基板“むき出し”がソソるっ、楽しく遊べて音質も上々なUSB DACキット──ポーカロ・ライン「UDA923KIT」野村ケンジのぶらんにゅ〜PCオーディオ Review(1/2 ページ)

» 2012年08月18日 00時00分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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“基板むき出し”、楽しむ・遊ぶをより実現できるUSB DACキット

photo ポーカロ・ライン「KEY Sound UDA923KIT」。同社直販サイト価格は1万9800円となる(2012年8月現在)

 “基板むき出しの半完成品キット”という、おもしろそうなUSB DAC──それがポーカロ・ラインの「KEY Sound UDA923KIT」だ。

 同社は2011年に「UDA923BF」というUSB DAC(こちらは完成品)を投入しているが、今回試用するUDA923KITは単にこの中身を取り出したものではなく、基板も回路も、オリジナルのものを用意しているのだという。

 キットには、基板むき出しの本体といくつかのパーツが付属するのみで、ケース(外装)は含まれない。一応、ケース専門メーカーである奥澤製のケースが推奨されているが、自分好みの汎用ケースを購入し、加工して利用するのでもよい。当然、むき出しのまま利用することもでき、そのあたりはユーザーの好みで、ユーザーの責任のもとでというキット商品ならではの“自作PC的”な雰囲気を持ち合わせている。

 さて、USBバスパワーで動作するシンプルな作りの本機だが、スペック的にはサンプリング周波数が48kHz/16ビットまでの対応となり、DACはBurr-Brown「PCM2704」を採用と、スペック表記としては平均的である。これは、かつてオーディオ機器メーカーで製品開発を努めた、KEY Soundの開発責任者 長谷川邦弘氏が「低ビットレートでのハイファイ再生」にこだわり、あえて選択したスペックという。ただ、電源系のシステムはDC/DCコンバータを採用し、USBの5ボルト電源を12ボルトまで昇圧する仕様としている。USBバスパワーの手軽さと、アナログ回路をコンデンサレスにすることで得られる高品位さを両立した感じだ。

 出力側の回路構成も興味深い。こちらは、先に登場したオペアンプ「UDA923BF」+トランジスタバッファという構成ではなく、オペアンプのみで高出力化と高音質化を図るものとした。さらにオペアンプはICソケット経由で装着されており、好みに応じて互換パーツに交換できるようになっている。「オペアンプを交換して音質の変化を楽しむ」のも、長谷川氏が用意した本機の楽しみの1つである。

photophoto DACは「PCM2704」を採用。オペアンプはソケット装着式で交換も可能。回路構成のものを、チャネルごとに1個ずつ、合計2個使用する

 ちなみに、対応オペアンプは2回路構成のものを、チャネルごとに1個ずつ、合計2個を使用する。2回路1個ではなく、1回路2個でもなく、2回路を2個使うというのが何ともぜいたくな仕様だが、ちまたでは2回路オペアンプが圧倒的な主流となっているので、交換を楽しむという点においては絶妙な仕様といえるだろう。

 キットとはいえ、本機は半完成品というかほぼ完成品である。ケースこそ付属しないが、事前準備はオペアンプを装着することくらいで、ハンダ付けなどの作業は不要である(一応、指定ケースに組み込む場合はRCAプラグのハンダ付けなどは必要となる)。一応、本誌読者なら自作PCで慣れている人は多いと思うが……基板むき出しなので、裏面の配線ショート(金属の上に置かない)、電源オン時にオペアンプの抜き差しはしないなどに気をつけてほしい。

 入力はMini USBを1系統、出力はアナログRCAを1系統設け、ボリュームも電源スイッチもないシンプルなつくりとなっている。また、Windows OS/Mac OS XともにOS標準のサウンドドライバで動作するので、PCと接続すればすぐ使い始められる。さらにASIOドライバにも対応しているので、マニアックなニーズにも応えられる懐の深さも持ち合わせているのがおもしろい。

photophoto 入力はUSB(USB Mini-B)1系統、出力はアナログRCA 1系統のみとなる
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