3.4GHzに達している。このクロックは、Phenom II X4シリーズで最高であるとともに、現在流通しているx86系CPUでも最高になる。
CPU-Z 1.52.1で表示された965 BEと955 BEの情報を並べてみると、両者の違いはクロック倍率と実クロックのみで、ステッピングやリビジョンなどは同じだ。リビジョンに変更がないまま、965 BEという高クロック版が登場したことになる。

左がPhenom II X4 965 Black Editionで、右がPhenom II X4 955 Black Edition。OPNは“NDZ”に続く「965」と「955」の部分しか違わない。その下の行にある表記を見ると、965 BEが「0921FPBW」で955 BEが「0907EPBW」とある。09xxが2009年における生産週を表したものと仮定すれば、今回評価したCPUの製造日は14週(100日程度)開いていることになる
CPU-Z 1.52.1で表示させたCPUの情報を並べてみる。左は965 BEで右は955 BE。クロックに関する項目以外に違いはない。表示ではPhenom II X4 965 BEのコア電圧が高くなっているが、これは955 BEでも規定の電圧の範囲内だAMDの資料を見ても、サポートするメモリの規格、1次キャッシュメモリから3次キャッシュメモリまでの容量、駆動電圧、トランジスタ数やプロセスルールなど、965 BEと955 BEのスペックはほぼ共通する。基本的に965 BEは955 BEの高クロック版とみなしていい。
ただし、注意したいのがTDPだ。965 BEは140ワットで、955 BEの125ワットから15ワットほど増加している。リビジョンが同じでも、動作クロックを引き上げた分はTDPにしっかり反映されている。AM3対応のPhenom IIとしては初めての140ワットモデルということになり、搭載できるマザーボードもベンダーが「140ワット対応」をうたっているモデルになる。CPUの移行を考えているユーザーはマザーボードがそのまま流用できるか確認しておく必要がある。
| モデルナンバー | Phenom II X4 965 Black Edition | Phenom II X4 955 Black Edition |
|---|---|---|
| OPN | HDZ965FBK4DGI | HDZ955FBK4DGI |
| 動作クロック | 3.4GHz | 3.2GHz |
| ソケット | AM3 | AM3 |
| 対応メモリ | up to DDR3-1333/DDR2-1066 | up to DDR3-1333/DDR2-1066 |
| 1次キャッシュ | (命令64K+データ64K)/コア | (命令64K+データ64K)/コア |
| 2次キャッシュ | 512KB/コア(計2MB) | 512KB/コア(計2MB) |
| 3次キャッシュ | 6Mバイト(共有) | 6Mバイト(共有) |
| HT Link クロック | 4.0GHz | 4.0GHz |
| プロセスルール | 45nm DSL SOI | 45nm DSL SOI |
| 構成トランジスタ数 | 7億5800万個 | 7億5800万個 |
| コア電圧 | 0.875-1.5ボルト | 0.875-1.5ボルト |
| TDP | 140ワット | 125ワット |
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