目指すは2013年度にシェア2倍超――エプソン、常設向けプロジェクター9モデルを一挙投入業界トップが狙う“常設”市場

» 2013年03月12日 20時45分 公開
[池田憲弘,ITmedia]

常設型のラインアップを拡充、11モデルから16モデルへ

photo 常設型の3LCDプロジェクター「EB-G6750WU」

 エプソンは3月12日、ビジネス向けプロジェクターの新製品9モデルを発表した。いずれも3LCD方式を採用した液晶プロジェクターで、大学などの講堂や大会議室、ホールへの導入を想定する常設向けの大型機となる。

 価格はオープンで、2013年3月29日より順次発売する。それぞれの想定実売価格や発売日は以下の通り。なお、EB-G6900WUのみズームレンズが付属せず、重量はレンズを除いた本体の重量となる。

ビジネスプロジェクター新機種の主な仕様
製品名 解像度 明るさ コントラスト比 重量 想定実売価格 発売日
EB-G6900WU 1920×1200 6000ルーメン 5000:1 9キロ 110万円前後 2013年6月20日
EB-G6750WU 1920×1200 6000ルーメン 5000:1 9.7キロ 95万円前後 2013年5月27日
EB-G6550WU 1920×1200 5200ルーメン 5000:1 9.7キロ 80万円前後 2013年3月29日
EB-G6250W 1280×800 6500ルーメン 5000:1 9.7キロ 80万円前後 2013年3月29日
EB-G6050W 1280×800 5500ルーメン 5000:1 9.7キロ 67万円前後 2013年3月29日
EB-G6350 1024×768 7000ルーメン 5000:1 9.7キロ 65万円前後 2013年3月29日
EB-4950WU 1920×1200 4500ルーメン 5000:1 6.7キロ 65万円前後 2013年6月20日
EB-4750W 1280×800 4200ルーメン 5000:1 6.6キロ 43万円前後 2013年6月20日
EB-4650 1024×768 5200ルーメン 5000:1 6.6キロ 43万円前後 2013年6月20日

 今回の新製品投入は、常設型モデルの中でも比較的低価格な機種を拡充することを目的としており、モデル数は11モデルから16モデルに増加した。新製品の機能については、ほかの常設型モデルと同様だ。超解像度技術やフレーム補間といった高画質処理機能や、自社開発液晶パネルのC2FINE技術、オートアイリスによる5000:1の高コントラスト比のほか、設置から投写までの作業を楽にする各種補正機能を備える。

photophotophoto 製品説明を行ったセイコーエプソン VI企画設計部部長の小川恭範氏(写真=左)。カラー表示における画質、明るさに優れる3LCD方式を採用したことを訴求する(写真=中央)。超解像度技術やフレーム補間といった高画質処理機能を備えるのは従来モデルと同様だ(写真=右)

 ボディカラーは基本的にホワイトだが、プロジェクションマッピングなどのイベントへの貸し出しを想定した「EB-G6900WU」については目立ちにくい色合いのブラックを採用した。さまざまな会場に対応できるよう標準のズームレンズは付属せず、HD-SDI端子により、業務用放送機器と組み合わせて使用できる特徴がある。

 ボディデザインやインタフェースなどの仕様は、9モデルでほぼ共通だ。インタフェースはアナログRGB、5BNC、S-Video、HDMI、DisplayPort、RCAの映像入力、アナログRGBの映像出力、有線LAN、USB(EB-G6900WUを除く)などを備える。EB-G6900WUとEB-G6750UはHDBaseT端子を備えており、オプションのHDBaseTトランスミッターにより、最大100メートルの映像伝送が可能となる。

 EB-Gシリーズ6機種の本体サイズは505(幅)×382(奥行き)×144(高さ)ミリで、重量は9.7キロ(EB-G6900WUを除く)。EBシリーズ3機種の本体サイズは472(幅)×320(奥行き)×135(高さ)ミリで、重量は6.7キロ(EB-4950WU)だ。

photophotophoto 新製品のボディデザインはほぼ共通だ。EB-4950WU(写真=左)をはじめ、ほぼすべてのボディカラーはホワイトだが、イベント貸し出しを想定したEB-G6900WUのカラーはブラックとなる(写真=中央)。インタフェースもすべてのモデルでほぼ同じでアナログRGB、5BNC、S-Video、HDMI、Display Port、RCA、有線LAN、USBなどを備えた。EB-G6900WUは業務用放送機器に接続可能なHD-SDI端子を搭載する(写真=右)

利益率の高い常設型モデルに注力

photo 販売戦略を説明したエプソン販売 VIMD部部長の久保厚氏。iOS搭載デバイスとプロジェクターを無線LANで接続し、プレゼンテーションが行えるアプリケーション「Epson iProjection」を利用してプレゼンを行った

 サイズが大きな常設型のプロジェクターは、設置場所や用途が限られるためモバイル向け/ビジネス向けプロジェクターなどと比べれば市場規模は小さい。なぜ今常設型プロジェクターのラインアップを強化するのか。その販売戦略について、エプソン販売 VIMD部部長の久保厚氏が説明した。

 久保氏はまずプロジェクター市場の概況について「2012年度は好調に推移している。2011年度は大震災で消費が落ち込んだこともあるが、2012年度は昨年対比で110%以上の伸長が見られる」と述べた。エプソンはプロジェクター市場において17年連続でシェア1位を維持しており「2013年度はシェア60%を目指す」(久保氏)とこの分野では強い。

 その一方で、常設型のシェアは12%(2012年4月〜2013年1月において、富士通キメラ総研のデータをもとに推定)と全体のシェアに比べて低い。「常設型は単価や利益率が高く、金額ベースでの市場規模は大きい。現状はまだ12%だが、逆に言えば88%伸ばせる余地があるということ。今後は常設型のラインアップ強化を通じて、シェア増加を狙う」(久保氏)

photophotophoto 2012年度のプロジェクター市場は好調という。エプソンのシェアも57%と1位を保っているが(写真=左)、常設型については12%とシェアは低い(写真=中央)。販売台数ベースで見れば常設型の市場規模は小さいが、単価が高いため、金額ベースでは大きな割合を占める(写真=右)

 エプソンは2012年2月に常設型モデルのラインアップを増やしたが、これにより2011年度比で約3倍のペースで販売台数が伸びているという。従来、会議室や大学の講堂くらいだった販売チャネルもイベント貸し出し(プロジェクションマッピングなど)用のチャネルを確保し、更なる売り上げ増加を狙う。「2013年度のシェア目標は決定していないが、(12%から)25〜30%ぐらいまで引き上げることを目標にしたい」(久保氏)。今回発表した9機種の販売目標は1年間で5000台としている。

photophotophoto ラインアップを強化したことで、2012年度における常設型プロジェクターの販売台数は2011年度と比較して約3倍となった(写真=左)。今後はイベント用の販売チャネルも強化するという(写真=中央)。発表会では、プロジェクターによるフレーム補間技術のデモを行った。右側がフレーム補間処理を行っている映像だ。字幕の流れがより細かく表示されていることが分かる(写真=右)

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