モバイルPCとしての「dynabook R632」は、やはりUltrabookながらワイヤレスネットワーク機能が充実している点も大きな魅力だ。
2012年夏発売モデルにおいては全モデルがIEEE802.11b/g/n対応の無線LANを実装することはもちろん、WiMAXも内蔵する。いまさらWiMAXの説明は不要かもしれないが、WiMAXは2012年9月現在、人口カバー率で90%を超えたエリアにおいて、下り最大40Mbpsでの高速モバイルインターネット接続を利用できるサービスである。
料金は3880円/月(UQ Flat 年間パスポートの場合)の上限データ通信量量なしの定額制プランが一般的だが、使う日だけ利用できる600円/24時間のプリペイド的な利用(UQ 1 Dayなど)も可能であり、1つの契約にプラス200円/月の追加料金でほかのWiMAX機器を最大2台(計3台)追加登録できる「WiMAX機器追加オプション」がモバイラーにとても便利である。
特に機器追加オプションは、SIMカードで管理し、機器を切り替えるにはSIMカードを差し替えなえればならない3G/LTEでのデータ通信サービスにはない、WiMAXサービスならではのモバイラー向けな特長だ。スマートフォンやタブレットも併用する筆者は以前よりWiMAXルータを所持していたが、WiMAXを内蔵するdynabook R632はその契約に(200円/月の)追加登録するだけで利用できようになる。これが便利なのだ(一応、異なる複数の機器で同時には接続できないが)。
さて、WiMAXはすでにルータがあるならそれ1台でいいじゃないかという声もあろう。ただ、WiMAXを内蔵したPCには実はいろいろなメリットがある。
まず、WiMAX機能をオンにしておけば家でも外でも(WiMAXエリア内において)どこでも、PCを起動・復帰すれば何もせず自動的に高速なインターネットに接続されているという、“すごく心地よい環境”を構築できる。内蔵3Gデータ通信モジュールなどのように、起動してから通信ソフトを起動して接続作業を行うといった手間は不要だ。
もう1つ、これはWiMAXに限った話ではないが、ポータブルルータは小型化のためにアンテナがやや簡易的な仕様であることが多い。対してPCは、2.5GHz帯を使うWiMAXが無線LANの2.4GHz帯と周波数帯が近いこともあり、しっかりとしたアンテナを共有しつつ実装する。基本的にポータブルルータと比べると送受信能力が高く、たいていはディスプレイの左右など、比較的高めの位置にアンテナを設けるのも都合がよかったりする。
本機に内蔵するインテルの無線LAN/WiMAXコンボモジュール「Centrino Wireless-N + WiMAX 6150」は、実は下り最大28Mbps/上り最大8Mbpsと、多くのWiMAXポータブルルータのスペック(上り40Mbps/下り15.4Mbps)より低いのだが、上記の理由により実速度は上回ることが多い。さらにルータでは圏外の場所も、PCではギリギリ接続できたりするとなるとどうだろうか。やはり、“つながらなければ仕事にならない”モバイラーにはうれしい特長なのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.