次は、実際に運用しながら、Droboの特徴であるデータ保護や容量の拡張を試そう。とはいえ、HDDの故障を意図的に再現するのは困難なので、稼働中のHDDを引き抜くことで故障したとみなして検証していく。
HDDを1つ引き抜くと、Dashboardが即座にこれを感知し、アラートが表示される。本体のステータスLEDも赤く点滅し、Dashboardのメイン画面でも使用容量表示が赤く表示。制御画面でも対象のHDD部分が赤くなり、そのステータスが「Data At Risk」と警告されるのが確認できる。こちらは、Drobo S、Drobo FSともに動きは同じだ。
引き抜いたHDDを戻すと、制御画面のData Protectionメニューが「In Progress」に変わり、自動的にリビルド作業が開始された。ここでは、元の状態に戻ったことを感知しためか、リビルド作業も一瞬だ。
次は、故障したHDDの代わりに新しいHDDを調達してきた──という設定で、より大容量な別のHDDに差し替えてみよう。こちらも基本的な動きは同じだ。やはりリビルド作業が自動的に始まり、完了後はなにごともなかったかのように総容量も増えていた。ともあれ、ユーザーがいろいろと操作をすることなく、“おまかせ全自動”でやってくれるのが大変便利である。
ちなみに、リビルド作業中でもDrobo内のデータにアクセス、ファイルを作成することは可能だった。運用しながら拡張・交換・メンテナンスが可能──つまりダウンタイム・ゼロを実現するわけで、複数人が不定期に利用する業務シーンに導入する場合にも適する。一般的なRAID 5系システムでは、データの安全性を高めるためにリビルド中はアクセス不可とする場合も多いので、業務をストップさせられない用途においては特に大きなメリットとなるだろう。
リビルドにかかる時間だが、ほとんどデータ領域を使用していない場合は1分もかからない。160Gバイト+320Gバイト+750Gバイトという構成で240Gバイトのデータを保存している場合において、160Gバイト HDDを一度抜きそのまま戻した際は約5分、160Gバイト HDDを500Gバイト HDDに交換した際は約1時間を要した。一時的な障害とHDDの交換という状況、そして使用容量によってリビルド作業にかかる時間は若干変化する。
とはいえ、長くても数時間待つだけだ。以前、RAID 5のリビルド作業をまる1日かけてあれこれ必死になって行ったトホホな思い出があるが、Droboであればごく短時間で済み、作業量はないに等しい(ベアHDDを差し替えるだけ)。一言、「非常にラク」である。個人ユーザーにとってはHDDの故障自体がまれとも思われるが、それだけにいざ故障したらどうなるか。「おまかせで復旧できる」のは相当大きなメリットと言える。
ちなみに、これは電源オン(運用中)状態で行う。試しに電源オフの状態でHDDを交換してみたところ「あまりに多くのハードドライブが同時に削除または置き換えられました」という警告が出て、データ保護が破綻した。特殊な事例ではないとは思ったが、同社に確認したところ「基本的に電源オンの状態でHDDを交換するのが望ましい」という答えだった。つまり、Drobo自身がHDDを管理・監視できている電源オンの状態でHDDを交換するのが確実ということだろう。ホットスワップに慣れていない一般ユーザーには少々勇気のいる行為かもしれないが、この点は注意してほしい。
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