22ナノメートルプロセスルールを採用した「Ivy Bridge」(開発コード名)こと「第3世代Core プロセッサー・ファミリー」が登場する。インテルの開発プロセスを示す「Tick、Tock」モデルで、プロセスルールのシュリンクにあたるが、トランジスタに3Dトライゲートという新しい構造を取り入れ、PCI Express 3.0対応コントローラを統合するなど、いくつかの機能が刷新された。インテルは、Sandy Bridge世代のCPUを搭載するPCシステムからパフォーマンスがさらにアップすると訴求する。そこで、Ivy Bridge世代の最上位モデル「Core i7-3770K」を用いて、パフォーマンスを調べてみたい。
TickフェースにあたるIvy Bridgeは、プロセスルールがSandy Bridge世代の32ナノメートルから22ナノメートルへ移行することが最も重要な目的と捉えがちだが、それ以上に重要な進化として、3Dトライゲートトランジスタ技術を導入したことに注目したい。従来の平面構造に対し、フィンを垂直に配置することで、リーク電流を抑え、ゲート間の電子の移動を速くすることが可能という。また、低電圧でも動作クロックを引き上げることができ、低消費電力化にも貢献することが期待できる。実際、Core i7-3770KのTDPは77ワットに設定されており、従来の最上位モデルのTDPが95ワットだったのに対して、18ワットほど引き下げられたことになる。
| 型番 | Core i7-3960X | Core i7-3930K | Core i7-3770K | Core i7-2700K | Core i7-2600K |
|---|---|---|---|---|---|
| コードネーム | Sandy Bridge-E | Sandy Bridge-E | Ivy Bridge | Sandy Bridge | Sandy Bridge |
| コア数 | 6 | 6 | 4 | 4 | 4 |
| スレッド数 | 12 | 12 | 8 | 8 | 8 |
| 動作クロック(ベース) | 3.3 | 3.2 | 3.5 | 3.5 | 3.4 |
| TBT有効時最大クロック | 3.9 | 3.8 | 3.9 | 3.9 | 3.8 |
| BCLK | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
| 3次キャッシュメモリ | 15 | 12 | 8 | 8 | 8 |
| プロセスルール | 32 | 32 | 22 | 32 | 32 |
| TDP | 130 | 130 | 77 | 95 | 95 |
| DDR3メモリ | 1600 | 1600 | 1600 | 1333 | 1333 |
| メモリチャネル数 | 4 | 4 | 2 | 2 | 2 |
| 統合グラフィックス | - | - | Intel HD 4000 | Intel HD 3000 | Intel HD 3000 |
| GPU Cores | - | - | 16 | 12 | 12 |
| グラフィックスクロック(Base) | - | - | 650 | 850 | 850 |
| グラフィックスクロック(MAX) | - | - | 1150 | 1350 | 1350 |
| DirectX | - | - | 11 | 10.1 | 10.1 |
| H/Wエンコーダ | - | - | Quick Sync Video 2.0 | QuickSyncVideo | QuickSyncVideo |
| ビデオ再生支援 | - | - | ClearVideoHD | ClearVideoHD | ClearVideoHD |
| PCIeグラフィックス | 3.0(40レーン) | 3.0(40レーン) | 3.0(20レーン) | 2.0(16レーン) | 2.0(16レーン) |
| ソケット | LGA 2011 | LGA 2011 | LGA 1155 | LGA 1155 | LGA 1155 |
| VT-x | 非対応 | 非対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| VT-d | 対応 | 対応 | 非対応 | 非対応 | 非対応 |
| AES-NI | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| AVX | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
ダイの画像を見ると、基本的なレイアウトは変わっていないことが分かる。コアとキャッシュメモリ、統合したグラフィックスコアやメモリコントローラをリングバスで接続する構造だ。CPUソケットはLGA 1155のままで、Intel 7シリーズチップセットを搭載するマザーボードでは、Sandy Bridge世代のCPUもIvy Bridge世代のCPUも動作する。評価で用いるCore i7-3770Kのコア数は4基で、Hyper-Threading Technologyによって8スレッド対応となる。動作クロックは3.5GHz。これは、Core i7-2700Kと同じだ。
Core i7-3770Kに統合するグラフィックスコアは、Intel HD Graphcs 4000となる。Core i7-2600Kに統合していたIntel HD Graphics 3000で12基だった実行ユニットの数が、Intel HD Graphics 4000では16基と増加し、加えて、DirectX 11にも対応した。また、Sandy Bridge世代では2画面までの同時映像出力が、3画面の同時出力に拡大している。一方、グラフィックスコアの動作クロックはベースクロックで850MHzから650MHzに引き下げられている。また、これに付随して、ハードウェアエンコーダエンジンのQuick Sync Videoが2.0へと進化した。従来のQuick Sync Videoは1本のバスをシェアしていたが、2.0ではこれが2本となり、データの転送が向上し、パフォーマンスがアップする。Intel Media SDK 2012を用いればさらに速度が向上するという。
このように、統合グラフィックスコアの進化はIVy BridgeはTickフェーズでも、「グラフィックスに関してはTackだ」とインテルの関係者はいう。

CPU-Z(写真=左)とGPU-Z(写真=右)でCore i7-3770Kのステータスを確認する。CPUの動作クロックはベースでCore i7-2700Kと同じ。統合グラフィックスのコアクロックは低く設定しているが、実行ユニットの数は16基に増えたPCI Express 3.0は、1枚のグラフィックスカードなら16レーン、2枚のグラフィックスカードなら8レーン(マザーボードのコンフィギュレーションによる)が利用できる。また、Intel Z77 Expressと組み合わせたときは、Thunderboltもサポートする。なお、Thunderboltを用いる場合は、グラフィックスカードが8レーン、そして残る8レーンを4レーン×2本に分け、うち1本をThunderboltが利用する。

ES品なので製品名が分からない状態だが、3.50GHZの表記が確認できる(写真=左)。ボールグリッドは右に置いたCore i7-2400とまったく同じ。中央のチップコンデンサのレイアウトが異なる(写真=右)システムメモリのサポートも、Core i7-3770Kで最大DDR3-1600が利用可能となる(Core i7-2600KではDDR3-1333だった)。より低消費電力なDDR3Lもサポートする。消費電力関連では、新しいC-Stateが追加されたほか、クロックゲーティングも行い、Power Aware Interrupt Routing(PAIR)機能によって、どのコアを利用するのかの最適化を行う。
すでに仕様が明らかになっているように、Intel 7シリーズチップセット側では、USB 3.0をサポートした。PCI Express 3.0、Serial ATA 6Gbps、USB 3.0という3種類の第3世代インタフェースが利用可能なプラットフォームとなる。
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