Windows Liveは、Windows 7の機能を補完する無料のアプリケーション・Webサービス群だ。やや長いサイクルでアップグレードするOSと異なり、メールや動画編集、オンラインサービスなど、新サービスやトレンドに応じてOSより高頻度にアップグレードすることが求められる機能を切り離し、ユーザー自身が必要な機能だけダウンロードして利用するスタイルとなっている。
主なアプリケーションは、メール(電子メール)、Messenger(インスタントメッセージング)、ムービーメーカー(動画編集)、フォトギャラリー(写真管理)、Mesh(ファイル同期・リモートデスクトップ)、Writer(ブログ編集)、ファミリーセーフティ(子ども向けアクセス制御)、Messenger Companion(IEとMessengerを連携)、Bingバー(検索ツールバー)、Outlook Connector Pack(Outlook連携強化)、Silverlignt(Webプラグイン)の11個。これらは「Windows Live Essentials 2011」として、ひとまとめでインストールできる(個別インストールも可能)。すべて無料だ。
今回、デモンストレーションで、Windows Live Essentials 2011より新しくなったMesh、Messenger、フォトギャラリー、そしてOffice 2010と連携したオンラインサービス「Office Web Apps」を利用した活用シーンが示された。
まずはMesh。昨今、個人でも家用/モバイル用など複数台のPCを使い分けて運用することも珍しいことではない。Meshは、複数台のPCの使用環境を「同期」し、どのPCで、どこで使う時も常に同じ環境で利用できるようサポートするP2Pを利用した便利ツールだ。Windows Live IDとクラウドストレージサービスであるSkyDriveを連携して実現する。
使い方はすこぶる簡単。モバイルノートPCと家のデスクトップPC(会社のPCと家のPC×複数台などでもよい)それぞれにMeshをインストールし、同じWindows Live IDでログインすると、ファイル/フォルダやInternet Explorerのお気に入り、Officeのスタイル・テンプレート・ユーザー辞書・電子メールの署名といったデータを共有できるようになる。どちらか一方のデータが更新されたら他方のPCにも逐次自動コピーされるイメージで、それぞれの内容が同一に保たれる。例えば、家のPCに保存する動画・音楽ファイルを同期フォルダに置いておけば、外出先のノートPCでも家のPCと同じものを再生できる。
同期するデータは、無料オンラインストレージのSkyDriveにも置いておける。5Gバイト分が無料で利用可能だ。SkyDriveはブラウザからアクセスできるので、MeshをインストールしていないPC──例えば貸与PCやネットカフェのPCなどで利用する時や、写真を友人などと共有したい場合などに便利。保存するデータに応じ、PCとクラウドストレージのどちらを利用するか使い分けるとよいだろう。
このほか、外出先のPCから、Meshに登録した家のPCへ容易にリモートアクセスすることも可能だ。家のPCに置き忘れたデータをリモートアクセス操作でコピーすることはもちろん、家の高スペックなデスクトップPCの動画編集ソフトで動画を編集・エンコードして転送・同期する──といったことを外出先のPCでコントロールすることもできてしまう(ただし、同期は1ファイルあたり4Gバイトまでのサイズ上限があるので少し注意したい)。なお、(機能は同一ではないが)Windows標準のリモートアクセスサーバ機能を備えないWindows 7 Home Premium搭載のPCでも使えるのがポイントの1つである。
ビジネス用途においては、SkyDriveを利用したOffice Web Appsも便利。オフィスドキュメントを個人的に異なるPCで利用する場合はもちろん、SkyDriveの共有フォルダを用いてチーム内・メンバー間で同じファイルを閲覧・編集できる。どのメンバーがどの部分を編集したかといった履歴やバックアップも残るため、単体のファイルをメール添付で互いにやりとりするより効率的で、企画書・リポートの仕上げや議事録の作成など、チーム間の共同作業に向いている。
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