同日都内で開催された製品発表会では、エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏が登壇し、市場概況と事業戦略を説明した。
2011年度の国内カラーイメージング機器市場において、エプソンのシェアはインクジェットプリンタが50%、レーザープリンタが20%(ラインアップが完成した10月以降にはシェアが伸び、現在は27%とのこと)、プロジェクターが50%、スキャナが22%(シートフィードのシェアは2%)としている(エプソン調べ)。
中野氏は「スキャナのシェアは一番低いといえるが、だからこそ伸びるチャンスがある。成熟したプリンタ市場でシェアを伸ばすのは難しいが、ドキュメントスキャナが急激に伸びているスキャナ市場ではそれほど難しい話ではない」と新ラインアップへの自信をのぞかせた。
国内のスキャナ市場は電子書籍の台頭に伴う“自炊”ブームに後押しされ、2010年にはドキュメントスキャナの販売台数がフォトスキャナを逆転し、2011年度は市場全体で対前年比106%の成長を見込んでいる(エプソン調べ/予測)。
中野氏はこうした成長要因を支えるユーザー層を3つの領域に分け、「クラウド&携帯端末でスキャンデータを活用するユーザー」には今回の新製品であるDS-30とES-D350を、「紙文書をデータエントリーする業務を持つ法人」には同日発表された業務用モデルを、「写真(フィルム)をデジタル化する写真愛好家」には既存のカラリオスキャナを販売することで、シェアを伸ばしていくとした。
新製品の解説はセイコーエプソン SCN事業推進部 部長の田中雄次氏が行った。「モバイルスキャナのユーザーは、場所を選ばずどこでもスキャンしたい、持ち歩いて使いたい、手軽にスキャンデータを活用したい、といったニーズがあり、クラス最軽量でクラウド連携などにも配慮したDS-30は競争力が高い」とアピールした。
一方、卓上タイプのES-D350は「従来機のES-D200と比較して、モノクロ300dpiでの読み取り速度を20枚/分から25枚/分に向上し、新しいiPadのRetinaディスプレイでも高精細に表示されるデータの生産性を高めた。また、ES-D200に対する要望を受け、重送検知機能を追加し、クラウド連携などソフトウェアの強化もした」と語った。
販売戦略については、エプソン販売 OP MD部 部長の鈴村文徳氏が説明。新しい販売施策として、エプソンスキャナの公式Facebookと、エプソン販売のTwitter(@EpsonFan)を開始し、スキャナの活用情報などを提供していく。また、DS-30の購入者から抽選で「MOVERIO BT-100」などをプレゼントする発売記念キャンペーン「あったらいいな!便利生活キャンペーン」も実施する。
国内の販売目標は、モバイルスキャナでシェア33%/台数2万台、シートフィードスキャナでシェア25%/台数3万台、業務用フラットベッドでシェア60%/台数1.2万台、高画質フラットベッドでシェア50%/台数3万台を掲げた。
鈴村氏は「スキャナ市場全体では約35%のシェアになる。現状で22%のシェアからプラス13%と高い目標になるが、ターゲットとする顧客に応じてすべての販売チャンネルで製品を展開し、これまで弱かったドキュメントスキャナを伸ばすことで、達成したい」と語った。
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