FF14も攻撃対象に? オンラインゲーム犯罪の現状:Kaspersky Press Tour 2010(3)(1/2 ページ)

» 2010年10月15日 00時00分 公開
[後藤治,ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Global Reserch & Analysis Teamに在籍するアナリストのクリスチャン・フンク(Christian Funk)氏

 Kaspersky Labがドイツで実施した「Kaspersky Security Symposium」では、一般ユーザーが遭遇するオンライン脅威の1つとして、前回の“偽セキュリティソフト”のほかに、オンラインゲームを土壌としたサイバー犯罪についても取り上げられている。主に中央ヨーロッパのマルウェア分析に従事するクリスチャン・フンク(Christian Funk)氏のリポートを紹介しよう。

 同氏によれば、オンラインゲームを狙ったマルウェアは2008年以降急激に増加し、これまで発見されているユニークなマルウェアの数は1億8800万に達するという。また、地域別に見ると一日の攻撃件数で中国が87万件以上と群を抜き、2位のインドに4倍以上の差をつけている。上位に挙がっている国で共通するのは、ソフトウェアの海賊版市場が大きな地域であるという点だ。

 フンク氏は、サイバー犯罪者にとってオンラインゲームがこれほどまでに魅力的な“市場”になったのは、ゲームをプレイするユーザーの競争心に起因すると指摘する。オンラインゲームの多くは、ほかのプレーヤーよりも優位に立つために、キャラクターのレベルだけでなく、むしろ高レベルになればなるほど装備が重要になる。しかし、これらはドロップアイテムを自力で入手するか、ゲーム内でのトレードしかない。

 そこで、手軽にアイテムを手に入れる第3の方法として登場したのが、オークションやオンラインショップを通じたアイテムの販売(RMT)だ。もちろん、これらは無料ではなく、実際にeBayなどの大手オークションサイトでレアアイテムが高額で取り引きされている。フンク氏は、アイテム販売の市場が成立してるゲームとして、BlizzardのMMORPG「World of Warcraft」(以下、WoW)を例に挙げ、これらのゲームを狙ったサイバー犯罪が増加していったと説明する。具体的には、偽装されたEメールから悪意のあるWebサイトに誘導する、ゲーム関連サイトに見せかけた偽のログインページにIDを入力させる、ゲームのアドオンにキーロガーを仕込むといった方法でアカウントを入手し、アイテムを盗んで販売するといったものだ。オンラインゲームを狙ったトロイの木馬が登場したのは2002年だが、現在その攻撃手法は多岐に渡り、年々洗練されているという。

オンラインゲームを対象としたマルウェアは2008年以降、増加傾向にある。最も増加した2008年1月や次点の2009年1月は、人気ゲームタイトルやその拡張パックがリリースされた時期に重なる(写真=左)。最も攻撃が多いのは中国。2位のインドに4倍以上の差をつけている(写真=右)

 ただ、オンラインゲームを対象にした攻撃が増加する一方で、アイテム販売の市場規模は縮小するとも予想している。サイバー犯罪者がこの市場に参入したことで、高額で取引されるアイテムが供給過多になり、アイテムの販売単価が下落して、売り手市場から買い手市場になるためだ。とはいえ、アイテム販売の市場は依然として大きいようだ。

 同社がWoWのアイテム販売について30日間eBayを監視した結果では、出品されたアイテム数は1844点、価格の範囲は1ユーロから1200ユーロで、平均単価は120ユーロ、総額にして22万2296ユーロに上るという。1年で考えれば3億円に近い規模だ。eBayという1つの販売チャンネルとWoWという1つゲームタイトルに絞った結果である点を考えれば、非常に大きな市場であることが分かるだろう。

 フンク氏は「オンラインゲームの本質は大きく変化していない、つまりこれはマルウェアにとっても同じ状況が続くということだ」と語り、今後新しい人気タイトルが登場することで、再びオンラインゲームを対象にした詐欺が増加に転じる可能性を示唆するとともに、多くの国ではゲームアカウントの盗用が犯罪だと見なされない点を指摘して、対策の難しさと危険性を訴えた。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月27日 更新
  1. GeForce RTX 5080は30万円超えの空気感――GPU高騰の裏で見つけた7割引の水冷パーツと8万円台の小型PC (2026年09月26日)
  2. “Vision Pro級”のMR体験が約100gの軽量グラスで? 最新の「Meta VR Glasses」を試して分かった圧倒的な快適性 (2026年09月25日)
  3. 実売3万9800円でノートPCを3画面化! ソースネクストのデュアル拡張ディスプレイ「DGP-DMD1401」を試す (2026年09月25日)
  4. AndroidとChromeOSが融合した次世代PC「Googlebook」の実機を見てきた ――AI統合で何が変わるのか? (2026年09月25日)
  5. 新型「Mac mini」「Mac Studio」徹底レビュー! ローカルAIはついに“実用域”へ エージェントAIに事務仕事を任せて分かった驚異の進化 (2026年09月22日)
  6. 12インチ「Surface Pro」と13インチ「Surface Laptop」に個人向けの第2世代が登場 Snapdragon X2 Plus搭載でメモリは最大24GBに (2026年09月24日)
  7. 「これはわれわれにとってのTGSだ」 ロジクールGが年に一度の旗艦イベント「Logicool G PLAY Tokyo 2026」を開催 熱気あふれる会場を現地レポート (2026年09月25日)
  8. “AIスマホ”としての個性がより鮮明に 望遠カメラ刷新&AI処理が飛躍した「Pixel 11 Pro」 の実力とベンチマーク結果を検証 (2026年09月24日)
  9. 増えすぎたリモコンを1台に集約できる「SwitchBot 学習リモコン」がセールで14%オフの5990円に (2026年09月25日)
  10. Razer、ミニマルデザインを採用した小型ゲーミングデスクトップスピーカー (2026年09月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー