Adobe RGB対応の30型“2560×1600”液晶が12万円切り――デル「U3014」は買いか?ハードウェアキャリブレーションも可能(1/3 ページ)

» 2013年04月05日 18時00分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

大幅にパワーアップしたデルのハイエンド液晶ディスプレイ

photo デルの30型ワイド液晶ディスプレイ「U3014」

 デルの最上位ディスプレイが約2年半ぶりにモデルチェンジ――。

 2013年2月28日、デルは30型ワイド液晶ディスプレイ「U3014」を発表し、同日より販売を開始した。U3014は同社が2010年に発売した「U3011」の後継モデルと位置づけられている。比較的低価格な30型ワイドディスプレイとして訴求したU3011の後継機だけあって、U3014も価格を抑えている。直販サイトでの価格は11万9980円(税込み、2013年4月5日現在)だ。

 U3014はU3011登場時の価格(15万9170円)よりも約4万円安く、買い得感が増した。さらに今回はX-Riteのディスプレイキャリブレーションツール「i1 Display Pro」を用いたハードウェアキャリブレーション機能も搭載していることもあり、注目している人は多いはずだ。早速、新機能や表示性能などをチェックしていこう。

広色域、超高解像度、低消費電力のIPSパネルを搭載

 まずはディスプレイとしての基本スペックを確認しよう。U3014は広視野角のAH-IPSパネルを採用している。画面サイズはノングレアの30型ワイド、アスペクト比は縦解像度も確保できる16:10で、解像度はフルHDをはるかに上回る2560×1600ドット(WQXGA)だ。ドットピッチは約0.25ミリとU3011と変わらない。視野角は水平/垂直とも178度となる。

 輝度はU3011よりもやや下がり350カンデラ/平方メートルとなった(U3011は370カンデラ/平方メートル)。コントラスト比は1000:1と従来モデルと同じだが、バックライト制御により映像視聴時のコントラスト感を高める「ダイナミックコントラスト」利用時のコントラスト比は従来の10万:1から200万:1にまで拡大した。応答速度がグレーからグレーの中間階調域で約6msと早くなったこともU3011からの変更点だ。

photophoto 解像度は2560×1600ドット(写真=左)。ボディのデザインはシンプルで、スタンドにはケーブルを通すための穴を備える(写真=右)
photophotophoto AH-IPSパネルを使用しており、視野角は上下/左右ともに178度と広い

 U3014はデル製ディスプレイの最上位モデルである「デジタルハイエンドシリーズ」に含まれており、12ビットの内部処理および14ビットのルックアップテーブルによる高画質を実現したほか、色域の広さにも注力している。NTSC比はCIE1976で120%、Adobe RGBカバー率は99%とかなり広い色域を備えているため、Adobe RGBモードで撮影した写真データなどを扱うにも不満はない。プリセットの画質モードにsRGBモードも用意しているので、sRGB環境で使っても色がきつすぎて困ることもないだろう。もちろん、異なるカラースペースを用いた複数の入力を切り替えるような環境では重宝する。

可動域が広いシンプルなスタンド

 ボディはほかのデル製ディスプレイと同様に飾り気のないデザインだ。シンプルなパネルとスタンドの組み合わせで、大抵の環境に違和感なく設置できるだろう。

 画面のサイズは689.7(幅)×449.2(高さ)×61(奥行き)ミリで、U3011(694.5×453.3×94.4ミリ)よりも小さくなった。重量も従来の9.3キロから7.35キロに減少している。パネルの小型化・軽量化にはLEDバックライトが貢献しており、消費電力も標準時で60ワットまで下がった(従来はCCFL方式で、消費電力は110ワット)。パネルが小さく軽くなったことはディスプレイアームに取り付けるときに楽で、スタンドごと動かす際にも取り回しが容易になるのは大きなメリットだ。

 スタンドは基底部が長方形(幅314.9×奥行き201.4ミリ)になっており、ほぼ垂直にネックが伸びている。約90ミリの昇降が行え、設置面から約35ミリの高さまでディスプレイを下げられるので、見下ろして使うにも問題ない。チルトは上19度/下3度、スイベルは左右で各30度まで可能だ。スイベル用のターンテーブルはネック部分の付け根に配置しており、ネック部分だけが回るようになっているので、台座が回転して周囲のキーボードやケーブル類を巻き込むこともない。

photophotophoto スタンドの可動範囲は広い。ディスプレイを設置面近くまで下げることもできる

 U3011は豊富なインタフェースを備えていることも特徴だったが、U3014では端子の種類が変わった。映像入力インタフェースはHDMI×1、DVI-D×1(HDCP対応)、DisplayPort×1、Mini DisplayPort×1を搭載する。HDMIとDVIを2系統から1系統に減らしたほか、アナログRGBとコンポーネントビデオを省き、Mini DisplayPortを追加している。これらの端子はいずれも背面に下向きで配置されている。

 背面には、映像入力インタフェースのほかにUSB 3.0ハブ用のアップストリームポートが1基、USB 3.0ダウンストリームポートが2基、そしてオーディオ出力が並ぶ。左端にある円形のコネクタは画面下部に取り付けるオプションのスピーカーユニット「AX510」用のものだ。

 USB 3.0ダウンストリームポートは左側面にも2基用意している。このうち、下側のポートは1.5アンペアでの電力充電に対応しており(通常のUSBポートは0.5アンペア)、Battery Charging 1.2に準拠するデバイスへの高速充電が行える。USBポートの上にはデル製ディスプレイではおなじみのマルチメモリカードリーダーも用意しており、SDメモリーカード/MMC、メモリースティックPRO-HGなどを利用可能だ。

photophoto 主要なインタフェースはディスプレイ部の背面に下向きで並ぶ。スタンドを外すと、VESAマウント(100ミリピッチ)が現れる(写真=左)。ディスプレイ部の左側面には、USB 3.0のダウンストリームポートとメモリカードスロットを備えた(写真=右)
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