日本エイサーは1月27日、「日本のパソコンは高すぎた。」──と題した記者説明会を開催。同社代表取締役のボブ・セン社長が2010年の国内向け事業計画、およびその野望を語った。
Acerは、今やワールドワイドのPC市場で2位のシェアを獲得するトップPCメーカーの1つ。NetbookのAspire oneシリーズ、CULV版CPU搭載ノートPCといった低価格なノートPCを中心に販売数を年々右肩上がりで増やし、2009年第3四半期に米DELLを抜き2位に躍り出た。日本市場も同様に、Netbook「Aspire oneシリーズ」をはじめ、“ポストNetbook”となるCULV版CPUを搭載する低価格ノートPC「Aspire Timelineシリーズ」を国内他社に先駆けてリリースし、当時、同社が発言したとおり「市場に革命を起こした」のも記憶に新しい。
「1つみなさんが誤解されていることがある。エイサーの低価格ノートPCは無理して赤字で展開しているわけでなく、安さだけを求めた“いわゆる安かろう悪かろう”のものでも当然ない。ユーザーに対し“Value for Money”(価格に見合う価値、製品)の観点を最重視しつつ、世界標準の金額に合わせてきちんと利益を出すことも当然考慮してあの価格になったまで。こちらが安すぎるのではなく、要は“日本のPCが高すぎた”のだ──」(日本エイサーのボブ・セン社長)
エイサーの2009年国内PCシェアは約6%。コンシューマー向けPCに限ると約9%、CULV版CPU搭載ノートPCカテゴリに至っては27%と、高いシェアを獲得した。これら製品群の展開と世界シェア2位となった効果、および液晶ディスプレイの販売効果(同社によると国内販売台数シェアトップだったという)などで、国内におけるエイサーブランドの認知度は「国内全人口の2.3人に1人が認知」(日本エイサー マーケティング部の瀬戸和信マネージャー)とかなり高まったことも伺える。
2010年は、柱とする“Netbook”やポストNetbookとなるCULVノートPC“Light Note”カテゴリのさらなる増進に加え、15.6型クラスの液晶ディスプレイを搭載する“A4スタンダードノートPC”カテゴリに力を入れる。
なぜA4スタンダードなのか。CULVノートPCは、そのコストパフォーマンスによりモバイル環境で使用するPCミドルユーザー以上の一定層に高い評価を得るものの、一般層を含める国内販売総数は15型クラスのA4スタンダードノートPCに及ばない。A4ノートPCカテゴリは「いわば日本市場の主戦場」だという。「満を持してここに殴り込みをかける」と同社の鼻息は荒い。
同社が持つ武器は、やはりコストパフォーマンス。A4ノートPCの主力機に据える「Aspire 5740」シリーズは、15.6型ワイドの液晶ディスプレイ、Core iシリーズのCPU、4Gバイトメモリ、光学ドライブを搭載し、6万9800円からとする価格帯で、東芝のdynabookシリーズや富士通のFMV-BIBLO、NECのLaVieシリーズ、ソニーのVAIOシリーズなどに挑む。実売10万円前後〜15万円前後のレンジで、ほぼ同等仕様の他社製A4スタンダードノートPCに大きく劣る機能はない──と胸を張る。
「なお、“価格”という言葉を連呼しているが、他社製品に決して劣らない仕様、そしてアフターサービスなどの信頼性も含め、“当然、それだけではない”」(瀬戸氏)。これは、Aspire Timelineシリーズを比較検討したことのあるユーザーなら理解してもらえるだろうという。24時間365日のユーザーサポートなど、全世界のエイサー市場のうち、日本しか展開していない特別なサービスもアピールする。「ちなみに……当たり前のことだが、電話サポートは100%日本人スタッフが対応している」(瀬戸氏)
同社はこのような“ファーストコンタクト”を軸にスタンダードノートPCやデスクトップPC、Gatewayブランドなど、別カテゴリの製品の存在にも気づいてもらい、低価格プラスアルファの価値観の提供とともに一般層向けの販売増進、ひいては国内シェアのさらなる獲得を図る考えだ。2010年は約7%、2011年は約9%のシェア獲得をもくろむ。
さらに世界市場も含め「好調なモバイルPCカテゴリを武器に、2010年にモバイルPCカテゴリで世界シェアトップ、2011年に国内PCシェア5位以内、2012年にHPを抜き、世界PCシェアトップの獲得を狙う」(セン社長)と述べた。
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