マウスコンピューターがラインアップするUltrabookカテゴリの製品には、重量約960グラムの軽さを実現した11.6型モデル「LuvBook X」と、14型液晶を搭載する「LuvBook L」の2製品が存在する。前者は外装3面カーボンの採用により圧倒的な軽さを実現したのに対し、後者はコストパフォーマンスを追求しながら、外付けグラフィックスを内蔵することで、“ただの薄型ノートPC”を超えるパワフルな性能をも目指したモデルだ。似たようなスペックが並ぶUltrabookの中では、いかにもマウスコンピューターらしい尖った製品といえるだろう。
今回、そのLuvBook Lシリーズの上位モデルである「LB-L450S」を入手したので、早速評価していこう。
LuvBook Lを簡単に紹介すると、Core i7-3517U(1.9GHz/最大3GHz)と、8Gバイトメモリ(PC3-12800)を搭載し、外付けグラフィックスにGeForce GT 640Mを備えた14型Ultrabookだ。
下の表に挙げたように、ストレージの違いで2モデルがラインアップされ、それぞれ下位モデルの「LB-L450B」は500GバイトHDD+60GバイトSSD(HDDキャッシュ用)、今回評価する上位モデルの「LB-L450S」は256GバイトSSDという構成になっている。また、より大容量のストレージを求める向きには、BTOにより512GバイトSSDも用意されている。なお、スペックシート上では、256GバイトSSDの型番は「Intel 520」となっているが、評価機はADATAの「SX910」が採用されていた(コントローラはともにSandForceの「SF-2281」)。
製品名 | LB-L450B | LB-L450S |
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CPU | Core i7-3517U(1.9GHz/最大3GHz) | Core i7-3517U(1.9GHz/最大3GHz) |
メモリ | 8GB(PC3-12800) | 8GB(PC3-12800) |
グラフィックス | GeForce GT 640M | GeForce GT 640M |
ストレージ | 32GB SSD+500GB HDD | 256GB SSD |
液晶ディスプレイ | 14型ワイド(1366×768ドット) | 14型ワイド(1366×768ドット) |
OS | 64ビット版Windows 7 Home Premium | 64ビット版Windows 7 Home Premium |
価格 | 7万9800円 | 8万9880円 |
インタフェースは、本体前面の左寄りにSDメモリーカード(SDXC対応)/MMC対応リーダーを内蔵し、そのほかは左右側面に振り分けられている。左側面手前からUSB 3.0(常時給電機能付き)、HDMI出力、有線LANポート、アナログRGB出力が並び、右側面にはヘッドフォン出力および2基のUSB 2.0を備える。また、液晶上部に100万画素Webカメラを内蔵し、無線機能としてIEEE 802.11b/g/n対応無線LANとBluetooth V4.0+LEを装備するなど、Ultrabookとしては不満のない構成だ。
本体の薄さが優先されがちなこの種の製品では、端子の大きさ・形状の問題でアナログRGBや有線LANポートは省かれがちだが、プロジェクターに接続してのプレゼンや管理されたネットワーク内での利用など、ノートPCを仕事で使う場合にはこれらが求められるケースもある。また、一目で分かるようにUSB 3.0の端子が青いままなのも、使い勝手の面を考えると悪くない(Ultrabookでは、デザインの統一性を優先したためにUSB 3.0とUSB 2.0の端子が区別しづらい製品も多い)。確かに一見すると野暮ったいのだが、こうしたマウスコンピューターの製品らしい素直さは好感が持てる。
LuvBook Lの外観はシルバーを基調としたデザインだ。天板を格子状のパターン、パームレスト面をつや消しのシルバーで飾り、液晶ディスプレイの枠とキートップ、本体のボトムをブラックで塗り分けている。外装自体は樹脂製のため、際だった高級感があるわけでもないが、液晶ヒンジ部分の両脇やタッチパッド上部に施されたクロムメッキのシルバーや、白色LEDをあしらった電源ボタンなどがアクセントになって、シンプルながらも飽きのこないデザインになっている。
本体サイズは、344(幅)×240(奥行き)×21(高さ)ミリ、重量は約1.83キロと、昨今の薄型ノートPC群の中でみればそれほど目を引くスペックではないものの、カバンにすっと入る薄さで持ち運びも十分に実用的な範囲だ。
バッテリー駆動時間は公称値で約5.5時間、Bbenchを使用した実測(電源プランはバランス、画面輝度は中間、定期的なWeb巡回とキーボード入力で設定)でも5時間25分となっており、ほぼ公称値通りの優秀な結果となっている。プライベートとビジネスの両用マシンとして、外出先や自宅と会社の行き帰りに使う場合でも、バッテリー残量を心配する必要はなさそうだ。
ただ、ACアダプタのサイズは44(幅)×150(奥行き)×29(高さ)ミリと比較的小型なものの、電源ケーブルが3ピンの太めのタイプで、ケーブル込みの重量は311グラムほどある。一緒に持ち歩くと2キロを軽く超えてしまうので、モバイルに特化した11型クラスの製品に比べると、やはりやや重たい印象だ。
1366×768ドット表示に対応したディスプレイは、14型ワイドサイズである点を考えるともう少し解像度があればとも思うが、アイコンや文字は大きく視認性は高い。パネル表面に光沢処理が施されているため、デジタルカメラで撮影した写真などもくっきりと表示される。ただ、画面の輝度が低めで、蛍光灯下の室内では明るさを8段階の最高に設定してちょうどいいと感じた。晴天の屋外などで使う場合はやや辛いかもしれない。また、視野角については左右はそれほど気にならなかったが、上下方向は狭い。画面上部でやや輝度ムラもみられた。
キーボードはアイソレーションタイプの日本語91キーボードを搭載する。14型ワイドの本体サイズを生かして、キーピッチは19ミリと余裕があり、主要キーのキートップも16ミリ正方と広く、打ちやすい。キーの文字も中央に大きくプリントされており、ブラインドタッチに慣れていない人には見やすいはずだ。Enterキーの右側にPgUp/PgDnが回り込んだレイアウトは慣れを必要とするが、強めにタイピングしてもたわんだりせず、快適に文章を入力できる。なお、スペックではキーストロークが2ミリとあるが、個人的な印象ではもう少し浅めに感じた。一方、タッチパッドはELAN MicroelectronicsのSmart-Padが導入されており、パッドのエッジを使ったスクロールや2本指による拡大/縮小、回転などもできる。パッド表面のすべりも秀逸で、左右ボタンのクリック感も悪くない。
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