本特集は比較的長いスパンで掲載してきたため、ここで取り上げたセキュリティソフトをそれぞれ数週間ずつメインマシンで試用することができた。試用した時期が異なり、比較のために同じ操作をしてみるといったこともしていないが、通常の作業環境での使用結果なのである程度の目安になるだろう。
そこで、これまでの3回で検証した内容に、実際の使用感を加味しておすすめのセキュリティソフトを選んだので、参考にしてほしい。
多くのユーザーにお勧めできるのがウイルスバスター2011クラウドだ。ウイルスバスターは全体的に動作が軽量なだけでなく、やたらと警告を表示することもない。ウイルス定義ファイルの更新は自動で実行され、更新スケジュールを変更するオプションも存在しないなど、カスタマイズできる項目は非常に少ない。逆にいえばインストールするだけで何もしなくてよいということであり、これをメリットと感じるユーザーは多いだろう。
ウイルス定義ファイルの大半がサーバ上に置かれていることもあり、インターネットに接続しない状態で使うことの多いPCではちょっと不安に感じるものの、現在ではインターネットに接続しない状態でPCを使うということは考えにくくなっている。特殊な使い方をするPCでなければ問題になることはないはずだ。ウイルスバスターは1ライセンスで3台までのPCにインストールが可能であり、Mac OSにも対応している。操作も容易なので、あまりPCに詳しくない家族が使うセキュリティソフトとしても最適といえる。
多少動作が重くても、既知ウイルスの検出率が高いほうがよい、と考えるユーザーには、G Dataインターネットセキュリティ 2011がおすすめだ。今回のテストでも、すべてのカテゴリで検出率が1位になるなど、高い検出率を誇る。第2回の記事で紹介したとおり、ほとんどの操作では未インストール状態と比較して速度低下が著しい。ただし、一度実行したことのある操作を再度実行する場合は、ほかのセキュリティソフトと大差ないレベルまで高速化する。
PCを使用していると、同じアプリケーションを毎日起動したり、同じファイルに繰り返しアクセスしたりということが多いため、しばらく使っていれば速度低下は気にならなくなるだろう。実際、しばらく試用していてストレスを感じるほど遅くなることはなかった。各種設定もシンプルにまとめられており、ほとんどはデフォルトのままで問題ない。なお、G Dataは2つのウイルススキャンエンジンを搭載していることもあり、メモリ使用量が比較的多い。そのため、なるべく多くのメモリを搭載した環境で利用することをおすすめしたい。
カスタマイズ性を重視するなら、Kaspersky Internet Security 2011がおすすめだ。Kasperskyでは細かい設定項目が数多く用意されているが、設定レベルごとに区分されているので比較的設定は容易だ。基本的な設定は手軽に、高度な設定はより細かく実行できる。また、単純なマルウェア検出だけでなく、プログラムの怪しい動作を監視する機能や、個人情報の保護機能、高性能なファイアウォールなども搭載されている。総合的な保護能力はウイルス検出率以上に高いといえるだろう。
ただし、安全なアプリケーションであっても、操作内容によっては起動するたびに警告が表示されることがある。常に警告が表示されるのは精神衛生上よくないが、重要な警告を無効にせず、重要性の低い警告のみを無効にする、といった設定は難易度が高い。ある程度知識のあるユーザー向きといえる。
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