“ちっこいのが好き”な人のためのPocket WiFi搭載スマホ──「Sony Ericsson mini」検証モバイルPCユーザーのセカンド機器に(3/3 ページ)

» 2011年12月22日 17時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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「Pocket WiFi」としても4時間連続動作 高速起動、安定した通信速度も魅力

 本機は、テザリング機能も標準で利用できる。

 基本的にOSの機能をそのまま利用しているが、テザリング機能を手軽にオン/オフできる専用ウィジェットをプリインストールし、ホーム画面より機能をサッと切り替えられる。テザリング利用時のバッテリー動作時間は約4時間だが必要な時だけ有効にすればよく、ちょっとした調べ物やメールチェック、SNS利用などは本機単体で行えてしまうので、モバイルルーター専用機のバッテリー動作時間とは同じに考える必要はないだろう。

photophoto テザリングはOSの機能を利用する。ただ、メニューでも「Pocket WiFi」と表記されているのは分かりやすい
photophoto SSIDは任意に設定可能、セキュリティは「WPA-PSK」か「なし」となるのはAndroidでは一般的。ちなみに無線LANチャンネルは11に固定となるようだ

 PCなどとともに使用するであろうテザリング機能を含めて気になるのは、3G通信速度の仕様が下り最大7.2Mbps、上り最大5.4Mbpsにとどまる点か。イー・モバイルの3G網はすでに一部で下り最大42Mbpsまで高速化され、地域差はあるが都市部やその周辺地域でも下り最大21Mbpsへの対応がかなりのエリアで済んでいる。

 ただ、仕様上では機器側に制限があるように見えるが、実用性と都市部での実効速度を考慮すれば、さりとてたいした問題ではないと考える。東京近郊いくつかのエリアで計測した実通信速度は以下の通りだ。

photophoto 東京近郊のエリア/時間帯別に計測したSony Ericsson mini+イー・モバイル網の実効速度

 トラフィックの影響が少ないと思われる深夜の住宅地では、下り5Mbps超えで測定結果も安定。これだけ出ればかなり快適だ。一方、どの通信事業者も苦心する混雑時のJR品川駅やJR新宿駅のホームでも、テザリング機能によるPC利用であっても実用には困らないであろう、1M〜2Mbpsは普通に維持したのは驚いた。もちろん、通信速度の値そのものは欲を言いだせばきりがないのだが、普段はスマートフォン、ときどきPCやタブレットでテザリング機能を利用するスタイルであれば、実質、ほぼ困らない速度が出る。

 参考として、同じ場所・時間帯で行ったNTTドコモ/FOMAネットワークの通信速度も並べてみよう。

photophoto 同場所、ほぼ同時間帯に計測した実通信速度の違い

 FOMAネットワークは、スマートフォンの普及とそれにともなう利用者・通信量の増加で、都市部エリアで混雑気味な傾向が見られる。これを体感しているユーザーも多いかもしれない。もともと3G向けだった2GHz帯の帯域の一部をXi(LTE)向けに転用している苦しい事情はあるが、いざ比べると、イー・モバイル網の方が実速度はもちろん、スマートフォン単体Webブラウズ時の体感値でも分かるほどしっかり実用域の速度が出ていた。

photo 東京・大田区住宅地、15時ごろに計測

 なお、本機はPCへのUSB接続でUSBモデムとしても利用できる。参考として同場所、ほぼ同時刻にUSB接続と無線LAN(テザリング)接続を使い比べた通信速度の違いも計測した。

 結果はUSB接続がかなり上回った。無線LAN接続の下り4Mbps前後に対し、USB接続は6Mbpsを超えている。本機は下り最大7.2Mbps、(結果から予想すると)計測場所は上り最大1.4MbpsのHSUPAエリアと思われるが、USB接続であれば仕様上限に近い送受信速度が出たことになる。

 以上、都心部のエリア/時間帯を限った簡単な検証の結果だが、数十Mbpsクラスなどとかなりハイクラスな実通信速度を求めない限り、本機の最大通信速度の仕様を気にする必要はさほどない。また、最近は特に大都市圏で迷惑なくらい街中に公衆無線LANのアクセスポイントがあふれ、無線LAN接続に支障をきたす(通信速度が落ちる)ことも珍しいことではない。この点は、PCで使うならUSB接続することで回避できる。普段はスマートフォン、ときどきPocket WiFiという使い方であれば、実通信速度を含めて不満は出ないのではと思う。

「ちっこいボディ」「そこそこ多機能/高性能」を両立 モバイルPC利用者にうれしいスマートフォン

 本機の魅力は、やはり「小さなボディ」と「他機種に劣らないパフォーマンス」を両立したところだ。実機に触れると分かるが、ボディの剛性はかなり高い。それなりの樹脂素材感はあるものの、この剛性感の高さがちょっとした高級感・安心感の演出にもつながっている。

 また、10パターンのイコライザ、小型スピーカーでも音割れを防ぎつつ迫力の再生を実現する「XLoud」(イヤフォン接続時は機能しない)といった音楽再生機能の豊富さも、身につけやすく、ポータブル音楽プレーヤーとしても使いやすい本機に備わる機能として、とくに魅力的である。

photophoto 外部スピーカー用音質補正技術「XLoud」なども用意する
photo  

 最新スマートフォンというと、やはり大画面でなければと思う人は多い。それは別に否定しない。画面サイズは大きい方が見やすく、情報の一覧性がよくなる可能性は高くなり、動画視聴シーンなどもより魅力的になる。特にこれまでの一般携帯電話からの乗り換えとなれば、より大画面という分かりやすい違いに引かれるのも当然だ。

 一方、スマートフォンに慣れてくると、4型以上のディスプレイは片手での操作性(立ったまま使用する場合など)に若干の難があることに気が付く。ディスプレイサイズが大きいほど両手での操作を強いられる。スマートフォンを主にどう使って何を優先するかによるが、PCも併用しつつ、メールやSNSなど文字入力をともなう用途で使いこなす人ならそう思う人は少なくないと思う。どれか1つですべてまかなうのは無理と分かっているので、利用用途を明確に分けられるサイズ/使用感/仕様のものを望むわけだ。

 また、イー・モバイルは料金面の魅力も意外と大きい。2011年12月現在「シンプルにねん アシスト1200」の契約で、初期費100円、データ通信定額制である「スマートプラン」の選択で最大25カ月間4680円+315円(EMnet)/月で、テザリング機能も含めて定額利用できる。こちらは無料通話こそ含まないが、利用分に応じた通話料で音声通話ももちろん可能だ(18.9円/30秒)。パケット通信料が定額という前提であれば、現時点で端末代金まで含んだスマートフォンの毎月の利用料金として最安な選択肢の1つと思われ、テザリング機能の利用が可能な点もかなりのポイントだ。

 例えば、現在手持ちのケータイをメール無料プランに変更し、通話とキャリアメールの利用に限定してパケット料金を節約、浮いたお金で本機をAndroidスマホ+定額データ通信+ポータブルルータ機能を兼ねた2台目に──という組み合わせがお勧めだ。SIMロックフリーであることも含めて要所で光る魅力、意外にモバイルPCユーザーが引かれるポイントではないだろうか。



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