フルセグチューナーが登場したころは、ハードの大きさもさることながら、あまり多機能とはいえなかった。しかし、現在ではBDへの書き出しをはじめとするダビング機能や、別のモバイル端末へのデータ移動など多機能化が著しい。そのほか、ウィンドウ画面の表示や視聴メニューの簡略化、またインターネット番組表に対応し予約が手軽にできるなど、ユーザーインタフェースも向上している。今回試用した両チューナーは上記の機能を盛り込みながら、さらに最先端で差別化している。
まずはGV-MVP/FZの付属ソフトから見ていこう。視聴ソフトとなる「mAgicTV Digita」はメインウィンドウ1つでタイムシフト再生から番組予約、字幕のオン/オフまでこなせる。データ放送やクイズ番組などで使われる双方向サービスが使えないことを除けば、メーカー製PCに標準搭載されているテレビソフトと同等の機能を備えており、それらが一画面で扱えるのが便利だ。
詳細な録画設定は、メイン画面やタスクマネージャーから「mAgicマネージャ Digital」を起動して調整する。MPEG-4 AVC/H.264形式の録画モードは「HR2〜15」(11.5Mbps〜1.2Mbps)の7段階を用意しており、ストレージの空き容量にあわせた細かなカスタムが可能だ。10倍速モードで録画時のCPU使用率をCULVノートで測定したところ、無圧縮のMPEG-2(TS)と同じ45%前後だった。視聴のみでは20%前後なので、2〜30%の向上で済んでいる。また、CPU使用率が50%未満なので、録画中でもWebブラウズやオフィスソフトを使用するといった“ながら作業”が無理なくできる。
加えて、Netbookなどの低スペックマシン向けに「NetBookモード」と「NetBook SDモード」を用意しており、環境に合わせて選択できる。どちらも字幕や番組情報表示などの機能が制限されるが、視聴中の番組録画や録画データの再生は可能だ。また、「NetBookモード」ならHD画質での表示もサポートするので、高画質でじっくり観たい番組でも不満なく楽しめる。CULVノートで地デジ番組を視聴したところ、通常モードで45%前後だったCPU使用率は、NetBookモードで40%前後、NetBook SDモードで20%前後まで下がっている。
番組予約や録画データの再生と書き出しは「mAgicTV Digital for テレキング」が窓口となる。そのほか、ネット経由でケータイなどから録画予約できるアプリケーション「mAgicTV Digitalサーバー」も用意しているので、必要に応じて使いたい。
一方のDT-F200/U2Wは、テレビソフトに「PCastTV3」を用意している。ツールボックスを視聴ウィンドウとは別に用意しており、ここから一通りの作業が可能だ。mAgicTV Digitalと同じくデータ放送や双方向サービスには非対応だが、インターネット経由のiEPGだけでなく、地デジ放送電波から取得できるEPGでの番組予約をサポートしているため、オフライン環境でも観たい番組をチェックできるアドバンテージを持つ。
また、ダブルチューナーを生かした録画機能との連携が目立つ。メニューバーの録画ボタンから、現在視聴している番組を裏番組として録画し、別のチャンネルを視聴できる。録画中の番組は別のメニューバーとして表示され、状況の確認も簡単に行える。また、1番組をすでに録画中であっても、番組視聴時に録画メニューにある録画ボタンを押すだけで途中からでも録画できるなど、シチュエーションによる制約が少ない。なお、CPU使用率は、通常視聴時に40%強だったが、裏番組録画時と2番組録画時は50%強と10%程度の上昇で済んでいる。CULVノートで2番組同時録画した際も、ほかのアプリケーションを使った作業はスムーズだった。こちらも“ながら作業”に十分強いチューナーといえる。
ただし、地デジ番組の圧縮録画に非対応なので、ストレージの空き容量には気を配る必要がある。頻繁に撮りためるスタイルなら、USB接続の外付けHDDに録画したり、付属ソフトの「PCast TVメディアサーバー」を使ったDTCP-IP配信を利用して、自宅ではNASに録画しておくといった環境を構築しておきたい。
そして2モデル共通の特徴といえるのが、iPhoneやiPadでのストリーミング視聴機能だ。これにより、PCをチューナーやレコーダーとして使いつつ、家中どこでもテレビが見られる環境を構築できる。次のページで両者の使い勝手をチェックしていこう。
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