“Retina級”高解像度ディスプレイは画質も最高峰か?――「dynabook KIRA V832」徹底検証(中編)計測器で実力を明らかに(1/2 ページ)

» 2013年04月22日 00時00分 公開
[池田憲弘(撮影:矢野渉),ITmedia]

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ディスプレイの発色を測色器でチェック!

 「dynabook KIRA V832」は、13.3型ワイド液晶ディスプレイで2560×1440ドット(368万6400ドット/約221ppi)という超高精細な表示を実現した唯一無二のUltrabookだ。圧倒的な高解像度には“東芝の本気度”がひしひしと感じられるが、製造工程でディスプレイのカラーキャリブレーションを行っていることも見逃せない。中編では、このディスプレイの表示性能について掘り下げる。

photophoto 「dynabook KIRA V832」は13.3型ワイドで2560×1440ドットという超高精細な表示が特徴だ(写真=左)。Windows 8のスタート画面でも精細な表示が味わえる(写真=右)

 東芝によると「dynabook KIRA V832とV632は、東芝製テレビのREGZAシリーズと同等とする色調整を個体別に行っている」という。AV機器であるREGZAシリーズならまだしも、個人向けPCでそこまで手間をかけたプロダクトはまれだ。

 では、調整済みの液晶ディスプレイとは一体どのような表示なのか。エックスライトのカラーマネジメントツール「i1Pro」を用い、本評価機の表示品質を調べてみた。以下の結果は本評価機のものであり、個体差を考慮しないテストであることに留意していただきたい(ただし、出荷前の個別色調整により、個体差は抑えられているはずだ)。

 まずはV832のガンマカーブから。結果を見ると、RGBの各線が同じ傾向になっており、少々ばらつきはあるものの、ノートPCにしてはグレーバランスがまずまず整っているといえる。ただ、入力と出力の関係は1:1のラインから外れ、中間階調でうねうねと曲線を描いた。全体的に中間階調が上方向に持ち上がっているのは、i1Proの測定によってRGBの入力に対して出力が弱いのを強める補正がなされていることを意味する。暗部から中間階調はやや抑えめの出力で黒が締まった落ち着いた発色、白に近い明部では強めの出力と、メリハリが付いていた。

 一方で、V632のガンマカーブは青が少しずれているが、入力と出力の関係が1:1のラインをほぼ外れることなく、暗部から明部までかなり直線的に推移していた。全体的に素直な発色といえる。両モデルはタッチパネルの有無や液晶パネルの種類が異なることもあり、単純な比較はできないが、傾向は異なるという結果だった。

photophoto V832(写真=左)とV632(写真=右)のガンマカーブ。V832は特に中間調から明部にかけて、入力と出力の関係が大きく上に持ち上がっている。一方、V632のガンマカーブはRGBがすべて、入力と出力の関係が1:1のラインに沿っている

 画面の最大輝度はV632のほうが少し明るい。V832は画素密度が非常に高いため、バックライトの光をV632より通しにくいうえ、タッチパネルも搭載しているが、それでも映像コンテンツを楽しむのに十分な明るさは確保できていた。ただ、表面にガラスを張っていることもあり、屋外など明るい場所では相応に映り込みが発生する。色温度の計測値はV832で6503K、V632で6642Kと、いずれもsRGB規格の6500Kにほぼ準じていた。この辺りが、出荷前に行われる個別色調整の効果と思われる。

 ちなみに、東芝はIPS、VA、TNといった液晶パネルの方式を公開していないが、レビューの前編で紹介した通り、V832の視野角はV632より広大だ。TN方式と思われるV632と異なり、V832は上下左右の斜めから画面を見ても、コントラストや色味が崩れにくく、内容をしっかり確認できる。急な角度から見ると、白に近い明部がやや飛び気味になるが、実用上はまったく問題ない。

photophoto V832(写真=左)とV632(写真=右)の液晶ディスプレイ表面を最大230倍のマイクロスコープで撮影。どちらもほぼ同じ焦点距離で撮影した写真だが、V832のディスプレイは1画素が非常に微細だ。画素は特徴的な形状をしている
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